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誤解を解こう

 久方ぶりに寝落ちしてました。

 気が付けば10時間以上経過してると言う。

 遅くなって申し訳ない。

「有り難う、助かった。そして……済まなかった、色々と」


 陣営の一際豪奢な天幕、イワンス将軍のそれの中で、簡易ベッドに横たわった将軍が、俺達に感謝と謝罪の言葉を発する。


 まぁ、将軍的に、俺達に対して色々と思う所は有っただろうし、最終的には、イヤイヤだろうと、こっちに任せて貰えたんで、今更言うべき事なんざ無いがね。


「謝罪は受け取ります。これ以上、お気に為さらぬ様」


 何か、微妙な顔された。何だよ。


「いや、色々と邪推し、足を引っ張ったであろう? 何が、言う事は……」


 いや、俺達は他国の貴族な上に、見ただけだと女子供動物の集まりだからな、警戒するのも侮るのも、ある意味しょうがないっちゃ、しょうがない。それに、既に自身の愚かさ加減を反省してるってんなら、取り立てて文句を言う必要はないと思ってるしな。

 俺は死体蹴りはせんのだよ。


「しかし、ワシが足を引っ張っていなければ、貴殿等はもっと、功績を上げていられたはずだ。ワシが介入してしまった事によって、敵軍をまんまと逃がしてしまったのだから」

「あー……そもそも自分が依頼されていたのは、パズス軍の迎撃で在り、マデルマリート国王の防衛なので、そもそも追撃するつもりは有りませんでしたから」


 俺がそう説明すると、将軍、何でかブワリと涙を溢れさせた。いや、ホント、何なん!?


「ワシは、ワシは思い違いをしていた!! 『同盟国からの援軍などと言っても、所詮は他国。その上、軍でなら兎も角、こんな少人数で援軍などと、我が国を愚弄しておるのか!! しかもいつの間にか、我が軍の隊長格が挙って推挙すると言う始末!! もしやこの若造は我が軍を掌握し、この国を乗っ取る気なのか!?』と!! だからこそ、他の軍の人間を焚き付け、自らが活躍する場をねじ込もうとしていたのだとっ!! だが、蓋を開けて見ればどうだ!! 誠実にこの国を守ろうとしてくれていたのだと言うのに!! ワシはっ!! ワシは自分が恥ずかしい!!」


 うおっ、ぶっちゃけたね、いやいや、この場に他の家族がいなくて良かったわ。特に『俺過激派』のジャンヌとか、絶対『【提案】殺るデェス!』とか言いかねんかったわ。


『【肯定】その通りデェス!!』

『【同意】私も聖槍の意見に賛同した事でしょう』


 おわっ!! 【念話】かよ!! てか、聞いてんのかこの会話!! いや、やっちゃだめだからね? 同盟国の将軍だからね? 頼むよ、マジで!!


 あー……ちょっと、どうして将軍がそんな思考に成ったのか分からんけど、そもそも俺、国王の依頼でここに来てたよね? 詰まりは国同士では納得して貰ってこの国に来てる筈なんじゃが、何で国を乗っ取るとか言う話になったんだか。


 いや、確かにこんな少数で“援軍”とか言ってても説得力は皆無だよなぁ。いや、家の国王陛下(セルヴィスおじさん)にしてみれば、単騎でも中隊から大隊程度なら翻弄できる集団だし、実際、敵軍を制圧した事も一度や二度じゃぁ無いから、疑問も持たなかったんだろうけど、傍から見たら女子供の集団でしか無いから、まぁ、『ふざけるな!!』とか思われても仕方ないんかも知れんわ。


 ただ、実際、家の家族の戦闘を見て、『もしかして戦功を全て奪われるのでは!?』ってぇ不安と焦りが出て来た所で、実際に飛び出してみれば、この将軍さんにしてみれば、武功を上げるどころか、足を引っ張ったとしか思えん結果に成った、と。


 まぁ、こうして思考を整理してみれば、アレだね、やっぱり、現場で実力を見せといた方が良かったわ。

 結局、こう言った行き違いってのは、お互いの思考や常識のすれ違いから起こる物なんだから、事実確認、認識の共有ってのは大切だよな。

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