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古き良き時代の

 “扉”を潜った先は、これまた先ほどの荒野と一変し、何と言うか、前世の昭和漫画の『SF作品の研究室』と言う表現がピッタリの場所だった。硬質で無機質な金属板をパッチワークの様に継ぎ合わせた青白い壁に、所謂『松〇メーター』とか『零〇メーター』と呼ばれる様な、用途不明な丸いメーター類。大型のスチルポットの様な謎器具の数々。

 うん、取り敢えず、元の場所じゃぁ無いってのは分かる。


 てか、ここも宝物庫かと言われると違和感しか無いやね。いや、あの荒野が、元々どんな感じだったのかも分からないから何とも言えんが、向こうにしろ、ここにしろ、どの道『宝物庫と言うにはどうよ?』って感じの場所ではあるんだけどさ。

 “扉”から入った直ぐの、短い通路の様な場所で周囲を窺う。入り口であろう三方枠的な部分には特に凹凸も『零〇メーター』も無く、ここで何かを操作できるって訳じゃぁ無さそうだ、が、よくよく見れば小さな送風口の様な物が見えて居る。つまりこれは……


 そんな事を考えていると、背中に軽い衝撃。


 ビー!! ビー!! ビー!! ビー!! ビー!!


「っ!!」


 思わず俺が一歩足を踏み込んだその時、唐突に何らかのブザー音が鳴った。


「ううぉぉぉぉぉいいぃぃぃ!!!!」


 別の大陸の『生きてる古代遺跡(ダンジョン)』で、こう言った施設に光学的センサー類が有る可能性は分かって居たし、俺だって、その為の警戒はしていた。だが、まさか、唐突に背中を押されるとは思わんじゃん!?


 俺は思わず背後の()()()目を向ける。


「ワン?」

「アオン? ワン!!」


 俺を追って来たであろうミカとバラキは曇りなき眼で俺を見上げる。いや、ブザー音、鳴り響いとるんじゃが!?

 とは言え、この二頭(ふたり)がこれ程呑気にしてるって事は、ブザー音のソレとは関係なく、この辺りに危険は無いと判断しても良いんだろう。


 危機察知能力に関しては、野生の本能故か別の何かか、俺はまだまだ犬達に及ばんからなぁ。


 って事は、このブザー音、そう言ったトラップの類じゃぁ無いってぇ事なのか? その類いの物は、普通、適正に使用してる人間だって、『入ってから解除』しなけりゃいけないって事も有って、入ってすぐだったら、それなりに安全地帯に成ってる筈で、こんな足を踏み入れただけでトラップが発動するってのは、本来可笑しい事なんだ。

 ましてや、トラップを解除する為に必要なコンソールなりパネルなりが、さっきまで俺が居た入り口付近にないってのは確認してるから、ならどうしたって、そう言った類は部屋に入った場所にないと可笑しい。

 まぁ、“扉”に入る前に有ったってぇ可能性は有るけど、だとしても、向こうがあの状態なら、むしろ機能している方が変だしな。そう成ると、このブザー音は何なのかってぇ話に成るんだが……


 まぁ、分からん物はしょうがない。ここからは慎重に進む以外の行動は取れんのだよな。

 本来なら、撤退するのが賢い選択なんだろうが、下手にこの状態から元居た場所に戻って、こっちで隔壁的な何かが閉じたら、多分、二度と入れないだろうからな。

 いや、動けるだけのスペースが有れば、その限りじゃ無いと思うんだが、“扉”から出たすぐ目の前とかだと、踏み込めないし、踏み込む為に一歩引いたら、そのまま転移しちまうからなぁ。出来れば、隔壁が閉まるにしたって、俺がこっちにいる時に閉まってくれれば、多分、どうにでもなる。


 本当はジャンヌ辺りが来てくれれば、ハッキングとかして貰えるんだろうが、この部屋の中、機密がしっかりしてるのか、それとも【念話】対策がしてあるのか、聖武器’sと【念話】が繋がらんのよね。


 何で、俺が、“扉”の直ぐ近くに隔壁が下りる事を警戒してるかと言えば、入り口付近に有った送風孔、あれ多分エアカーテンの噴射口だろう。つまり、あそこで埃かウイルスかを除去する必要が有るってぇ事で、隔離するならあの場所からってぇ事な訳だ。

 まぁ、今は作動して無かったけど。


 やっぱり、スイッチ成り何なりが“扉”の向こうに有ったってぇ事なんかね? だろすると、あの荒野に成ってる場所、元々は風除室的な何かだったんじゃろか?


 まぁ、今は不明なんだけどさ。

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