偶然の一致かそれとも運命か
グラシャラボラスと言う“悪魔”は、前世ではあんまりメジャーって悪魔じゃなかったんだけど、どこぞの有名RPGで使われて、一気に知名度が上がった気がする。
俺? 俺は水◯しげる御大のファンだったから……
ただ、御大のグラシャラボラスは名前と姿絵が一寸違うんだけんども。
御大、わざと違えたり混同させたりするらしいんで、アレもその類なんだろう。
多分、宗教的な歴史的に、混同や同一化、誤訳なんかで取り違えるとかあって、色々混じったり別物にされたりするんで、その辺りのオマージュ的な何かかも知れんよね。
分かり易い具体的な例で言えば、西遊記の沙悟浄なんかは、本来、流沙河って言う河を住処にする妖仙だったのが、日本じゃ河童ってぇ事になってるじゃん?
あれだって、日本で分かり易い様に改変されたってだけなんよね。
因みに、西遊記の流沙河って、元々、水じゃなくて砂が流れる河の事だったらしいし、もう、本来のソレとは別物なんだわ。
それは兎も角、ラボラス侯爵、実際の所、名前と家名と分けて考えた場合は、どちらもありふれたとまでは言わないが、無くはない名称ではあるんよね。ただ、コレが揃った時の名前の類似している以上、もしかしたら魔族と言う懸念は捨て切れない。
ただ、一応なりとも周辺の情報を収集している俺の網に引っかからなかった事を考えると、良くも悪くも、目立った事はしていないってぇ事になる。裏でやらかしてるんじゃなければ、なぁ。
「今を時めく【ドラゴンスレイヤー】殿にお会い出来るとは、光栄です!! いや、それ以上に助けていただきありがとうございます!!」
そう言って、ラボラス侯爵が握手を求めて来る。少なくとも今の所は友好的だし、人の好さそうな感じに思えるが、実際どう思っているかなんて事は、俺には分からんからな。
いや、必要以上に警戒してるってのは分かってるんだけどそれでも、頭の中に『魔族かもしれない』ってぇのが過ってる限り、手放しで受け入れるってのもし難いんよね。
何せ俺、力試しの為ってのも含めて魔族に狙われている立場なんで。疑わしいからって罰しはせんが、警戒はさせていただこう。




