表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1028/1157

こっちはこっちの仕事をする

()()()()()。触れるぞ!」

「えっ!」


 トリアージが出来る程、医学に精通しちゃ居ないが、体内で燃える【プラーナ】の大きさで、どの程度生命力的な余力が有るかは感じ取れる。

 なんで、【プラーナ】の弱っている相手から次々に回復させて行く。

 その度に、当初は戦闘を犬達に丸投げで、倒れている騎士達に向かって行く俺に、目を白黒させたり、『待ってくれ、まだ、息が!!』とかって悲痛な叫び声を上げていた彼等は、今度は驚きの声を上げていた。

 これはあれだな、本来なら神官しか出来ないとされてる【治癒(ヒール)】を俺がやってるからだな。無詠唱で。詰りは最初は、慈悲の一撃を下そうとしてると、勘違いされてたってぇ事だろうな。まぁさもありなんって感じだが。


 とは言え、実際は【治癒】とは全く別の物なんだがね、俺、魔法使えないし、うん、使えないし。


 神官なんかの使う【治癒】は、魔力を変換する事によって、『傷の無い肉体』って物を作り出してる“魔法”であり、それは『炎』やら『水』を作り出しているのと変わりはない。ただ、燃焼ってぇ現象やら水ってぇ物質を一緒くたにしている辺り、この辺は人の中で()()()()()()()を作り出しているってぇ意味では同じな訳で、それは要するに、『魔力を変換して作り出す』って事が魔法の本質なんだろう。


 この辺、詳しく検証した事は無いけど、それらは飽くまで魔力によって()()()()()()“物”であり、実際のソレとはまた違うんじゃなかろうかと思ってる。要するに、区別がつかない程に同じ、代替品なんだと思うんよね。


 俺の【プラーナ】での回復ってのは、要は生命力の底上げであり、本人の回復力をブーストしてるってぇ感じだろう。つまりは根本的に違う。まぁ、傍から見てて違いなんざ分かろう筈も無いが。


 それは兎も角、俺が重篤な怪我をしていた騎士を回復させ終わったのと、ほぼ同時に、馬を喰らってたバイコーンが、こちらに視線を向けた。まぁ、新たにロックオンされたとも言う。

 これ、あれか? もしかして生命力的な何かを感じ取って攻撃してるんか? 何か、元気そうな相手を優先的に攻撃してるみたいだし。


 つまりバイコーンにとって“敵”足り得るのは生命力に満ちた相手であり、瀕死の輩は“もうすぐ食料に成る生物(なまもの)”でしかないってぇ事か。そして死んだら食い物、と。


 こちらをロックオンしたバイコーンが、鼻息を荒くして、土を蹴る。


「辺境伯様!! こちらは引き受けます!! どうか治療を優先してください!!」


 覚悟を決めたっぽい騎士が、そう言って俺とバイコーンの間に割って入った。そう言う心意気、嫌いじゃぁ無いやね。


「けど、まぁ」


 その瞬間、バイコーンが突進しようとし、騎士が体を張ってでも、そのバイコーンを止めようと悲壮な覚悟をした。だが、それのどちらもが実現する事は無かった。


 何故なら。


「首を斬られた後、5秒程は残ってるらしいな? 意識ってのは」


 俺がそんな事を口にした後、バイコーンは駆け出し、()()()()()()()()()()()()次の瞬間には膝をつき、前方に宙返りをうって滑り進んで倒れ伏し、そして、自身の身体が倒れたのを確認したかの様に、地面に落ちたバイコーンの首は、そのままグルリッと白目を剥いたからだ。


「遅すぎなんだよ、行動が、な」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ