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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
5章 同盟交渉編

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91 女神の天秤

いつもお読み頂きありがとうございます!


女体化転生もちゃんとエタらずに連載してから1年ちょいが経ち、とうとう今回の話で、この物語の本質のような話をかけることができました!


ここから新たなる女体化転生ワールドを展開していこうと思いますので最後までお読み下さい!

 宿屋の店終いが済んだ夜の時間。俺は今、エルマさんの部屋にいる。エルマさんの占いをいつものように受けるために俺は水晶玉が置かれた机の前に座る。

 エルマさんが用意してくれたホットミルクを2人で飲みながら対話を交わす。


「今回のお仕事、誰が行くことになったのかしら?」


「はい、私とアマと……結局、ダンが行く事になりました」


「あらーー中々賑やかそうなお二人ではありませんか♪」


 まぁ、賑やかと言えば賑やかかも。


「アミュラ、頑張ってますか?」


「ええ、しっかりお仕事こなしてるわよーー良い子なのよあの子♪」


 エルマはニコニコしながらホットミルクを飲む。

 俺も少しホッとしながらホットミルクをすする。


「それじゃ、始めましょっか」


「うん、よろしくお願いします」


 エルマによる怖いほど当たる占いが久しぶりに始まる。正直、エルマの占いは受ける前はかなりドキドキする。

 何せ、本当に当たってしまうんだから……


「【運命予測(デスティニ・アイ)】」


 エルマの呟きで目の前の水晶玉が光出す。

 エルマは目を閉じて、その玉へと精神を集中させると玉の光は淡く点滅し始める。その光は黄色から青へと代わりそして数分が経って光が弱まっていく。


 そして、完全に光が収まるとエルマはゆっくりと目を開けた。


「どうでしたか?」


「大掛かりな魔導装置に取り付けられた小さな神、魔法の眠る塔、迫りくる闇、そして……女魔導師?……」


 エルマの話すその言葉のキーワードが次に起こる事のヒントだ。これだけではよく分からないのはいつもの事、いつもの意味不明な言葉を理解できていない俺にエルマが解説をしてくれる。


「私が見えたのは魔導器につながれた少女、おそらくこれはセカン地方の神様のシルエット。必ずあなたと会うことになる強大な存在……体は小さいけど体中からあふれ出てくる魔力は計り知れない


 力を持っています。そして、高くそびえ立つ塔……ここにあなたは何らかの関係があるのかもしれません。見えた闇は貴方たちに立ちはだかる新たな刺客の影……それとともに現れた魔導師のシルエット。


 おそらく女性の可能性があるけど、この子からは青のオーラが出てた。きっと深い悲しみを背負った女性に違いないでしょう。これが今回の占い結果よ」


 エルマの説明から理解できたのは神の特徴、謎の塔、新たな敵、そして……悲しみを持った女魔導師……


 それぞれがまたこれまでとは違う新たな冒険と試練が待っていることが想像される。その想像が良い想像かと言えばそうではない。

 少人数での遠征でまた慣れない地で新たに仕事は慣れたくても慣れることができない。占いの力である程度は予測をして動くことはできるが気を抜いてはならない。

 少しでも気を緩めれば無事に帰ってこれる保証はいつだってないのだから……


「大体理解しました。ありがとうございます」


「いえいえ、あ! そうだ! ケルトちゃん! 実は私ねぇ占いを重ねていくことにまた新しいことができるようになったの! 試してもいいかしら?」


「は、はい! 私で良ければ!」


「じゃあ早速やりましょう! ケルトちゃん、目を閉じててくれるかな?」


「はい? わかりました」


 俺は言われた通り、目を閉じて静かに待つ。


「じゃあ……いくわよ?」


「よろしくお願いします……」


 エルマは深い深呼吸を一度する音が聞こえ、その吐息が顔に当たる。


「【女神の天秤】」


 当たった途端、目の前の闇が急に晴れていく。

 目を閉じているはずの先には光の道ができており、まるで身体が別の世界に来たようだった。


(そのままゆっくりと歩いてください……慌てないで……)


 俺の頭にエルマの声が響いてくる。少しためらったもののゆっくりと前に歩みだす。

 歩いていくと光の逆境で先が見えない穴があった。それが入り口なのか出口なのかもわからない。

 しかし、俺は立ち止まることをせずにその穴をくぐった。


「なんだここ……」 


 穴をくぐった先にあったのはどこまでも続く広大な草原だった。木々もなくあるのは太陽ようで太陽ではない丸い明るいだけの光源が空にあり、目の前には二人用のベンチがあり、そこにエルマの姿があった。


「いらっしゃい、ケルトちゃん」


「エルマさん……これは……?」


「いいから、座って♪」


 エルマさんの隣に恐る恐る座りながら広大な草原を見渡すが地には丘や山はなく、空には雲一つなかった。


「ここはね、自身の永遠の深層心理が生み出す地……『エターナル・エイディア』、ここは秩序と混沌の狭間にあるいわば、あなたの心の中よ」


「私の心の中?」


「そう、あなたの心の変化でこの場所の風景も変わっていくの。あなたのエターナル・エイディアはかなり穏やかで気持ちが良いわね♪」


 俺はこの状況にうまく呑み込めないでいたが要するに精神世界? みたいなものだと自分で自己解釈するしかなかった。


「ごめんなさいね、急にこんなところに来てもよくわからないでしょ?」


「すいません……」


「それでいいのよ……知らなくたっていいこともあるの♪ さて、本題に入るね。なんでここが存在しているのか教えてあげる」


 そう言ってエルマが指を鳴らすと目の前に銀製の小さな天秤が現れる。

 その天秤には両方に少量の透き通った水が入っており、ゆらゆらと左右に振れている。


「これは『女神の天秤』、貴方が秩序と混沌、どちらに心が偏っているのかを計る物。右に傾けば自身の力を思うがままに行使する『混沌(chaos)』、左に傾けば神の言葉に耳を傾け規則に従う『秩序(law)』、天秤はそれを表してくれるエターナル・エイディアでしか見ることのできないものなのです」


 混沌と秩序……どちらも対照的なものであり正反対の意味を持つ言葉……この世界に来てから良神やら邪神を耳にしていると、この言葉も深く関係しているのだろう。


「どうやら、あなたの心はやや『秩序』寄りの位置にあるようです。今までの行いで天秤がそう判断しているのでしょう」


 今までは、『困っている人を助ける』、『仕事を卒なくこなす』、『能力は最低限のみの行使』と言った良い行いを心掛けていた心当たりはある。

 もし、俺がその逆を行使することで『混沌』寄りにもなると言うことなのだろうか?


「まだ悪くありません。ケルトちゃんのエターナル・エイディアはかなり安定しているから良かったわ♪」


「あの……もし、私が『秩序』寄りとか逆に『混沌』寄りになったらどうなるんですか?」


 そうエルマに聞くと少し暗い顔をする。


「あなたの心が秩序に染まれば、ここは神聖な場所『エデンの園』となり、法と秩序を重んじる者となります。逆に枷が外れ力に溺れればここは無法地帯『失楽園』へと変わり、あなたの心は邪へと染まっていきます。どちらにせよ、あなたは神を選んでしまうことになります。言うならばどちらに転んでも『神の言いなり』として一生生きていくだけです。大切なのはあなた自身……本当の理想郷は無難なあなただけの穏やかな平原なのです」


「それは私以外のみんなの中にもあるの?」


「ええ、貴方はすべての仲間との繋がりがあるから、貴方を通じて仲間達の女神の天秤を見ることができます。みんなはまだそれほど変化は無いけどガクト君は秩序寄りに偏ってるかも」


「……平原を保つ方法はあるんですか?」


「……その方法はたった一つ、法を重んじる秩序、争いの混沌、その二つをこの天秤からこぼれ落とさないように生きて『中立(neutral)』を貫きなさい。そしてたどり着く先に『超越者(オーバー・ロード)』と呼ばれる神を超えた存在、真の自由を手にしたものとなるでしょう」


「超越者……」


「……結構話しすぎちゃったね! そろそろ終わりにしましょうか」


 そう言ってエルマは立ち上がる。そうして、エルマが指を鳴らすと一瞬にして世界が闇に包まれる。そこにはエルマはいない。

 ぼーっとしていると肩をゆすられる。


「ケルトちゃん? 大丈夫?」


「はっ!?」


 気が付くとそこはいつものエルマの部屋だった。


「戻ってきた……」


「これが新しい私の力♪ 驚いた?」


「気持ちの整理が……」


「そうよね~~ごめんなさい」


 さっきまでの不思議な感覚とは一変してなんだか少し疑問に思うことがあった。


 どうして、エルマがそんなことを知っているのだ?


 これも能力とか事前知識とか言ってしまえば話は片付くかもしれないが明らかにスムーズだ。

 エルマの事を普通の女将さんだと思っていたが何か裏があるのだろうか? 冷静になった今なら聞けるかもしれない。


 そう思った俺は思い切って質問した。


「エルマさん!」


「どうしたの?」


「なんで、こんなこと知ってるんですか?」


「……」


 エルマは少しの沈黙の後に笑顔で答えた。


「またいずれね……うふふ♪」


 エルマは俺の質問をたぶらかすように意味ありげに笑っていた。


 そうして、俺の疑問は謎なまま自室へと戻らされた。俺は紋々とする気持ちを抱きながらベッドへと寝転がる。




 中立を貫きなさい……




 その言葉が心に重くのしかかる。




 どうしろっていうんだ。




 分からない……でも今は、自分の信じる道を決めて歩むしかない。仕事もあるんだ。今は自分の立場上、そちらを集中しなくては……


 俺は今日の経験の疲れからか目が自然と閉じられ、そのまま夢の中へと落ちていった。




 ~~???にて~~


「どうだケルトの調子は?」


「良い子よとても♪」


「ふふ、そうか。で……あの子の天秤は?」


「まだ彼女はどちらにも振れてないわ。今のところはね……でも大丈夫、私に任せて?」


「ありがとう。私は遠くからしか見守ってやれんがどうかあいつの力になってくれ」


「ええ……もちろんよ。だってあの子には返しきれない恩がありますから。あなたのように」


「ケルトの能力の管理は私がする。最近は悪用などはしないと見込んで能力解放もした」


「あら、いいじゃない♪」


「……では」


「ええ、さようなら」


 淡く輝く黄色い光が消えるとお互いの声も闇へと消えていった。



最後まで読んで頂きありがとうございました!


もし、今後の展開がどうなりそうか予想した人是非聞いてみたいので、感想欄に予想をお願いします!!


その答えが当たるか当たらないかはこの物語を最後まで読めば分かります(o^^o)


是非完走できるよう応援よろしくお願いします!


宜しければブクマ、評価、感想、レビュー、いずれかで構いません! 原動力を下さい! よろしくお願いします(。-_-。)ペコッ

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