出来れば活用したい所
兎に角、あの宝物庫の中のホムンクルス達は、適切に管理さえしてれば休止状態で保存し続ける事が出来るって事なんで、一先ずは保留と言う事にした。
防衛機構って事で、【万有引力】使いのホムンクルスが足止めをしている間に、侵入者に攻撃を仕掛ける係のホムンクルスって言うのが居たんだが、そいつは例の機能不全状態の時に、宝物庫を掌握したジャンヌによって起動中止しているんで、取り敢えずそのまま留め置いてもらってる。
なんと言うか、動いてない方を現状維持しておくのは構わんとか思って居るにも拘らず、既に起動している方のホムンクルスは、システムの中に戻して強制休眠にするのにモヤるってのは、これ以上ない程に偽善なんだが、俺の精神衛生上の保全と言うか、ストレスを溜めないって方を優先させるって事で。
何にしても、何となくそんな感じの我儘を通させて貰う事にする。
この状況で分かると思うが、宝物庫のシステムを掌握してるジャンヌの方が、実際問題、当事者たるホムンクルスよりも、あの宝物庫については詳しく把握してるんだよなぁ。
てか、マジ何も知らんのよ、あのホムンクルス。
思考を読んだラミアー曰く、こっちの言葉は把握してるんだが、だとしても、それを噛み砕いて理解しようとはしてないんだとか。いわゆる思考放棄ってヤツだな。
ただ、俺と言う人物に関しては、理解不能で怖いとは思っているらしい。理解不能って何だよ。思考放棄する割には人の事理解不能で恐怖する程度の自我は有るんかい。
てか、やっぱりあのプルプル震えてるのは、怖がってるからなんだな。
それはさて置き、自発行動ってものをしないホムンクルスは、領主館の一角に、今まで通り拘留させて貰う。
食事は必要ないが、活動し続けるのであれば、【魔力】を供給しないとあかんらしいんで、その役目をイブにして貰う事にした。
本当は俺が出来れば良かったんだが、ほら、俺、【魔力】無いから……(震え声)
イブとジャンヌが揃ってれば【重力攻撃】も凌ぎきれるから大丈夫だと思うんだが、正直、俺も同行したいとか思ってるんよね。
いや、イブには『大丈、夫』だって言われたけどさ。
『【奮起】【魔術】の並行並列起動を模索してるのデス。その内個体名【イブ】も自分も個人で【重力攻撃】に耐えられる様に成って見せるのデェス!!』
「んっ!!」
まぁ、並列での魔法の起動はやってるっぽいからな。あれ? あれは遅延起動だっけ? ともあれ、同時に魔法を使う事は出来る訳だから、起動した物をそのまま発動してってぇ感じじゃなく、起動し、それを維持し続けられるようにしたいってぇ事なんだろうな。
イブにしろジャンヌにしろ、これだけやる気に成ってるんだから、そう掛からず出来る様には成るだろう。何せ家の子達、天才だからな。
まぁそんなこんなで、ホムンクルス達自体の運用は少し慎重に行うって事で、家族達と話は付いた。
とは言え、ホムンクルスの生成には、生体科学的なアプローチでの工程も多いから、病気とかの治療やら、植物の品種改良とかで役に立つだろう情報に対する希望も有るんよね。なんで、出来るだけ早めにホムンクルス達を制御下に置きたい所なんだわ。




