白黒つけないといけないかも知れんと思った
「はじめまして、魔人族国が太陽にご挨拶申し上げまする。私は聖王国が第13王女、ヘンリエッタ・M・ゴッドフリード=ゲンゼルキアでございます」
「うむ、ワシは魔人族国であるスルフォブルーローズの王女エリステラレイネ・スルフォブルーローズなのじゃ」
隣国の女王様が来てると聞いたとかで、ヘンリエッタ王女がエリスに挨拶がしたいと言って来た。取り敢えず本人に確認して見れば、『構わんのじゃ』ってぇ事だったんで、こうして面通し。
まぁ、聖皇国は割と離れた国ではあるけど、魔人族国も聖王国も、国教としてはどちらも光教会な訳で、まぁ、対立してるってぇ訳でも無いから、構わんだろうとは思っていた訳だが、やはりと言うか何と言うか、それ程問題はなかったみたいだわ。
「この度は、噂に名高き、未だ幼いながらも立派に国を治めていらっしゃる。才女であらせられる女王様に御目文字出来、大変、光栄に存じます」
そう言ってヘンリエッタ王女が頭を下げる。今更だけど、エリスって女王様なんだなと、こうして遜られてるのを見ると、実感が出来るわ。
何せ、俺の前だとあんなんだし、基本的に聖弓に怒られてる印象とかのが強いし。とは言え、確かにこの年で一国の責任を背負ってるってのを考えると、確かに尊敬できる対象ではある。
「そう堅苦しい挨拶は良いのじゃ。聞く所に依れば、オヌシもその若さで、立派な巫女であると聞き及んでおる。何でも、この度はこの街で新たに神殿を開くとか?」
「はい、その通りでございます。有難くもトール様の巫女として指名して頂き……」
そんな指名はした覚えが無いなぁ。そもそも、何で俺個人に巫女よ。
「ほほう? 確かに、オヌシ様が闘神の御子だったとか、なんだとかとは聞いて居ったのじゃ。が、御子の巫女とか、一寸意味不明なのじゃ」
「いえ、トール様が光の神の愛し子で在らせられるのは確かでありますが、それ以外に闘神様の化身とも言える、貴き御方。そんな方にお仕えするのは当たり前ですし、身も心も、お仕え出来る事は誉だと存じます」
「何と言ったのじゃ?」
「よし、一寸待とうか」
いや、確かに俺に仕える様にとかって、あの国王に言われた様な事は聞いてたが、一寸その言い回しだと、色々誤解を与えんかね?
実際、エリス、凄い表情に成ってるし。
「俺が頼んだのは、俺って言うか、この街の教会に祀る神様についての事だよな?」
この辺、色々とややこしい事に成ってるけど、新しい神様の神殿を作るって形で在って、決してそこに祀られるのは俺と言う訳じゃぁ無い筈なんだ。
だから。俺に仕えるとか、ましてそれが身も心もとかって言うのは、ちょっと語弊があると思うんだが!?
「ああ、いえ、誠心誠意と言う意味だったのですが……トール様がお望みなのであれば、私なら……」
「一寸その辺、みっちりと話し合わないといけない気がして来たわ」
「オヌシ様? なのじゃ?」
いや、おおよそ、聖王国国王にその心算が有るって事は薄々分かってたが、俺の方としちゃぁ、そんな心算はない。このあたり、一度本気で話し合わんといけん気がして来たわ。本当に。




