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15.回収品の整理をする(5月3日)

アリシア達が寝てしまったので、ゴブリン達から回収した硬貨や石、武器の整理をすることにした。

昨日も少し手をつけていたのだが、途中で洞窟の再調査に向かったから中途半端になっていた。


今日は天気もいいし、庭で作業しよう。

ヒップホルスターに収めたUSPハンドガンをジャージの上から装着し、ミリタリーリュックを背負って庭に出た。

玄関のブービートラップを一旦片付ける。また夕方に仕掛けておけばいいだろう。


ブルーシートを広げゴブリンの槍を重石替わりに四隅に置いてから、まずはゴブリンから回収した硬貨や石、そして庭に放置してあったゴブリンの武器を並べていく。

ゴブリンからの回収物は次のとおりだ。


銀貨

 30枚

銅貨

 120枚

何かの牙

  5個

何かの角

  7個

牙や角でできた首飾り

 60個

黒い石

 10個

赤い石

 20個

青い石

 25個

白い石

 20個

緑の石

 10個

紫の石

  5個

透明の石

  5個

まさしく小石っぽい小石 113個

石の色分けはだいぶ適当だし、大小の区別は付けていない。


長槍

 10本

短槍

 20本

刃渡り50センチほどの山刀マチェット状のナイフ

 30本

刃渡り15センチぐらいの小刀

 60本

  5張り

矢筒に入った矢

 70本

武器はまあゴブリンが使う武器だから、そんなに精度があるようにも思えないが、マチェットの切れ味は良さそうだし、鉄製の鏃は研がれている。

しかしこんなに大量の武器を持っていても仕方ないし、そもそも俺は槍や剣など使ったこともない。

さっさと売ってしまったほうがいいのか?いやゴブリンの武器が売れるだろうか。


とりあえず槍と弓を壁に立て掛け、矢筒やナイフを壁に寄せる。


そこで玄関のドアが開き、中から三人娘が顔を出した。


「カズヤさん!何されてるんですか?」


「カズヤ殿!少々寝すぎたようだ……」


「お兄ちゃん!何して……って何その魔石!お金!!」


イザベルが裸足で駆け寄ってくる。ああ……トラップを解除しておいて良かった。


「おはようみんな。これは前にこの家が襲撃を受けたときに回収したものだ。価値がよくわからないから、取りあえず掃除していた」


「カズヤ殿……この武器は……小鬼の武器ですか?それもこんなにたくさん……これだけの小鬼が一度に攻め寄せてきたのですか?」

そう聞いてきたのはアイダだ。


「あれ?アリシアから聞いてない?最初に5匹ぐらい来て、そのあとは順番に合計100匹ぐらいは……」


「100!?てっきりアリシアが話を盛っているとばかり……でもこの武器の数からすると、100匹と言われればそうなのかもしれません……」


「それよりも!そのお金!!小鬼は袋に硬貨を貯めているって聞いていたけど、本当なんだねえ」


「もうイザベルったら……私はその魔石のほうが気になります。昨日の朝にお風呂で洗っていた魔石ですよね?」


「ああ。この石か?やっぱりこれは魔石なのか?」


「少なくとも透明感のある色付きの石は魔石だと思います!詳しくは鑑定してもらわないとわかりませんが……」


「これだけの石だ……牙や角と併せて、是非鑑定を受けるべきだ!そうだ。私達の学校にも鑑定ができる教官がいたはずだ。鑑定屋に持って行って手数料を取られるより、教官に鑑定してもらってはどうだろう?」


「それはいい考えですね!アイダちゃん!カズヤさん早速行きましょう!!」


こいつら……即断即決に過ぎるだろう……


「それはそうと、洞窟の回収品を今から拡げるが、お前達も手伝ってくれるか?その……辛い物が出てくるかもしれないが……」


「あ……そうですね……でも、学校に戻るとしたら絶対聞かれる事ですし、後回しにしても辛いばかりです!カズヤさん!お願いします!」


アリシアの言葉にアイダとイザベルも頷いている。


「わかった。では取り出すぞ」


ミリタリーリュックをひっくり返すようにして、洞窟の最深部の部屋から回収してきた武器や防具などブルーシートの上に拡げた。


アイダが武器を、アリシアが防具を、イザベルがそれ以外の物品をといった具合で、一つづつ並べていく。


「これは!この剣はアマドのものです!」


「ほんとだ!自分で柄に赤い組紐を巻いていたから……じゃあこっちの槍は……」


「クレトのだ!クレトは紫のフサフサを穂先に付けてた」


「こっちの槍はレオンのものですね……レオンったら幼馴染のアマドの真似をすぐするもんだから、滑り止めの組紐まで真似しちゃって……」


「やっぱり3人とも死んじゃったんだねえ……」


3人が声を潤ませている。


「覚悟はしてましたけど……やっぱり辛いですね……」


「だが、いつまでも泣いてはいられない。アルカンダラに戻って、彼らの死を報告して遺品を届けるまでが今回の任務だ。そうだろうアリシア、イザベル?」


「そうだね!アイダちゃんの言う通りだよ!」


「私も賛成!アマド達は死んじゃったけど、私達3人は生き残った!生き残った者は死んだ仲間の分まで強く行きなきゃだよね!」


俺が慰めるまでもなく、自分達で前を向いてくれたようだ。これがアリシアと2人だけだったら、俺が慰めなければならなかったところだ。

あとの2人が助かってくれて本当によかった……


残りの武器の中から、それぞれが使っていた武器を発見する。

アリシアは自分の背丈ほどの短槍、アイダは刃渡り70センチほどの諸刃の直剣、イザベルは身長の半分ほどもある弓と矢筒だった。

それぞれが刃渡り30センチほどの短剣を回収して、武器の確保は終わった。

残りの武器はゴブリン達の武器と併せて、鑑定してもらうことにする。何やら値打ち物っぽい雰囲気を醸し出しているものもあったが、俺にもアイダにもさっぱり分からないからな。


次は防具だが、実はあまり防具は置かれていなかった。

バックラーとも呼ぶべきだろうか。左手に取り付ける丸い盾が5枚。内、3枚が木製、2枚が鉄製だった。

木製の盾の内、1枚はアマドの遺品で、1枚はアイダの装備品だった。

それ以外に革の胸当てが5着、これもアリシア達の装備品だったらしい。

あまり防具が見つからなかった理由を、アリシアが端的に説明してくれた。


「だって小鬼達は防具を使えませんから。私達も小さめの物を使っていますが、それでも奴らには大きすぎるんです」


「なるほどなあ……では奴らは自分達で使うものを溜め込んでいたわけか」


「恐らくは。あ!イザベルちゃんそれ何?」


「へへへ、良い物見つけちゃった!」


イザベルがボロ布に包まれた金色のネックレスとブレスレットを発見した。

劣悪な保管状態でも金色を保っている。

ということは……金か。それもメッキなどではなく純金に近いのだろう。


「ちょっとイザベル!自分の物にしようとしないの!ちゃんと返しなさい!」


「え〜いいじゃん!魔物から回収した素材や持ち物は、回収した人の持ち物だって先生言ってたもん!」


「だったらそれはカズヤさんのものでしょう!?」


「それはそうだけど……いいでしょお兄ちゃん!私にちょうだい!!」


「そうだなあ……身につける物だから、ちゃんと鑑定した後でな。もしかしたら呪いのようなものが掛かっているかもしれないし、それにそういう装飾品はイザベルがもう少し大人になってからのほうが似合うと思うぞ?」


「わかった……お兄ちゃんがそう言うなら返す……」


「ありがとう。イザベルは良い子だな」

イザベルの頭を撫でると、嬉しそうにしている。尻尾があったらブンブンと振り回してそうだ。


「なんだか……」

「カズヤさん、イザベルちゃんの扱い上手かも」


俺への評価はさておき、とりあえず鑑定に出す物を全部リュックに放り込む。


「ひゃあ……それが収納魔法ですか……初めて見ました」


「すごい!何でも入っちゃうの?私も入っちゃう??」


「試してみるか?出てこれなくなったら、一生この中だけどな」


「ええ〜それは嫌だ!」


「カズヤ殿!失礼なことをお聞きするが、その収納魔法はカズヤ殿の固有魔法なのでしょうか?」

アイダが聞いてくる。


「それはちょっと違うんじゃないかな?アイダちゃんも知ってるでしょう?固有魔法はその人だけしか発現させることができないって。収納魔法はものすごく珍しいけど、カズヤさんだけにしか発現したことがないわけじゃないから、固有魔法とはちょっと違うのかも」


「そうだよなあ。じゃあやっぱりカズヤ殿が凄いってことか!」


収納魔法を見せただけでこの反応だ。転移魔法を見せたらどうなることやら。


「なあ、その固有魔法ってのは、どんなものがあるんだ?それが自分の固有魔法だってどうやって気づく?」


「それは……魔法を使い始めた頃に何となく……ですね!」


「魔法を使ってると、こうなったらいいのにな!って思うことがあります。それで、その思ったことが発現して、その発現が魔法辞典に乗っていなければ、それは固有魔法です」


「そうか。アリシア達はどんな固有魔法を持ってるんだ?もし良かったら教えて欲しい」


「はい!私は遠見の魔法が使えます。一度行ったことのある場所なら、どんなに離れた場所からでも手に取るように見えます!」


「私はねえ!一度狙った獲物にはどんなに離れていても必中する矢を射るよ!」


「私の固有魔法は譲渡です。誰かに発現した魔法の効果を、他の誰かにも及ぼすことができます」


おう……アイダの固有魔法だけが非常に微妙な立ち位置にある。


「なあアイダ。つまりその譲渡魔法ってのは、例えばアリシアに掛けている治癒魔法が、イザベルにも効果をもたらすってことか?」



「はい。最初にこの魔法を発現させたのは、まさにそういった状況でした。友達の一人があまり裕福な家庭ではなくて治癒魔法を掛けてもらえず、あまりにも可哀想だったので」


「なあ、それってもしかして……」

アリシアと目が合った瞬間、アリシアが叫んだ。


「カズヤさんの転移魔法!」

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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず、イザベルは嫌い(笑) 鑑定魔法が使えるか試さない理由は何でしょう??
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