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思い付いたんだから実行してみるんだよ

 遅くなりました。

 申し訳ない。

 検証と実験は一通り終わったんで、領都の方に戻る事にする……いや、その前にやっておく事が有ったな。


「セフィ、頼めるか?」

『なんくるないさぁ』


 なんで沖縄口。まぁ、良いけど。

 クレーターだらけの元荒れ地を見る。セフィが両手を挙げ、何か光が下から湧き上がる様なエフェクト。いや、おまい今まで能力行使する時、そんな事一切やって無かったよな? てか、その光るヤツ。カードバトルやってる時のエフェクトの応用だよな。何だその無駄演出。


 ふと、周囲を見ると、何か感心してる風の家族とは別に視線を泳がせてるジャンヌとラミアー。そうか、原因はおまいらか。

 まぁ、特に問題もないし、他の家族が感嘆の声を上げる程度には神秘的に見えるらしいから、今日だけは不問にしてやる。


 セフィがそのまま地面に手を付けると、俺達の正面に二本の木が生えて来る。高さ的には1mそこそこ、ただし幹の太さは直系で20cm位あるゴンブトさん。

 幹から蔦が伸び、お互いの蔦が絡まると、それが綺麗に網の目状に汲まれて行く。


 そして完成! ハンモックだ!!


 ここを緑の森にでもすると思ったかい? ハズレだ。そんな事やるんなら、もっと前にやってるし、セフィの力だけに頼る様な事なんざせんよ。

 第一、森林であるなら大森林が有るしな。


 それは兎も角として、いや、さっきラミアーとセフィがやってるのを見て、どうしてもやりたかったんだよね。ハンモックって、前世だと全くやった事が無かったし。

 ラミアー達に、ハンモックの使い方をレクチャーして貰う。


「そこに座って、一気に寝転ぶんだよぉ」

『ためらったらしぬぜぇ』

「いや、死なんだろう」


 言われるままに、まず、ハンモックの縁に腰を掛ける、そうして、そのまま飛び込む様に体を預けた。どうやら成功したらしく、俺の身体は、思ったより弾性のある網の中に、包み込まれる様に寝転ぶ事が出来て居た。


『どうだい? 寝心地は』

「控えめに言って、サイコーだ」


 ユラユラと揺れる、ロッキングチェアの様な、いや、その態勢も含めてゆりかごの様な感覚。いやまぁ、縦揺れと横揺れで、全く違うっちゃ、違うんだけんども、似た様な別の物が思い浮かばん。強いて言えば水に浮かべたビーチベッドが近いか? ただ、この全身を包み込んでくる様な感覚は、ビーチベッドにはない物だ。

 網状の本体で体を支える構造上、背中側にもそよ風を感じる。うん、まるで風の中に包み込まれてる様だわ。コレは良い。あたたかなそよ風と緩やかな揺れが眠りを誘う。


 これがクレーターだらけの元跡地じゃ無かったら、もう少し景色も堪能できたんだろうけど……

 クレーターでぼこぼこかぁ。


「イブ、ジャンヌ、明日以降も、ここでもっと魔法の練習しない? 特に爆発する系の」

「ん!」

『【成程】分っかりましたデェス!! アドミニストレータ!!』


 イブは練習できるのが嬉しいらしいが、ジャンヌは俺の意図を読んでくれたらしい。まぁ、その結果が出るのなんて、もっと後の事だし、それこそ10年、20年単位の先を見越しての事だけど、そう言う長期展望も悪くないだろう。


 それと決まれば、ここ迄の道や、最低限の休憩設備も完備せんとな。


『【成程】それはそれで公共事業として成立させられますね』

「まぁ、俺の思惑が上手く行けばだけどな」


 そんなこんなで、色々と思惑を巡らせながら、俺達は元荒れ地を後にした。

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