第6話 帰路 実感 憧れ
帰り道、徐々に歌手になる実感が湧いてきた。
「お前ら!!声聞かせろー!!!!」
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
ヘッドホンから流れる男祭りの音源。
男性ファン12000人を相手に、本気で音楽を伝える。
「俺たちにしかできねえ音楽があるって俺は信じてんだよ。俺たちにしか出せねえ空気があるって信じてんだよ!!」
ヴォーカルの熱いMC。
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
男が地響きのような声で答える。
音源でも伝わる。やばいライブ。
これからどんなアーティストになろうかなと考えてるとき、
『素敵なミュージシャンになれよ』
ちょうどこの歌詞が流れた。
これが答えか。
涙がひとつこぼれた。
多分、これまで売れてるアーティスト。人気なアイドル。それぞれの素敵な1面があって、それぞれに影響力があって、目指すものがあって。
そう、僕にもできた。
『夢を叶える次の1歩を踏み出させられるようなそんな歌手になる。』
『One more steps of Grant Dreams』
さあ、これを心の奥のほうに刺青として彫っておこう。
「俺たちの6人のプライド、『CORE PRIDE』だあ!!!」
男祭りも終盤に差しかかる。
僕もそろそろ家に着く。
まだまだ消させない 心の火は
〜今日のポエム〜
心にコンパス。まっすぐ指した人差し指を頼りに、たとえ狂ったとしても、たとえ茨道だとしても、たどり着いた先には最高の景色