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不遇職【人形遣い】の成り上がり ~美少女人形と最強まで最高速で上りつめる~  作者: 八又ナガト
第二章 災禍を断ち切る者

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44 トリア迷宮へ

 俺とリーシアがCランク冒険者たちに絡まれてから数日後。

 俺たち四人に加え、エルとシーナは東門から町を出た場所に集まっていた。


「アイクさん、本日はよろしくお願いいたします」

「よ、よろしくね、アイクさん」

「ああ、こちらこそよろしく頼む、エル、シーナ」


 話は昨日にさかのぼる。

 冒険者ギルドで会ったエルたちから、町の東に新しくできたダンジョン――トリア迷宮について教えてもらった。

 その流れで、一緒にダンジョン攻略に挑もうということになったのだ。


 そして今日、昼前に集まった俺たちは共にトリア迷宮に向かおうとしていた。



 移動手段は馬車だ。

 何でもエルとシーナが個人的に所有しているものらしく、操縦技術もあるとのことだ。

 今回はそちらにお邪魔させてもらうこととなった。



「それじゃ、乗っちゃうね~」

「はい、フレアさん」

「ふむふむ、なかなかの座り心地」

「そう思っていただけたなら幸いです」



 次々と馬車に乗り込んでいくフレアとテトラに、エルが笑顔で応える。



「それでは、わたくしはご主人様の膝の上に――」

「残念だけど、それは許可できないよ」

「ほう。シーナさん、わたくしの覇道の前に立ちはだかるのはそう簡単なことではありませんよ?」

「望むところ!」



 よく分からない話題で盛り上がっているリーシアとシーナはいったんスルーしておくことにする。


 とまあそんなこんなで、トリア迷宮目指して俺たちは冒険者の町フィードを出発した。




「魔物がいます! 一時停止します!」


 エルの声と同時に馬車が動きを止める。

 外に出て様子を窺うと、確かに複数の魔物が見えた。


 グレイウルフ。

 灰色の毛並みが特徴的なCランク魔物。

 フィードを出発してから四時間ほど経つが、もう何度目か分からなくなるほどの遭遇頻度だ。


「今回は私たちの番ですね。いきますよ、シーナ」

「うん、エル」


 遭遇する魔物の強さや数にもよるが、基本的には交代で戦闘を担当することになっていた。

 今回はエルとシーナの番だ。


「グルゥウウウ!」


 唸り声を上げながら襲い掛かってくるグレイウルフの群れ。

 一体一体はそう強力ではないが、決して油断はできない敵だ。


 だが、二人は落ち着いていた。


「シャドウスワンプ」


 シーナがそう唱えると同時に、グレイウルフの前方の地面が黒色に染まる。

 気にせず突破しようとするグレイウルフだが、その試みは成功しなかった。


「ギャウンッ!?」

「グルッ!?」


 黒色に染まった地面に足を置いた瞬間、グレイウルフの体が次々と沈んでいく。

 まるで沼に足を取られたかのように。


「さすがの練度だな」


 暗殺者が得意とするスキル、影魔法。

 その中でも地面に影の沼を生み出し敵の動きを食い止める中級魔法、シャドウスワンプは知能の低い魔物相手にはかなり有効な技だった。


 シーナが作り出した決定的な勝機。

 それを確かなものにするのはエルだ。


炎波ファイアウェーブ!」


 炎属性の中級魔法、炎波。

 エルの手から放たれた巨大な炎の波が、影の沼に捕らわれているグレイウルフの群れを一網打尽にする。


「ギャウ!」


 しかし、その中で一体がギリギリで沼から抜け出すと、炎の波を躱してエルに襲い掛かる。

 仮に彼女が魔法使いならば対応しきれなかっただろう。


 しかし――


「はあッ!」


 ――彼女は魔法使いではなく、魔法剣士だ。

 鋭い一閃が襲い掛かってくるグレイウルフの体を見事に両断する。


 こうして、二人は一切傷を負うことなくグレイウルフの群れに勝利した。



「……やっぱり、強いな」


 以前一緒に依頼を受けに行った時にも思ったが、二人の実力はかなりのものだ。

 まだBランクになったばかりだと言っていたが、Bランクでも上位の実力を持っているように思う。

 初めて会った際にサイクロプスに苦戦していたのは、やはり不意打ちを喰らってしまったからなのだろう。


 その後、何度も現れる魔物を次々と討伐しながら馬車は進んでいく。

 町を出て約七時間後、俺たちはトリア迷宮に辿り着くのであった。

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◇書籍版『不遇職【人形遣い】の成り上がり』
カバーイラスト
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