戦いの中で成長するとか、何処の主人公補正かと
色々理由あって遅くなりました。
申し訳ない。
アポリオンの雄叫びが響く。昆虫型系なのに鳴き声『うおおおおぉぉぉぉ!!』で良いんかね? いや、セミの鳴き声みたいな騒音でも困るが、【怪人体】だった頃は『ギチギチギチギチ』って言ってたよね?
ブォンッ!!
って、危な!! アポリオンの爪が頭部を掠めた!!
あぁ、なんか変な思考に陥ってたわ。ちょっと思考が低下してやがるな。肉体的には疲労感は無くても、これだけギリギリの攻防をしてると精神的に疲労してくるんな。
アポリオンはアポリオンでかなり体力を消耗してる様に見えるんだが、それでも未だに脅威になる威力の攻撃をしてきやがる。やはり、質量がデカいと、威力もデカい。
正直に言えば、アポリオンはなるべく早く倒してしまいたい。魔族の特性の一つである【恐怖】を垂れ流しにしちまってるのもそうだが、もう一つの特性【オド吸収】が発動しちまってるのがなぁ。
「っとお!!」
さっきよりも鋭い一撃に、ブースターを吹かす事で回避する。
成る程、どうやらアポリオンは、【魔神体】の扱いに慣れてきた様だわ。攻撃がコンパクトに、的確になって来ていやがる。最初は、力に振り回されてる感があったが、力の調節が上手くなってる。
それはそれとして、【オド吸収】は、パッシブで無差別に周囲の【オド】を奪うみたいだから、なるべく何も無い荒野へ誘導してもらった訳だが、この【オド吸収】の効果範囲がどれ程のものかってのは分かってない。【邪竜】の時は、少なくとも視界の範囲には効果が及んでいたと思う。
この世界の物理さんが、前世とほぼ同じであると言うなら、おそらくこの世界の大地も、ほぼほぼ地球のそれと、大きさとかも変わらんだろう。
だとすれば、大体4km程度は効果範囲内だったと見て良い筈だ。人の視界内の地平線とか水平線とかって、その位の距離の筈だからな。
最もそれは、俺の見えてる範囲って事で、実際に効果のあった範囲ってぇ訳じゃないがな。
【邪竜】でそうだった上に、今のアポリオンは、【邪神】の力を借りて【魔神体】に成ってるから、どれだけの範囲が広がってるか分からんのがキッツイ。これ、時間経過で範囲が広がっているとかだったら、目も当てられんわ。
そう言う理由もあって、あまり時間を掛けたくは無いんだがね。
疲弊はさせてる筈なんだが、それを押して余りある程には、動きが良くなっていってるのがな。【闘神化】すると、そこまでで蓄えた【プラーナ】に強さが依存する俺と違って、向こうはまだ、伸びしろがあったって事かよ!
以前闘った時とは、ちょうど真逆の展開か。あの時は、俺の方がスロースターターだったからな。
アポリオンの打ち下ろしの拳を受け流す。が、やはりさっきよりも一撃が重い。
反撃が蹴り以外だとダメージに成らない現状、重い攻撃をまともに対処しようとすれば、両足が地面に付いていないとキツイんで、反撃が出来なくなる。
それは要は、攻撃手段が無くなるのと同意義だ。
当然だが、闘いってのは、攻撃できなけりゃ勝つことは出来ない。ダメージも無いのに、敵が負けを認めるなんて事は、相当な事情がなけりゃ有り得ないだろう。
つまりはジリ貧どころの騒ぎじゃなく、負け確に成るってぇ話だわ。
さて、どうする?




