“神”爆誕……そう言えば元々【闘神】だったよね
間が空きましたが、生きています。相変わらず体調が優れませんが。
更新する意思はありますので、お付き合い頂けたら幸いです。
まるで崇めるかのように俺の方に首を垂れる角犬達。流石にこういう態度を取られると蹴散らすってぇ訳にも行かなくなるやね。いや、今、蹴散らす必要なんて全く無いし、ここに来た時点で、そんな気なんざそもそも無いんだが、一応にも魔物だしなぁ。
あー、いや、キメラやらサイレンやら、懐いて来る魔物も居るってのは分かってるけど、完全動物型と亜人型だとまた、ちょっと心持ちが違うというか、なんと言うか……
この恐れ敬う様な態度だけでも、どうしたもんかとも思うんだが、それどころか、何か角犬リーダーみたいに、新生児らしき仔角犬を抱いた角犬達が俺の前に次々と集まって来ては、仔角犬を捧げる様に差し出して来る。
何? もしかして祝福でも与えて居る様に見えたのか? さっきの行為が。
うーん。流石にこれをシカトして行くのも『何だかなぁ』って気分になる。無条件で慕ってくる相手に甘くなるのは、俺の弱点かも知れん。正直、敵対してた方がやり易かったまで有るわ。
そんな風に悩んでいる間にも、仔角犬を連れて来る角犬の数がどんどん増えて来る。って言うか、既に新生児じゃない仔角犬も増えて来てるんじゃが!?
明らかに自分の足で立ってる様な仔角犬とかさぁ。
周囲からの熱の籠った視線とか、マジやり辛い。何がって、逃走が。そうしてる間にも俺への列は増えている。ホント、どないしたもんだか。
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何と言うかね、周囲ではむせび泣く角犬達がそこかしこ。あと、何か遠吠え風な感じのアレそれとかとかががが。
うん、やってますよ。差し出された仔角犬をいったん抱き抱えてから、その親角犬に【プラーナ】流しつつ返してやるってぇ謎儀式。
いや、本当に何なんだろコレ。
「下に出られてるからって、期待に応えちまってる俺も俺なんだが、とは言え、コイツ等の行動も大概だと思うんだわ」
そして不思議そうにこっちを見上げるなやホムンクルス。コイツはコイツで意思疎通がままならん。相変わらず、視線が合うと震えながら視線を逸らすし。
それはそれとして、数を熟せば熟す程に、角犬達の俺に対する信仰値みたいなのがみるみる上がって行ってるのが肌で感じられるんだが? 何と言うかこちらを見つめる周囲の角犬の視線に込められた熱量が上がってる感じがさぁ。
突発的に始めてしまった謎の儀式なのに、何でこんなにすんなり受け入れられてるんだか。そもそもあれよ? 変に仔角犬の命運を託されたくなかったから、有耶無耶にするためにやった事でしか無くて、別にこれやったからって、その仔角犬や親角犬に【加護】やら【祝福】が与えられるってぇ訳じゃぁ無いんじゃが!?
にも拘らず次々に仔角犬連れた親角犬の数が増えて行ってるってのが一寸恐怖。
これが、狂信と言うやつなのかっ!!
とは言え、こっちの事情やら思考なんて、それこそ角犬達の方には知ったこっちゃないってぇ話なんだろうし、そもそも意思疎通自体が出来て無いから、もう、角犬達が“そう”感じたからってえ事で、この騒ぎに成ってるんだろうけんどもさぁ!
俺にしてみれば、角犬達がどう感じているのかも謎なのは変わりなく、ただ、コレが原始的な信仰の様な物だって事は分かる。
だって、唐突に現れた“強大な力を持っているらしき何か”が、“その力で自分達を屈服させ”て、“その後に服従したら何やら多幸感を与える”って、自然災害を神として崇めて、祭り敬う事で恩恵を得るってぇ、シャーマニズム的原始宗教そのものだもんなぁ!
続々と俺の元へと詣でる様に列を成す仔連れ角犬と、その威光を受けて、むせび泣いてる周囲の角犬達。
ある意味地獄絵図のような光景。
本当に、どうしてこうなった!!




