やるなとも言われて無いんで
たった一手で盤面をひっくり返す。
連合軍相手に、万魔殿はそれをやって見せた訳だ。完全な安全圏だと思っていた場所が、唐突に危険な場所と成った。
油断大敵とは言うが、連合軍的には今までの情報から判断して、今布陣している場所を安全圏だと思っていた訳だしな。
まぁ、欺瞞工作に上手く嵌められたってぇ事な訳だ。
とは言え、ゾンビーによる人間砲弾ってぇ手段は、俺も思考の埒外だったわ。考えて見ればゾンビーってぇ存在は、ほぼ不死身な訳なんだから、本体の損傷を考慮しない使い方だって、仕様の内っちゃ、仕様の内なんだよな。常識ある人間なら倫理観があるせいで考えつかんと思うが、まぁ相手は魔族ですしおすし。
アポリオンとの一件で、視野狭窄に対する愚を理解していたつもりなんだが、まだまだ視野が狭かった様だわ。反省反省。
とは言え、気配も曖昧にしか感じられん距離からの攻撃ってのは厄介極まりないのも確かで、これ、アポリオンが怪獣態で投げているんじゃないなら、アイツの他にも、そんな芸当が出来る奴がいるって事だし。
目視が出来ない距離にも関わらず場所の特定をしてるってぇ事を考えると、何処かに観測手が居るか、こっちの陣地内に場所を教えてる奴が居るのは確定だろう。
いや、千里眼的な“何か”かも知れんが。
少なくとも、“水”があれば何処にでも行ける、なんてぇ奴が魔族に居る事は分かってるから、万魔殿に、似た様な能力を持ってる魔族が居ても可笑しくは無いし、そうじゃなくても狂信者の存在とか有るしなぁ。
俺が魔族的な気配を感じられて無いから、狂信者の可能性が高いとは思うんだが、さすがに他人のあけっぴろげに開示してない思考までは読めんからなぁ。俺は。
「ラミアー、行けるか?」
「らじゃーりょ〜か〜い」
と言う訳で、それが出来るラミアーさんの出番である。
ゾンビー攻撃を防ぐのもセフィに頼んで防風林的な何かを生やして貰えれば、防げるっちゃぁ防げるんだろうが、『どうにか出来ないか?』って相談受けた訳じゃ無いし、そもそも会議にすら呼ばれてないからなぁ。
余計な事は、しないでおこう。うん。
だとしても、スパイがこっち側に居るってぇ状態は、あまりよろしくないんで、排除させて貰う事にする。
これが、連合軍の中での足並みがそろってるってぇ状態だったり、少なくとも俺が謎の冷遇をされてない場合だったなりするなら、一芝居打って、偽情報を向こうに流してってぇ事も出来るんだろうが、現状、そうじゃ無いからなぁ。
俺に出来るのは、ただただ、敵を排除するってぇ事だけしかないんよね。悲しいけどなぁ・・・
『【忠言】そう言う事は何か企んでる様な表情で言うべきではないと愚考します。マイマスター』
なに、分かり易くスパイからの情報が来なく成れば、何がしかのリアクションが来るんじゃないかな? って、思っただけさね。まぁ、ハブられてるなら、こっちはこっちで話進めちゃえって思ってるのも確かだけど、俺はね? 無駄な会議で時間潰されたくはないのよ。無駄になぁ。




