龍
「陛下 準備が整いました
こちらへ お願いいたします」
陛下か・・・
こんな時代に陛下か・・・
時代遅れも甚だしいな
しかし 国民は 臣民は
強い指導者を望んでいる
この国家は危ない
私がなんとかしなければ・・・
あるところにハデレン帝国という強大な力を持った
巨大な帝国が存在した
だが 栄枯盛衰とはよく言ったもので
ハデレン帝国もいうまでもなく衰退した
なぜ 衰退したのか?
それは誰にもわからない
その時代の文書を調べても
帝国がいかに強大であるか
いかに広大であるか
その 言葉のみが綴られ
詳しいことは全くわからない
あるものは言う
曰く さらに強大な帝国が武力で滅ぼした
曰く 経済力の低下
曰く 権力の暴走
全て さも真実かのように噂されるが
決定的な証拠はどこにもない
しかし 存在していたのは事実だ
なぜなら ここに今 列強の脅威にさらされている
帝国の末裔 デレン王国が存在するからだ
今 デレンは列強の脅威にさらされている
かつての栄光は何処へやら
あれよあれよと中小国に成り下がった
今 国民はかつての栄光を夢見ている
なぜか今になってハデレンのことが話題になっているからだ
老人は不安げに見つめるばかり
若者はその熱狂に押され 一緒になって騒ぐ
国民の過半数の期待が若い王 デウアリウスに注がれていた
「国民よ まず最初に私の父であり
今は亡き王に黙祷
・・・・さて 今回
私から私が王になったことを国民に報告したいと思う
そして この国家の存亡をかけた話をしたいと思う
我々の国家は今 北からはデウリア帝国
南からはフランシア王国に虎視眈々と狙われている
守らなければならないのはなにか?
国家か?国土か?
違う!我々の愛す家族だ!
諸君らのために 我々は徹底抗戦をする!
決して屈指ない!
一心不乱の大戦争を彼らに見せつけてやる!!
諸君ら臣民の力を貸してくれ!
過去の帝国の意地と遺志を見せつけてくれ!
私は諸君らの生活を保障することはできない!
諸君らの生活をすべからく豊かにすることはできない!
だが!この国家の代表として!
諸君ら全体の幸福を願い!実現する努力をすることはできる!
これは・・・この戦争は・・・
我々のための晴れ舞台に出来る!
世界にかつての帝国が帰ってきたと恐怖させてやれ!!」
『おおぉぉぉぉぉ!!』
よかった 受けはいいらしい
しかし我ながら努力をするとは・・・
努力ではなく実物がなければ何の意味もない
それが一番わかっているはずなのに
するすると・・・
「陛下」
はぁ・・・・
「なんだ」
「これからどうなされるおつもりですか?」
「どうにもならん
この国家は滅亡か繁栄か
そのどちらかだ
それはこの戦争にかかっている
そして 我が臣民は徹底抗戦を選んだ
違うか?」
「いえ
しかし・・・」
「1パーセントだ」
「はい?」
「これから我々が努力をして
勝てる見込みは1パーセントだ」
そうだ
列強にとって吹けば飛ぶようなこの国が生きてこれたのは
大国の緩衝国になれていたからだ
なぜこのような状態になったかはわからないが
彼らはその均衡を崩そうとしてきている
「それではっ!」
「あぁ だが
我々は勝つしかない
どちらの陣営にもつけんのだよ
我が臣民が許してはくれないだろう」
「しかしっ!・・・
幾ら何でもそれは・・・
ダメですよ
その臣民を抑えなければ!
この国家は!」
「何を感情的になっている」
「・・・・どういうことです?」
「我々は国家を幸福にするための
歯車に過ぎない
貴様は動きを乱す異分子か?
我々の国家は巨大な古代兵器となって
彼らを押しつぶそうとしているのに
それを その動きを止めようとする
貴様は何者だ?」
私は後悔する
最終的に絶対に後悔する
彼にもそれはわかるだろう
だが 許してくれないのは
何も臣民だけではない
許してくれないのは世界だ
我々はどちらの陣営にも入れてもらえないだろう
世界は我々を時流に巻き込み
押しつぶそうとしている
この いにしえから続く国家を
「っ・・・・・
失礼します」
「それでいい」
私は後悔する
親友に助けろと言えない私は後悔する
「軍の再編 訓練は貴様に全て委任する
キルレシオは1:100だ
国力は貴様らに全て投入する
技術も貴様らだ
全てを結集して彼らをぶちのめせ」
「全国民に通達しろ
総動員体制に移行しろと」
「海の向こう側の彼ら紳士どもに
同盟を申し出ろ
やつらはこんな金儲けができそうな話が大好きだ」
「「「はっ!」」」
同時に彼らは二枚舌が得意だがな
表面上はちゃんとしてくれるんだから問題ない
確実にやつらは天秤にかけてくるだろう
だから 初戦での快進撃を狙うしかない
国家全体で動くんだ
戦争へ
かっこつけさせていただきました




