第5話 楽器屋
「おー!ここが噂の楽器屋か〜!」
「噂の一個も聞いたことないわ」
ここは市内で1番でかい楽器屋。
たまに、プロのアーティストも来てるっていうことは、知っている。前に1度、ヤバイYシャツ屋さんのギターの人にも会った。
「うおー!!すげーな!!これ!かっけ!
あっ、こっちもかっけ!!!おわ!これもかっけ!!!」
多分、全国のどの子供よりも子供だなと思いながら、僕も探し物があった。
「おーい、瀧ー、俺あっち行ってくるわー。おーい、おーい!!ダメだ、全然聞いてねえ、まあいっか」
昼休みに話してた音楽の勉強のことを考えて、なんか楽器屋ならヒントあんじゃねーかなーと思った。
音楽誌エリアに向かった。
* * *
「あ、あったあった。って多いな、本屋やないかい」
そう、まさに本屋。そんくらいの音楽の本が並んでいた。
(えー、こんなにあっても困るんですけど、、まあ、とりあえず見て回るか)
とりあえず、ここからだな。
『作詞が10秒で身に付く!』
『作曲に必要な6つの心得!これであなたも歌手に近づくよん』
『ヴォーカルに必要な3つのもの』
みたいな本がいっぱいある。
まあ、俺にはいらないかな。それより、前に買ったブログ本のほうがずっと学びになる。
それに俺にはポエムがある。
最終的に、
『サルでもわかるギターのコードの読み方』
『GUITER SCORE ONE NO CLOCK BEST SELECTION』
の2冊を購入。
と、そこに瀧が来た。
「おい!置いてくなよ!めっちゃ探したわ〜、帰りマック奢りな」
「は、ちゃんと言ったぞ。俺あっち行ってくるぞって。瀧がギターに夢中で聞いてなかっただけだろ。てことで帰りマック奢りな。」
「えー、まじかよ。俺が奢りなのかよー、、てかさ、ギター決めれなかったからさ、しずく選んで」
「結局決まんないのかよ。わかったよ。行くぞ」
と、ギター売り場の方に向かおうと思ったとき、本屋の端に光が見えた。とても綺麗な光が見えた。
瀧は気付かなかった。
僕も気付かないふりをした。
* * *
「これとかいいんじゃね?」
「そーなのよ、それか、こっちのたしか、これと、これと、これと、これと、あっちのあれで悩んで、無理だった。」
どうやら、SGタイプが好きらしい。
「これは?」
何となく、目に付いたギター
Epiphone G 400 Deluxe
赤系のSGの中では、トップクラスにかっこよかった。多分みんなが思い浮かべてる3倍はかっこいい。
「おー!!!!これだよこれ!!!!この、赤に黒の木目みたいに入ってる感じがかっこいい。そして、絶妙に金が入ってる。これは黄金比。これにする!!」
無事終了。帰りにマックのおまけ付き。
「くそー!俺今月すっからかんになっちゃった!!」
「瀧、これお土産」
「え!俺のために、わざわざこんなもの買ってくれたのか、しずくってやつは、ほんと最高の友よ!!」
「ジャイアンみたいな言い方だな。」
「俺からもお土産。」
「お前もあるのか」
瀧が渡してきたのは
『じゅんのための6曲の小曲』
という1冊の小説だった。
「おう、ありがとう。読むわ」
「くれぐれも授業中には読むなよ?」
「誰が言ってんだ。瀧こそ授業中読むなよ」
「俺は読むさ」
瀧は誇らしげな顔をして言った。
「またあしたな!!」
「おう」
夕焼けが綺麗だった。
それ以上に、はなが綺麗だった
〜今日のポエム〜
そこにずっと咲いてた花は当たり前すぎて綺麗なことさえ忘れていた。
雑草の中に一輪咲いているのを見つけた僕は、その綺麗さに涙をこぼした。
僕は。はなに恋をした。