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王都散歩

 予想よりはるかに早く巣の討伐を終えたんで、ちょっと足を延ばして王都まで来てみた。教会(きょてん)の皆に土産も買わんとあかんしな。

 凄いね、公都も結構賑わってると思ってたが、王都はそれ以上だ。


 王城は湖の畔にあり、その周囲に森。そこを抜けた先に貴族街、上級市民街、中層街、と続いていて、ここまでが一応の城壁内と成って居る。

 公都の時も思ってたんだが、敷地内に森とかアホじゃなかろうか?

 この国は起伏に富んだ地形のおかげも有って水源が複数ある為、水が豊富らしい。


 で、その城壁の外に平民街があって、何と無く職人やらが集まっている場所、倉庫が立ち並んでいる場所、農民が住んでいる辺りと分かれているらしい。

 この辺りにまでくると、2m程度の石垣が有って、巡回する兵士が居る事はいるが、それ程強固と言った感じはしない。

 魔獣とかが少ないせいだな。そんなんだから、王都には冒険者は少ないらしい。一応、冒険者ギルドはあるが。

 王都迄の商隊とか、王都から出る商隊とか、そんな辺りに需要があるそうだ。ソースはグラス。


 街中を移動して居ると、犬車に乗っている事も有って結構視線を集める。まぁ、色物集団だって自覚はあるしな。幼児幼女とロボ……いや、この世界風だとゴーレムに見えるんだったか、それが2体と一匹。それに加えて犬6頭。うん、目立つなって方が無理だな。

 そう言や、俺も一応貴族に成ったんだから自分の紋章とか作らなあかんか? 後でエリスに確認だな。


 この世界のゴーレムの扱いは、遺跡(ダンジョン)の出土品だったり、魔術師の作った下僕だったり、貴族が作らせた美術品扱いだったり。一応、魔術を駆使して作れん事は無いらしいんで、全く見ないって事は無いが結構な希少品ではあるらしい。

 ダンジョンの出土品や貴族が作らせた物なんかは、それなりに造形されてて、美術品としての価値も高いらしいんだが、逆に魔術師が労度用として作った物は、実用一点張りの武骨な物。ドラゴンをクエストするゲームに出てきそうな、そんな感じの。笛で眠るって事は無いと思うが。


 そう言う視点でみれば、俺は美術品のゴーレムを2体侍らせて、工業用のゴーレムに車を引かせてる事になる。どんな御大尽だ。あ、伯爵だったわ。


 門番に聞いた犬達も一緒に泊れるって宿に到着。一泊で山吹色のお菓子が数十枚飛んでくってぇ高級宿だった。いや、こんな所じゃなくて普通のグレードで良かったんだが?

 まぁ、おそらく俺が御大尽の子息だとか思ったんだろう。高級品侍らせた。うん、まぁ、さもありなん。


「トール、さま……」


 イブが困惑した様子で俺を見る。まぁ、たまにゃ、こんな贅沢も良いか。ガーディアンの素材を半分ほどリティシアにってか聖王国に買い取ってもらった時、結構な金額貰ってるし。


 最近の拠点は、精油の売り上げも著しいらしいし、オスロー達も結構な狩りの成果を出しているっぽくて、それ程金には困ってない。

 食費や生活費、備品類なんかを買って、その上で皆に“おこずかい”を渡しても余裕がある様だ。

 この辺の事はマァムが仕切ってくれているんで、俺は数字に目を通すだけだが。


 それと、わら半紙が、結構売れているそうだ。精油の売り上げも含めて、これ以上売り上げが上がる様なら商業ギルドに商会として届け出を出さないといけなくなるとか何とか。


 ああ、そう言うのの取引のときにエクスシーアに出張って貰えれば良いか。商会を立ち上げる時はアイツに代表として名前を出してもらおう。


 それはともかく、チェックインかな?


『【少々】私が行ってきますので、マスターはお待ちを』


 そうか、貴族って事は、こう言う手続きとかを自分でやってると格を下げる事に成るのか。そうなると、供回りの出来る人間を探さないとか?


『【否定】そう言った事は私ができますから不要ですよ?』

『【肯定】そうそう、そう言った事はボク達にもできるんだから、オーナーはドーンと構えてれば良いデス』


 いや、おまいら聖武器だろ? 一応、国宝じゃね?


『【否定】今はマスターの物ですから』

『【追従】そうだよ、ボク達はオーナーの為に存在しているのデス』


 そう言ってファティマ達は宿の方に向かって行った。


 ******


 宿の従業員に、なんか土産に成る物は無いかと聞いたら、王都は別に特産品とかは無いが、全国から商人が集まるので露店でも見てきたらどうかと提案されたんで、とりあえずブラブラする事にした。

 流石に犬車は宿に残して来たが。あれ、一応最新技術の塊だからなぁ。俺達的に。まぁ見ただけで理解出来るのなんて形状だけだから、問題ないっちゃ問題無いか。

 高級宿だからそれほど心配はしては居ないんだが、それでも珍しもの好きの貴族だったり、目ざとい商人なんかだと食いつく可能性も微レ存。


 いや、こんなとこでフラグを立てる事も無いか。今日はイブ達と楽しもう。


 従業員に教えて貰った通りにまで出る。さすがに屋台やら露天商なんかで賑わってるな。


「イブ、何か欲しいもんとか有るか?」

「う……」


 あちこちをキョロキョロと見まわすが、どれを選んでいいか迷ってるらしい。犬達は……肉一択か。ファティマ達には欲しい物とか無さそうだし、こうやって、ついて回ってるだけとか暇じゃないか?


『【否定】マスターと供に有るのが一番の御褒美です』

『【追従】オーナーと一緒だと、大きな戦闘とか巻き込まれる事も多いデス。それに、だいたい狩りで使って貰ってるデス。だから、偶にはこう言うのも良いデス』


 ああ、そう言う。


 幾つかの食事の屋台を回り、土産に成りそうな小物も買って行く。そう言えば、こっちでの化粧水みたいのってどんなんなのかねぇ?

 精油やら、わら半紙やらで商会を起こせそうな立場でもあるんで、その辺ちょっと気になるかもしれない。

 まぁ、商品がそれだけだと厳しいから、他にも何か考えんとか? あ、馬車のチューンナップとかどうだ? う~ん、商品ラインナップに統一性がなさ過ぎるか。


 イブ達とそんな風に話ながら屋台を冷かしていると、酒場らしき場所から、大声が聞こえてきた。

 いや、それが、ただの大声だったなら、別に気にも止めんかったんだがね。


「おいおい!! この方をを誰だと思ってやがる!! 『ドラゴンスレイヤートール』様だぞ!!!!」


 思わず皆と顔を見合わせたわ。

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