84 和解
さぁ現在へ戻ってきたぜ!
あと少しでこの章も終わりますなぁ……(´∀`=)
「……って事があったんだ」
長い話のようであっという間な感覚があった。
俺たちが色々やってた裏でガクトも苦労をしてた事実に正直かなり驚いている。
しかし、ガクトの話を聞いて色々分かったこともある。
ケテルネスの事、ガクトの事、アミュラの先祖の事……
それが分かった事がとても大きい事だと思う。
「結構驚く事が多くて何から話して良いか分からないけど、よく頑張ったねガクト」
「おいおい、母親かよ」
「心配してたの! それにアミュラのご先祖様がまさかガクトの中にいるなんてアミュラが聞いたら驚きかもね、その話聞いてて、凄く辛くなっちゃったよ」
「……絶対アミュラ本人に言うなよ?」
「言いません! 言えないよ……こんな……」
アミュラ本人に神に母親が殺されたなど言えるはずがない。それでもし、心に深い傷を負ってしまったらと思うと怖くて仕方がなかった。
だが、このまま隠しておくことが本当にアミュラにとって良いことなのかは定かではない。
もし、アミュラに言える機会が来たのなら話すかもしれないが今は黙っておこう。
「ん……んぅ……うん? あれ? 私……」
俺たちの話し声がうるさかったのかアミュラがむくりと起きてしまった。
「アミュラ、起きたか」
「んん……あれ? 他のみんなは?」
「みんなは元気だからどこかに探検しに行ったんだよ~~アミュラもいっぱい寝て少しはすっきりしたかな?」
「ちょっとだけ……ふわぁあ~~……」
閉じかけた目をこすりながら、大きな欠伸を見せるアミュラに俺とガクトは安心感が生まれる。
その時、部屋のドアがゆっくりと開かれる。入って来たのは綺麗なクリーム色のショートヘアのメイドだった。
もちろんガクトは一目で誰かが分かった。
「マロン」
「お疲れさまです」
マロンはぺこりと丁寧にお辞儀をする。
「ガクトさんが急に城を飛び出していきましたからお見送りができませんでした」
「すまん、俺もみんなが心配で……」
「良いんですよ。あら? その子がアミュラちゃんって子ですか? 可愛らしいですねーー♪ 心優しい人に助けられてよかったねーー♪」
マロンはアミュラの近づき、頭を撫でる。マロンの顔はまるで子猫のような小動物でもあやしているかのようにデレデレになっていた。
「ガクト、この人は?」
「ああ、この人はマロンっていうメイドで俺の看病をしてくれたんだ」
「あ!! そうだったんだ!! 初めましてケルトです! うちのガクトが色々お世話になったみたいで本当に助かりました~~」
「だから、母親か……」
アミュラを撫でるのに夢中なマロンは突然俺にあいさつをされ、驚いてこちらに体を向き直す。
「ああ!! 初めまして!! わ……私がマロンです! 話は伺っています、あなたがケルトさんですよね? いえいえそんな! 私はメイドとしての職務を全うしただけですぅ!」
目が丸くなり、焦ってる姿が少し可愛い。
一時はどうなるかと思っていたのにまさかこんなメイドさんに看病されていたとは……ガクト、羨ましい……
「いっけない! お夕食の準備ができたので3人をお呼びしようとしていたのすっかり忘れてました! 他の方々も先に行かれていると思いますので私についてきて下さい」
俺たち3人はマロンに連れられて長い廊下を歩く。
装飾が施された広い廊下、高級そうな絵が並んだ廊下の壁にアミュラは物珍しそうに周りを見ながら歩いている。
数分歩いて、大きな扉の前に着く。
「こちらが皆さんで食事していただくお部屋になってます」
マロンが扉を開けるとそこには奥へと続く長テーブルの上には一定の間隔で燭台が置かれ、手前の椅子に4人が座っていた。
「おお、やっと来たか!! これでみんな揃ったみたいだな!! いや~~早く飯が食べたいぜ、楽しみだ」
ユシリズがまるで高級レストランに来た庶民のようにとてもうきうきとして座っていた。
隣でアマが目を閉じて静かに椅子で座っている。あおぁわらずマイペースな奴らだ。
「こっち空いてるで!!」
一番奥のダンの隣が空いていたので3人でそこに並んで座った。多分、一番奥はケテルネスの席だと思うのでアミュラを俺とガクトの間に座らせ、ケテルネスの近くにガクトを座らせる形にした。
そして、数分が経つとまた扉が開く。とうとうケテルネスがやってきたのだ。
「悪いな、ちょっとだけ仕事してたんだ。さてと……」
ケテルネスは席に座ると俺たちの顔を一通り眺め、そしてなるほどと一言だけ呟いた。
「失礼します。お食事をお届けに参りました」
そう言って、ずらずらとメイドたちが入ってくると一人一人の目の前に料理が置かれていく。
お皿の上には細かく切られた肉と隣にはサラダらしきものがトッピングされたものが乗った皿と少し底が深い皿には白いミルクスープが入っている。
「皆様にこちらを」
そう言ってメイドが渡したのは赤い液体が入った透明なグラスを渡してくれた。
「これは?」
「こちらは私共が作った自家製のブラッドオレンジュースです。ケテルネス様の大好物でもあります。ケテルネス様にはあちらを」
ケテルネスの席にも多分同じものが運ばれたはずなのだが明らかに俺たちのグラスよりも一、二回りグラスが大きい。
完全にビールを注ぐためのジョッキ一杯にブラッドオレンジュースがぎりぎりまで注がれている。
まさにケテルネス専用と言ったものである。
「それじゃ、めんどう事が終わった!! みんな食べてくれ!! 乾杯!!」
ケテルネスがそう大声で叫んだあと、ジョッキのジュースを喉を鳴らしながら一気に飲み干す。
「ぷひゃーー!! 最高だぁ!!」
俺たちもそれに続いてグイっと飲んでみる。
甘過ぎず、かといって酸味が強すぎない。ごくごくと飲みやすくて美味しかった。
「ふぅ……まぁ……なんだ、その……お前らには少々悪いことをした。最初は邪魔な奴らが動いてるなって思ってたがここまでガッツのあるやつらがいたなんて思わなかったんだ。あーしも面子ってもん考えすぎて色々強く言ったときもあったかもしれんが忘れてくれ」
突然真面目に話始めたので驚いたがどうやら俺たちに対して敵意を向いている様子はなかった。
「最初私たちも驚きましたし、殺されるんじゃないかなって思ってましたけど神様も私たちの事色々分かってくれたみたいでほっとしました。アミュラの件については私も熱く話してしまったと思ってますけど、ガクトからも話を聞いて、ケテルネス様も大変な思いをされてるってわかったので……」
「そうか……なら、よかった」
ケテルネスの口が緩んでおり、ケテルネス自身も安心しているのだろう。
「あと、ガクトの事ありがとうございました。色々お世話になったみたいで」
「礼には及ばない。ケルト、お前には良い仲間がいるな。ガッツがあり、仲間思いで、あーしにも熱くなれば逆らい、久しぶりにあーしもこいつと話して興が乗れたからな」
良い仲間……
普通に言われても嬉しい言葉なのだが今の自分の役割と言葉を言った対象が特別なのもあって心が跳ねるほどうれしいと思った。
「ここに本人がいる前でもあれだが、改めてあーしたちは神子に対して一切手出しも関与もしない。その代わり、しっかりとあーしの代わりに竜血を守る責務を果たしてくれよ?」
「任せてください、これからも全力でアミュラを守りますから」
「ケルト……」
アミュラは隣で肉をほおばりながら尊敬のまなざしでこちらを見つめる。
「……よし、ならこれで約束はした。そして、今さらなのだが……あーー……」
ケテルネスがどこかもじもじとし、顔を赤くしている。 いったいどうしたのだろうか? トイレでも行きたいのだろうか?
「……あのだな!! その、これを機に……和解って話はどうだ?」
凄い恥ずかしそうにしてたのはその言葉を言いたかったからかい!
俺の中では今更感はあるのだが、ケテルネスは改めてそういう関係になりたいと言うことなのだろう。
そういう優しいとこだけシャイだなぁ……ここは少しだけからかってみよう。
「和解ですか?」
「……そうだ」
「うーーん……どうしようかな……」
「ええ!? そこは同意する流れだろ!!」
「じゃあ一つだけ条件があります」
「な……なんだ! なんでも言ってみろ!!」
「アミュラに可愛い服を着せてあげてくれたら和解成立にします!」
「な……そんなことで良いのか?」
ケテルネスの目が丸くなる。
「うん! アミュラも可愛い服とか着たいよねーー?」
「う……うん!」
口の周りにソースをつけたまま縦にブンブンと振る。
アミュラも女の子だもん、おしゃれの一つや二つしたいよね。俺男だけど……
「じゃあ決まりです! ケテルネス様よろしくお願いします!」
「お……おう! 今すぐ用意させる!! おいマロン!! このガキ……じゃなくて、アミュラに可愛い服を着せてやれ」
「はい! かしこまりました~~それじゃアミュラちゃん、行きましょうか♪」
マロンは優しくアミュラの周りに着いたソースをナプキンで拭きとってからアミュラを連れて部屋を出て行った。
そして数分後……
「アミュラちゃんが可愛くなりましたよ~~♪」
「おお、来たか。で、どんな感じだ?」
ケテルネスも少々気になってるご様子だ。
正直俺も気になる。
「はい! どうぞアミュラちゃん入ってきて良いですよ!!」
「は……はい!!」
入って来たアミュラの姿を見て思った。
可愛すぎる……
今までボロボロな布切れみたいな服を着ていたからかなりギャップがあり、普通の女の子の服を着られると普通の男子心はゆすぶられるものだ。
「ど……どう? 似合う?」
恥じらいつつも少しノリノリにポーズをしているアミュラの姿が愛おしい。
「はにゃ~~♪ 可愛い~~♪」
可愛すぎて思わず変な声が出た。
「みんなもどう?」
「めっちゃかわええやん!!」
「ギャップ凄! すげぇ可愛いぞ!!」
「かわよい」
「良い良い!! 凄く良い!!」
みんなアミュラの変わりように男子たちはべた褒めである。
「あ……えと……ガクト……」
「!?」
「か……可愛いかな?」
「あ……まぁ……」
ガクトは思わず顔を背け、ちらちらとアミュラの方を見ながら顔が少し赤くなっていた。
「……可愛いと思うぞ」
「そう……えへへ……嬉しい♪」
アミュラは恥じらいながらも満面の笑みでほめられたことに喜ぶ。
よっぽどガクトの事がお気に入りのようだ。
本当にうれしそうな顔をしていてこちらも嬉しくなる。ちょっとケテルネスをいじってみてよかったと思った。
「よしよし、これで和解で良いな!! 二言はないな!?」
「はい、OKです! 和解成立!!」
「よっしゃ!! 今日はとことん食べて行ってくれ!!」
こうして、無事に俺たちはケテルネスとの正式な和解が認められ、神子の保護も認められた。
そして、今夜はケテルネスとアミュラと仲間たちでほっこりとした食事を楽しんだ。
「ケルトよ、あーしたちの代行者にならないか? リベアムールじゃなくて」
「リベアムール様には色々お世話になってるのであの人の元から離れることはできないです」
「そうかい……なら……時々顔見せに来いよ。久しぶりに心を開ける奴に出会ったんだ」
「はい、もしかしたらお仕事でまた来るかもしれませんし、個人的にアミュラの様子を伝えに来たりします」
「そうか……でも、やっぱりお前は……」
「え?」
「もう少し近くでお前の顔を見せてくれ」
そう言ってケテルネスは俺の頭を後ろから持って、自分の顔の近くに持ってくる。
「へっ!? あの……ケテルネス様!?」
「……」
ケテルネスはそのままじっと俺を見つめるとふっと鼻で笑って頭から手を放す。
「やはり、お前は似ている……すまん、何でもない」
「は……はぁ?」
一体何だったんだろう。似ている……ってよく言われるがいったい誰にだろうか?
……分からないのであまり深く考えるのはやめることにした。
明日、やっと宿屋に帰ることができる。それも楽しみだし、何より別の神と仲良くできたのは本当に大きいことである。
ケテルネスが大きく手助けをしてくれるかは分からないが敵対せずに済んでくれたことが結果として良いことである。
さて、今を楽しんで次に備えよう。
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