まぁ考察。裏は後でとるけど
色々とあって遅くなり申し訳ない。
阿呆領主は何か喚いてたけど、面倒臭いんで頸動脈締めで一瞬で落とした後、家の警備に連絡して貰ってゲストルームの一つへと放り込んでおく様、指示しておいた。
取り敢えず阿保領主よりも、この場の他の貴族を言い包めて纏める事の方が優先順位は高い。今後の家の領地の評判に関わるからなぁ。
そんで絞め落とす際の、あまりの手際の良さ若干引いてる貴族連中に向かって、渾身の笑みを浮かべながら、恭しく頭を垂れる。
「少し騒ぎは有りましたが、問題なく解決しましたので、皆様は、引き続きお楽しみください」
俺がそう言うと、俺の所業に慣れてる近隣領主の貴族達の方は、苦笑しながらも引き続きパーティーを再開し、慣れていない方の貴族や、俺を嘗めていた貴族連中は顔色が悪くなっていた。まぁ、さもありなん。自分の明日の姿かもしれんのだし。
はっはっはっ、不要不急な手さえ出さなきゃ問題など無いのだから、そんなに怖がることなど無いのだよ? おまいら。
「で? 本当に何が有った?」
そしてネフェル王女に向き直って、そう尋ねてみた。
いや、阿保領主やネフェル王女の態度から、何となく察する事は出来るけど、『多分』『だろう』で動くのは悪手だからな。家の身内に手を出す相手に自制はせんが、こう言う事に関しちゃキッチリしとかんとね。
「……『野蛮なガキのお守は大変でしょう?』とでも言われたか?」
「えっ!」
その表情で全てを語ってるんだわネフェル王女。まぁ、大体は想定の範囲内だな。王女の反応も含めて。
ただそれでも、俺の誕生日会場で、そこまであからさまな事はせんだろうとか思ってんたが、流石に同盟国の王女に俺の悪評……にも成って無い悪口を語る輩が居るとは、お釈迦様でも分かるめぇよ。
流石に近隣領地の内部事情を全く把握してないって事は無いだろう。そもそもネフェル王女の事については、別段、秘密にしてる訳でもない。ことさら吹聴もしてないが。
次男坊って事は、積極的に政治周りに参加させられてたって事もないだろうけど、全く触れられなかったってぇ事もないハズだ。
『同盟国の王女が身を寄せている』ってえ、話くらいは知ってて可笑しくないし、俺が冒険者上がりだってのも知ってるだろう。
そっちに関しちゃ、大々的に授爵してる訳だし、国としても『こんなに強い家臣が出来ました』的な事を喧伝してるはずだしな。
阿呆領主の認識的には『冒険者上がりの粗野な伯爵が近隣に居て、しかも同盟国王女が身を寄せているらしい』ってくらいの認識だったんだろうさ。
そんな粗野な伯爵……まぁ、辺境伯なんだが、私軍を有し、独自の判断で行使する権限を持っていて、実質侯爵と同等の権力を有しているとは言え、身分で言えば侯爵より伯爵の方が下だってのは確かなんだ。
だから、当主と次期当主を一気に失って、にわかに当主に成った阿呆が、そう認識してても可笑しくは無い。
俺に関する噂話を知ってたとしても、実際の姿を見て、侮る事もあり得るだろう。なにせ見た感じ10才前後。18才ですよと言われても信じられないのもわからんではない。そもそも、本当は8才な訳だしな。
そんな感じで、俺の誕生日に招待されて来てみれば、件の伯爵は予想以上に子供だし、一応にも最高位の王族である筈の王女が付き添っているしで、どう言う事かと考えた結論が、『粗野で礼儀を知らない餓鬼が何らかの理由で王女が付き合わせると言う形で、礼儀作法について不問とさせ、王族を従えてるんだ的な権威付けも企んだのだろう』とか思い至ったんだろう。
事実は全く違うが、傍から見ればそんなもんかも知れんやな。
だから、体よくダンスに引っ張って来れた時点で、自分の方に取り込めないか? と、思ったってぇ所かね? 粗野な餓鬼伯より、侯爵家の自分の方が魅力的だろうと。自分も後ろ盾が欲しいってのもあってなぁ。




