表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1106/1135

色々あるんだわ、貴族って

 遅くなり、申し訳ない。

「結婚は許さないけど、婚約者は決めなければいけないかも知れないわよねぇ。嫌だけれど……」


 本当に嫌そうに第二夫人(ママン)がそう言う。貴族的にはそうしないと、俺に何らかの瑕疵が有ると思われるし、侮られるんだそうな。

 いやまぁ、実際に、実年齢の事とか、魔族に狙われてる事とか、色々瑕疵は有るんだけんども。


 社交活動については第二夫人に一任してるってか、後見人を買って出てくれているんで、任せっぱなしに成っちまってるってのが現状なんで、第二夫人の判断が優先されるんよね。

 いや、実母でも有るから甘えちまってるってぇ面も有るけど。

 その第二夫人の判断であるなら、婚約者位は覚悟しないといけないかも知れんわ。

 はい、視界の隅でアピールしてるエリステラレイネさんは落ち着いて下さい。

 第二夫人が頰に手を当て、溜め息を吐く。


「実際ね? 結構な申し込みが有るのよ?」

「婚約の、ですか?」


 実際問題、俺は悪名の方が轟いてると思うんで、そんな所に娘を送ろうとか思ってる貴族がいる事自体が、ちょっと驚きなんだが。

 そんな事を思っていたんだけど、ジョアンナさんがちらりと見た、机の上で存在感を主張してる摩天楼群と成っている紙の束を見て、少し眉根を寄せる。


「もしかして、アレ全部、釣書ですか?」


 ジョアンナさんがコクリと頷く。


 ……マジか。


「やっぱり、貴族としては、王家に直接的な繋がりを持てると言うのは、魅力的みたいね。それも複数のでしょ?」


 チラリ、と魔人族国女王(エリス)の事を見る第二夫人の言葉に、『ああ』と納得する。

 自国や魔人族国(りんごく)だけじゃなく、魔導王国や獣人の王国、はては聖王国やネフェル王女とも、縁は有るっちゃ有るのか。


 確かに、複数の王族との縁が出来るのなら、暴力装置(おれのあくひょう)なんて、些細な事かもしれない。

 政治的判断で政略結婚の駒にされるってのは、現代社会に生きてた俺からしてみれば『どうなんだろ?』って感じはあるけど、よくよく考えれば、親が相応しいと思った相手を紹介してくれるんだから、ある程度は、相手の事を調べては居るだろうし、ある意味、マッチングアプリよりかは安全だろう。

 そもそもお互いの交流期間として婚約期間ってのがある訳だし。その間で条件や相性が合わなければ、婚約が解消される事だってある。

 ある程度は家の事情が関わって、完全に個人の意見が通るって訳じゃないとは言え、変に自由恋愛に拘るよりは、良いのかも知れない。


 そもそも前世だと、『出会いが無い』とかのたまってて、アラフォーに成るまで結婚もせず、孤独死してる訳だし。

 いや、出会いなんて、作ろうとか思えばいくらでもあったよ。それこそ、そう言うアプリだって有ったわけだし。

 親不孝だとは思ったけど、その必要性を感じなかったんだよね。

 今、思えば、突然死してる時点で伴侶とか居なくて良かったかな? とか思わんでもないけど。

 だって、結婚とかしてて、働き盛りの夫が突然死とか、残された方はどうするの? って話に成るからな。


 とは言え、あの選択が絶対的に正しかったとも思ってもないけど。


 それは兎も角、現世での話だ。他の貴族への影響とか考えて、相手を選ばなきゃならん辺りで、面倒くさいよなぁ貴族って。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ