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リアルファイト

 立ち上がりは、むしろ穏やかに見える程に緩やかだった。

 騎士の組み討ち術ってのがどう言う物かは詳しく知らんけど、家の騎士共に聞いた話に拠れば、基本、騎乗して戦う騎士が騎獣から降りる場合って、とどめを刺す為か、相手に落とされたかの二択なんで、それ程、技の応酬が有るってぇもんじゃ無いらしいんよね。

 まぁ一方が落馬した状態だってんなら、ほとんど動けないだろうから、それ程、大業な技も要らんのだろうけど。

 なんで、やる事なんて、足引っ掛けて転がして、動けない様に踏み付けて短剣で鎧の隙間を狙ったりなんてのが基本戦術。


 そう考えると、アレゴロウが俺と対峙した時の、半身に構えたボクサースタイルなんて、異質も良い所だし、ステップを使うとか、ある意味異常なんよね。だって騎士だぜ? 全身鎧だぜ? それで軽快にステップなんざ踏めんだろう。いくら魔法で身体強化するって言ってもさ。


 そして、それは今も変わらない。左半身で構えて小刻みにステップを踏んでる。前世でもボクシングってのは歴史の深いスポーツではあったけど、ルールって意味で成立したのは中世位だったか? それ以前は、ほぼノールールと言って良い殴り合いだったとか聞いた事が有る。確かパンクラスもその流れだったんじゃ無かったか? そっちは古代ローマで行われていた格闘技ってぇ話だったが。どこぞのヴァーチャルなファイターで、そんな説明があった覚えがあるな。

 てか、そう言えばバフォメットも本来のスタイルはボクシングタイプじゃん。アイツ、デトロイトスタイルなんよな。結構、ベアナックル系統を選ぶとそっちに行きつくのかも知れんな。


 対してスターリンは、前方に両手を掲げる様にして軽く拳を開き、やや前かがみでべた足気味の構え。プロレスや柔道なんかで見る様な相手に掴み掛れる様な感じに構えている。

 これがアルフレドだと、同じ様に構えつつも、フットワークとロープを使って、積極的に攻めて行くんだろうけど、スターリンはどちらかと言うと”受け”てから返すスタイルらしい。


 多分、以前に俺が『レスラーってのは相手の技を“受け切って”その上でそれを上回る技で返すのが王道』だとかどうとかって語った事が有る所為だろうなぁ。

 何と言うか『“受け”の美学』的な物に感銘を受けてたっぽいんだわ。何か『“受け”の王者に、オレは成る!!』みたいな事を宣言してたらしいし。


 構えるスターリンを中心に、アレゴロウがステップを使いながら左回りで回って居る。傍目には、それ位しか動きが無いように見えるだろうが、分かる者が見れば、足運び、肩の動き、そして視線で幾重ものフェイントを入れてるのが分かる。


 いや、おまいら真剣過ぎるだろう。もう、ガチの真剣勝負(ガチンコ)やん。いや、悪いって訳じゃ無いんだが、何で家の領地ってか、隣国来てそう言うのやってるんよ。


 まぁ、色々有ったのは分かるんだが、何でもっと自分等の国に居た時、こう、真剣に成って無かったのかと。


 いや、良いんだけど。マジになれるってのは大切だし。

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