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フレンドリーファイアって友好的に撃つって事で

 高機動形態でファティマを振り回しながら、キャンピングカーの周囲のニーズヘッグを叩き飛ばす。

 神経をザラリと撫でられた様な感覚。これは【恐怖(フォビア)】が発動した為の感触か? ってこたぁ、魔族達が始めやがったか?


 バフォメットは……流石に変身はしてるが、あんにゃろ、本当にやる気がねぇな? 魔族形態(やぎあたまじょうたい)で無造作に腕を振るってるだけやん。あれ、もしかしてオートモードじゃねぇのか?


 ベルゼブブは怪人形態で両手を広げて立っている。想像通りの半ハエ人間。半分ハエなのに格好良く見えるって、最早反則じゃね?


 ミカ達は、ニーズヘッグの群れん中に突っ込んで行って撹乱してくれている。身体能(フィジカルエ)力向上(ンハンスメント)は使っても、魔力外装は使って無い所を見ると、殺さない様に手加減はしてくれているみたいだな。いや、ミカ、バラキ、セアルティは分身してるんだが……いやホント、どうやってんの? あれ!?


 這寄り、飛び掛かってくるニーズヘッグをぶっ叩き、蹴散らし、放り投げる。キャンピングカー周辺は殆ど居なくなったな。

 エクステンドを防御方面へ割り振って、群れの中へ特攻。ヘイトを稼ぐ。

 イブとジャンヌも、風魔法で吹き飛ばすか、土魔法で弾き飛ばすかに終止し、自分達のの方へ近寄らせない様にしている。


 相手が増えもしないが減りもしない。これ、精神的に結構キツイわ。

 あ、だからバフォメットのヤツ、オートモードなのか?


 いっそ、殲滅したい気持ちが湧いてくるが、それを理性で押し留める。ここで短気起こしたら、また何時もの繰り返しだからな。

 だがしかし、いい加減焦れてきたわ。と、「南風(はえ)が吹く」とでも表現するのか。熱気を帯びた一陣の()()風が吹き抜けた。


 途端にドロリと、ニーズヘッグ達が溶け、黒風に啜り()まれる様に解けて行く。

 コレが、ベルゼブブの能力か。

 ってか、俺のエクステンドも溶けてるんだが!? いや、俺のコレは凝縮されたプラーナだから、良くはないが良い!!


 むしろミカやバラキ!!


 背筋が凍る。ドロドロと形を失くすニーズヘッグの群れの中、同じ様に解けて行くミカが、バラキが、セアルティが……

 胃の腑に鉛を注ぎ込まれたかの様な不快感。


 ああ、そうだ。魔族ってのは、そういう存在だったよ!! バフォメットやらゴモリーやら、此方に友好的に振る舞う相手ばかり続いていたんで、忘れてたよ!!

 魔族ってのは、何処までも個人主義で、自分の目的の為には他者なんざお構いなしに踏み潰すような輩だった!!


「テメエ……!!」


 そもそもコイツは、俺の味方なんかじゃなかった。バフォメットに協力させられただけだった。

 俺の感情に呼応して、ブワリッと濃縮されたプラーナが、ガシャリと開いたスリット部分から吹き出し渦巻く。此方をニヤニヤと眺めていたベルゼブブの口許が引き攣る。


 俺を巻き込んだのはまだ良い。だが、テメエ、俺の()()()()()()()()()()()()()


「アオン!!」


 ああ、()()()()()。だか、理性では理解しても感情では納得しない。

 第一に、この魔族(ベルゼブブ)は、俺を()()()いやがる。

 俺と言う人物が、どんな生き物なのか、()()()()()()()()()()()()


 俺が踏み出す。ベルゼブブが後退る。


 おい、今さら怖気付くなよ。比嘉の力量差も理解できずに喧嘩売ったのか? あぁ?


 分かってる。コイツが、作戦の中核だって事ぐらい。だかな、躾の成ってねえ魔族(アホ)には、OSHIOKIが必要なんだよ!!


 俺の4つの脚が、一足飛びにベルゼブブとの間合いを0にする。


「なあ? バフォメットは、四肢を潰し飛ばしても平気だったが、お前は()()()?」


 ファティマを振るい、ベルゼブブの両足を斬り飛ばそうとした所にバフォメットがインターセプトして来た。


 と言っても、攻撃を止められたって訳じゃねえ。

 バフォメットが、先にベルゼブブに攻撃を入れると言う形でだ。


「お前……」

「まったく理解に苦しむ!! 貴様は誰に喧嘩を売ったと思っているのだ? こっのっ、ライッバルッ、ト~~~~~ルはっ!! 吾っ輩とぉ互角の戦いを演じられるっ益荒男なのだぞ!! 吾輩のつま先にも届かない貴様が一瞬でも対峙出来るなどと考えるなど!! 思い上がりもぉ甚だしいわっ!!!! そうであろう? ライバルッ、ト~~ル!!」


 おおう、ベルゼブブ、文字通りハエの様に潰れてますが? 聞こえてねぇんじゃねぇか、コレ?

 それに、怒ってるポイントが色々ズレてるんだが? 俺は家族に手を出されたから怒ってるんであって、自分に刃向かったからって怒りゃしねぇよ。


 てか、バフォメットは俺がこの短期間で“進化した”と称賛してくれたが、その俺の高機動形態よりも早く間合いを詰めるとか、コイツも随分と進化してんじゃねぇか!!


 俺は近くに()()()()()()()()()モフって精神を落ち着かせる。

 ミカが心配そうに「く~ん」と泣き声を漏らすが、俺はそれに撫で倒す事で応えた。


 え? ミカ達は無傷ですよ? ベルゼブブの攻撃に巻き込まれかけて高速離脱したせいで、分身が維持できなくなって消えてしまったが。


 いや、結果無事だったから良いとは言えねぇだろ? そもそも一声でもあれば離脱なんざできたんだ。それをしなかった時点で、ベルゼブブの野郎、端っから、こっちを巻き込む気満々だったって事だ。


 そんな奴を信用できるか? 出来ねえだろう。

 なら、キッチリOHANASHIするのが筋ってもんだろ?


 まぁ、それはバフォメットがしてくれたっぽいがね。色々とズレちゃいるが。

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