今更だから
遅くなり申し訳ない。
ネフェル王女が眉毛寄せてる以外は、他の面子に特に反応はない。
まぁ、王女以外は、俺の実年齢分かってるか、特に気にしないメンバーだからなぁ。
「あ、あの、『幼い』とは?」
うん、当然の疑問だよね。
「……口外しないなら教えられるけど、そうでないなら言えない感じの話」
いや、バレたとしても特にどうこうって事でもない気もするんだけどな。実際、国王陛下も、察してるってか、俺の出生について分かってるっポイし。
「当然です!! 自分が師父の秘密をバラす等と言う事なんて有りえません!!」
力強く宣言してくれるね。てか、何か少しテンション上がってるけど、何で?
まあ、良いけど。
何となく、第二夫人に目配せすると頷いてくれたので、ネフェル王女に話す事にする。
「まぁ、大した事じゃないが、俺の実年齢が、まだ7歳だって言うだけの話だよ」
いや、言ってしまえば、本当に大した話じゃないな。
俺はそう思ったんだけど、ネフェル王女にとってはそうでも無かったらしく、目をまん丸にして驚いていた。
「7歳!? 7歳でこんな……」
静まり返った部屋で、王女の呟きがヤケに響く。『こんな……』何だろうね? まぁ、良いけど。
特に口外しないなら、何も問題は無いし、この際、ネフェル王女の現在の心情については考慮しなけりゃいけないって事でもないし。
ぶっちゃけ、どう思われたとしても、それが敵対的無訳じゃなければ、問題なんざ無いからな。
「天才……」
「は?」
「師父は天才です!!」
「あ、はい」
何かネフェル王女、目を輝かせてるわ。
「小柄だ小柄だとは思っていましたが、まさかまだ1桁台だったとは!! にも関わらずのその功夫!! しかも独学!! これが天才と言わずして、何を天才と称せましょう!!」
思ってた反応とちょっと違う。いやまぁ、小柄なことに関しては否定はせんのだが、それでも他の7歳児に比べれば発育は良い方なんよ?
いや、そもそも2mを超える体躯を持つ、巨人族の先祖返りっぽい王女からしてみれば、大概は小柄じゃないかな?
それに俺は前世の記憶を持ってるから、独学ちゃ独学だけど、そっちのロジックが全く無いかと問われれば、“否”なんよね。だから天才かと言われると、どうなんだろ? これ。
「うん、まぁ、分かったんで、口外はせんでな?」
「分かりました!! そうですよね! ただでさえ注目を集めている師父が、これ以上注目を集めるのも、動き辛く成りますものね!!」
「え? うん。まあ」
え? 注目集めてるの? 俺。
「いまさらだよぉ。トールん」
ラミアーの言葉に、周囲を見れば、皆が『何をいまさら』的な表情で見ている。
……いや、ある程度悪目立ちはしてる自覚は有るけど、注目を集めるとか言われる程とは思って無かったんだが……
そつか、集めちゃってるのか。
いやまぁ、だからと言って、どうしてみようも無いんだが。
あまり気にしないようにしよう。そうしよう。




