確定されていた未来
擬音が付くとしたら『ドンッッ!!』ってぇ感じか。
俺の眼前に並び立つのは御母様と末妹様。
そして、その向こうには額突く角犬達。まぁ、この光景だけで何が起きたのかは理解できるとは思うが、端的に言うと、家の犬達によって角犬達は制圧されました。
本当に一瞬だったわ。バラキが俺に襲い来る雌角犬達を八艘飛びよろしく跳ね回り鎧袖一触にしたのは。
その後、そのバラキの攻撃に反応した他の角犬達がバラキに攻撃を……と言っても、角犬達にして見りゃバラキの方が襲撃者なんだろうけんども、兎に角、その攻撃を仕掛けた角犬達の事をミカがあっという間に制圧した。
それも、俺がやったみたいに頭を一匹押えてってぇやり方じゃ無く、片っ端から分裂しての蹂躙で……ミカ、いつの間にか出せる分身の数、あんなに増やしてたんだな。前も分隊規模はあったけど。今や小隊規模。
何だろう、この『犬達の軍隊』……じゃ無くて『単独にして軍隊』。もはや犬の範疇超えてませんかね? 御母様や。
今更か? 今更だな。今更だったわ。
『【類似】似たもの親子ですね』
『【同意】ハゲ同デェス』
「ちょっと黙ろうか」
うん、当然の様に皆居たわ。てか、俺が合流最後だったらしい。
皆はあまり離れていない場所に落ちたらしく、すぐに集まって、完全にはぐれていた俺を探して居たんだとか。
まぁ全員、あの程度から落ちた所で、どうにか成る様な奴等じゃないしな。イブもジャンヌも飛べるし、ラミアーは【超能力】が有る。ファティマにしろセフィにしろ、高所から落ちた所で、どうとでも対処できる。
俺は、ホムンクルスを回収しようと飛び出して、離れた場所に行っちまったから、単独行動に成っちたっだけなんで、それさえ無けりゃ近くに落ちただろうから、皆がすぐに集まって、俺との合流が最後になるのも当たり前だわ。
さてさて、そんな仲間達なんだが、当然の様に、俺の周りに侍っている訳だ。
イブなんざ今、俺達に頭を下げている角犬達を見下ろしながら、鼻息を『フンスッ』って荒くしてるし。
何となく得意顔な感じがするから、俺が畏怖され敬われてるってぇ事実に満足してるっぽい。なんでか。
ドヤ顔晒してるのはラミアーとセフィも同だが、コイツラは俺にとか俺がとかって事より、頭を下げられてるってぇ事にご満悦らしい。いや、おまいらが何かやったってぇ訳じゃ無いじゃんよ。
まぁ、単純に序列が上である事を知らしめているのかも知れんが、この辺、やっぱり魔物故の感覚なんかね?
ミカが『わん! わおん!!』って吠える度に、角犬達が真剣な表情でコクコクと頷く。
バラキの方も雌角犬達に向かって何やらOHANASHIしてるっぽい。
「あおん?」
角犬達に向かって何やら吠えていたミカが、俺の方を振り向いて同意を求めて来る。明確な所は分からないが、ニュアンス的には、ここをミカのテリトリにして、角犬達を傘下に治めたようだ。
まぁ、その辺は好きにすると良いと思うよ?
と、またしてもミカが『わおん!』と吠えると、今度は角犬の雄達が立ち上がり、散開する。
『【納得】ほほう、どうやら角犬達に“扉”を探させる様ですね』
『【同意】人海戦術デェス!』
あ、うん。
振り向いて『どうだ!』とばかりに胸を張るミカをワシャワシャとモフりまくる。
いや、ミカさん、優秀過ぎやしませんかね?




