アポリオンの提案
ちょっとここまでで限界でした。
明日は~と言っておいて、かなり遅れました。
実際の所、体調不良がまだ後を引いていますがw
遅い上に短くて申し訳ない。
俺の前で立ち止まったアポリオンは両手を合わせ、一礼した。パズス軍の兵士自体は、100m程度向こうで隊列を組んだ状態で停止している。この野郎、たった一柱で、俺の軍の前まで来やがった。まぁ、俺以外が相手なら、どうにでも成ると思ってるんだろう。そしてその自信は根拠ない物じゃないってのがなぁ。
「お久しぶりですな。オーサキ伯」
「いけしゃぁしゃぁと。逃げ帰ったくせに」
「いやいや、そう言う、命令だったのでな。拙僧としても最後まで戦いたかったのだが……実に苦渋の選択であった!!」
皮肉ってみたが動揺は無し。前回は本当に威力偵察をしに来ただけだった、と。
そして今回は、勝つ算段が有ると言う事か? 流石にこの状況で、今回も威力偵察ってぇ事は無いだろう。
「早速であるが、提案があり申す」
「何よ」
提案、ね、まさか降伏勧告って事は無いよな? いやむしろあり得るのか。パズスは『国民』を欲しがってる。『国土』でも『利益』でも『権力』でもなく『国民』を、だ。
ただし、国民の幸福とかそう言う物を求めている訳じゃぁ無く、むしろ国民にとっては真逆に成るだろう『絶望』『嫉妬』『憤怒』『激情』と言った感情を喚起する様な状況に追い込んで行く為にだろう。それこそが、バズスの望む、人類の一段階上の姿へと至る道であり、【邪神】が【加護】を与える為の興味を引く【オド】を引き出す感情な訳だからな。
要は、仲間となる魔族を増やす為の処置で在り手段な訳だ。いや、仲間を増やす為に周辺諸国に戦争吹っ掛けるって事自体が、頭の可笑しい事なんだけんども。
「オーサキ伯には拙僧と一騎打ちで戦って貰いたい」
思ったよりまともな提案ではある、が。
「それに乗るメリットは?」
「拙僧をたった一人で押さえられますし、我々の戦いに巻き込まれる無駄な被害を減らせますな」
「断ったら?」
「普通に蹂躙し申す」
……まぁ、理解は出来る。俺とアポリオンが本気でぶつかり合えば、周囲の被害がどれだけ出るか分からんからな。
ってか、それって、俺を倒す算段が有るってぇ事だよね? 想像通り。
俺は、後ろの家族達を見る。それぞれが力強く頷いてくれた。
「分かった、その提案、受けよう」
俺の言葉に、アポリオンはやけに良い笑顔で頷いた。




