モヤるけど終わりかね
ツウーと、赤い筋が将軍の顔の上に伸びて行く。
グルンッと、白目を剥き、その体から力が抜ける。
周囲の騎士達は、一瞬何が起きたのか分からない様に呆けていたが、将軍の身体がグラリと傾いたのを見て、驚愕の声をあげた。
俺は、その体を支える様に受け止めると、馬上では危ないと思い、地面へと降り立った。
「し、将ぐううぅぅん!!」
「イワンス様あああぁぁぁ!!」
と、騎士達が悲痛な声を上げる中、俺は、額に刺さったその槍を引き抜くと、その兜をそろりと外す。
場所が額なだけに、結構な出血がある。が、まだ息は有る。兜と、その前立て。その兜の下に巻いていた鉢金すら貫通し、額に突き刺さっていたが、これでもギリギリ間に合った。俺が槍を掴むのが、もう0,1秒でも遅かったら、完全に頭蓋骨まで貫通してただろう。
まぁ、先っちょだけだ先っちょだけ。大丈夫大丈夫。生きてるから大丈夫。
さて、回復させるか。俺は【プラーナ】で回復させる為に、イワンス将軍の顔面に手を乗せる。
「き、キサマァァァ!! イワンス様に何をするううぅぅぅ!!」
と、それを見ていた騎士が、何を勘違いしたのか激昂し、俺に向かって剣を振り下ろした。
多分、騎士達には、フォルネウスが槍を投げたのが見えなかったからだろうけど、いや、俺、味方だっちゅうのっ!!
「こん、バカちんがああああぁぁぁぁっっ!!」
俺は、剣を振り下ろして来た騎士の剣をバックキックで蹴り飛ばした後、取り敢えず、そのまま回転し、逆の足で顎下から蹴り上げると、エリアルコンボを決める。
と、最終的に落ちて来た騎士の顔面を鷲掴みにして、地面に叩き付けられない様にそのまま横に放り投げた。一寸バウンドして転がって行ったけど、そのまま地面に叩き付けられるよりはマシだろうさね。
こっちは、おまい等の大好きなイワンス将軍を助けなきゃいけないんだっちゅうのっ!! 邪魔すんなや!!
他の騎士は、俺の電光石火のコンボを見て、近付くのを躊躇しているみたいだな。まぁ、その方が面倒無くて良いけどさ。
取り敢えず【プラーナ】を活性化させ、イワンス将軍の怪我を治しておく。まぁ、これで死にはせんだろうさね。
「と言うか……」
まんまと逃げられちまったな。イワンス将軍を治療して、後ろにいたはずのフォルネウスの方を見ると、そこには既に姿は無かった。
てか、パズス軍の殆どが撤退してるな。イブ達は……追撃してないな。まぁ、相手を殲滅するってぇのが目的じゃぁ無いからな。
てか、マデルマリート軍の兵士も追撃を行って無いわ。
何か、イワンス将軍が倒れたのを見た兵士達に動揺が広がってて、追撃をするどころじゃぁ無い様だな。
てか、将軍、こんな性格の割に、兵士達には慕われてるんやね。いや、性格どうこう言える程、イワンス将軍の事を知ってる訳じゃぁ無いんだが。
何か結局、決着はつけられなかったし、謎も増えちまったし、消化不良感が半端ないけど、これで一旦終了かね?




