第2話 7日目の決意
学校が終わり、家に帰る前に文房具屋に寄ってポエムノートを買おうと思った。
うーん、こうやって見ると、ノートにも色々あるなあ、中のデザインも少しずつ違う。
どうせなら、自分のお気に入りが欲しいなあ、、
そのとき、瀧が声をかけてきた
「お!しずくじゃん!」
「お、瀧か。悪いな。昼休みドッチボール行けなくて、その後音源聞いてたら、夢中になっちゃっててさ、行けなかったわ。」
(まあ、9割9分嘘だけども、、)
滝が疑いの眼差しを向けて
「ふーん、それはどうだかな。はなちゃんにかっこいい姿見せれないから、来なかったのかと思ったけどな。」
「は!そんなことないわ。僕は眼中にないしね、はなさんなんて。そんなこと言う瀧がはなさんのこと好きなんだろ?」
瀧が照れた。それはわかり易すぎる照れだった
「んなわけねえだろ。お、俺がはなのこと好きなわけないだろ。ど、ど、どこにそんな証拠あんんだよ。」
瀧の口調が、証拠のかたまりすぎて吹き出してしまった
「おい!何笑ってんだよ!ったくもう、そういうジョークはよせよな。」
男梅くらい瀧の顔は真っ赤っかだった。
ふと、僕は気になった。
「なあ、瀧。文房具屋に何しに来たの?人生で初めて入ったろ?」
「あ?初めてじゃねえわ。4回目だわ、しずくがいたから、来ただけだよ。お前こそ何やってんだよ。」
「僕はノートを買いに来ただけだよ。」
瀧は驚いた顔で言った。
「え!もうノート使い切ったのか!まだ始まって7日だぞ。東大目指してんのか?」
「なんでだよ。ちょっと日記的なノートを買いに来たんだ。」
今度は瀧がとぼけた顔になった。喜怒哀楽が忙しいやつだなと思った。
「日記的なってなんだ?ポエムでも書くのか?」
さすが小学校からの同級生だな。と思った。
瀧になら打ち明けてもいいか、
「あー、そうだ。ポエムを書くんだ。」
すると瀧が今度は困った顔をした。
「お、おう。そーなのか。」
そして次に瀧はなにか思いついたというような顔でこう言った。
その何気ない一言で僕の人生が大きく変わった。
* * *
「じゃあ、俺。楽器屋でギター買ってくるわ。お前が好きなバンド超えるくらいでかいバンドになろうぜ」
今度は僕が困った顔と驚いた顔をした。
「え、え、は、え、別にそういう訳じゃないんだけど、、」
瀧は太陽みたいな笑顔で
「まあ、歌詞出来たら見せてくれよ!未来のスーパーハイパーボーカル!またな!」
どっちだよって思いながら、勢いに押された僕は、
「お、おう。またな。」
それしか言えなかった。
(歌手かあ、アーティストかあ。)
なにもなかった人生に希望の光がさした。
その後も悩んでようやく手に入れた手帳は、
表紙が葉っぱで雨宿りをしているカエルのデザインをしてる手帳にした。
帰り道。ずっと一曲をリピートで聞いた。
『7日目の決意』
〜今日のポエム〜
なんの希望もなかった人生でも
生きる希望が生まれるんだな
明日死んでもいいと思ってた人生が
突然死にたくない人生になる
その逆もあるんだろうな。
1度きり。そう。すべて1度きり