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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
4章 黄燐ノ竜編

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81 氷狼フェンリル

戦闘シーンは書いてて楽しい(*´꒳`*)

ガクト編クライマックス!!

 フェンリルの能力によって部屋の温度が低下していく。辺りの壁は水滴が凍り付き、つららが生み出されてゆく。床も急激な温度低下のせいかどんどん凍り始めていた。

 幸いにもガクト自身の体が凍るほどの威力ではないが明らかに体温がどんどん低下している。今まで温暖な場所にいたガクトはもちろん薄着、体温低下はかなり早く起こるに決まっている。

 一回一回の吐く息が白くなり部屋の中は冷蔵庫の中に閉じ込められたと比喩にならないほどだった。

 少しでも戦闘が長引くだけで体力が消耗するため一気に片をつけなければならない必要があった。


≪生物を認識しました、以下の通りです≫


 Name:”氷狼”フェンリル


 基本スキル:不明

 応用スキル:不明

 常時スキル:不明

 耐性:不明


 <詳細>

 不明


 ほぼ情報が不明……そうだった、いつもならダンがいるから情報が分かっていたことを今、思い出す。

 ステータスも危険度も分からない。ノーヒントで戦えと言うことだ。

 今、分かっているのは冷気系の魔法か能力を使用できることだけ。色々試して相手の情報を抜き出しながら戦うしかない。


 ガクトは変形した腕を使い、斧をフェンリルの顔へと振り下ろす。しかし、フェンリルは紙一重のところでガクトの攻撃を回避する。


 一度避けられても怯むことなくガクトはさらに攻撃を畳みかけた。一振り、二振りと大振りながらもフェンリルのこめかみ、肩、首に向けて切りかかるが

 全ての攻撃をぎりぎりのところで回避してくる。


「くそっ……でかい図体の割にはよく避けるじゃないか……」


 大柄ながらもフェンリルの俊敏性は高い。また一つ学習したのだが、こうなるとかなり厄介だ。がむしゃらに攻撃を仕掛けてもフェンリルは回避し続ける。

 そして、ガクトの体力を消耗させその隙をフェンリルは狙っているのだろう。


 フェンリルはガクトの目線を一切そらそうとはしない。フェンリルはガクトの攻撃をしっかりと捉えてそれを避ける、その俊敏性は今までの魔物中で一番だろう。

 ガクトも一度攻撃を止めて、様子をみることにした。

 フェンリルとガクトは火花が飛び散りそうなほど互いを睨み、視線をぶつけ合っている。

 攻撃を止めると今度はフェンリルが動き出した。


【発動:氷晶の息吹(クリスタルブレス)


 フェンリルは口を大きく開け、息を大きく吸い込み体内に空気を貯め始める。

 その空気はフェンリルの体内で急激に冷却され、水蒸気が凍ってできた氷の礫をフェンリルは息に乗せて吐き出した。

 避ける間もないほど強烈な速度で降り掛かる凍える吹雪のような息をガクトは咄嗟に斧を盾のように扱い、攻撃を遮る。


「くっ!! 威力が……おかしい!!」


 盾にした斧に伝わる礫の衝撃と息の異常な風量の強さによってガクトの体が後ろに押されていく。ガクト自身、後ろに押されまいと前傾姿勢で体重を乗せるがそれをも押しのける威力だった。そして、フェンリルがすべての息を出し切ったところでガクトとフェンリルの間にはかなりの距離があった。最初10m程であった互いの距離が20m程離れてしまっていた。

 急いで近づこうと斧を持とうとしたとき、斧がその場から動かなかった。その原因をガクトはすぐに気づく。


「斧が凍っている……?」


 さっきのフェンリルから解き放たれた氷の息吹は物体を凍らせることができるようで盾として地についていた斧が地面と一緒に凍ってしまったのである。


 もし、この攻撃が自分に当たっていたらと考えると恐ろしくてしょうがなかった。


 武器が使えなくなってしまった以上、生身で戦うしかない。まだ敵の能力についてまだ理解も薄いため、下手に手出しすることはかなりのリスクがある。

 しかし、先ほどの息吹の攻撃によってまた部屋の温度が低下したためガクト自身の体温も減り、体力の消耗がさらに増していた。寒さで体が小刻みに震え、顎もがくがくと震え、全身の体力が必死に熱を生み出すことに使われている感覚がある。


 動かなくては寒さでやられる……


 その思いが頭によぎり、ガクトは腕を黒く変色させて地面を蹴る。一気にフェンリルとの距離を縮め、硬化された右腕でフェンリルの顔面に殴り掛かった。

 しかし、フェンリルは回避をする素振りを見せない。しかし、ガクトの攻撃があたる直前に凍った足元の床から突如氷の壁が生まれる。


【発動:氷盾】


「何!?」


 ガクトの右ストレートはフェンリルではなくフェンリルを遮った氷の壁に命中し、氷の破片が飛び散った。この攻撃によって出来た隙をフェンリルは逃すはずがなく大きな爪でガクト切り裂き、吹っ飛ばす。


 ガクトは距離を離された挙句、壁にめり込むほどの衝撃が背中に走り、腹も大きく切られそこから血が流れていた。


「く……そ……」


 歯を食いしばりながらガクトは立ち上がり、自身の傷の修復に集中させる。しかし、やはり体力の消耗が激しく傷の治りがやけに遅かった。腹の傷は回復するが損傷した骨などの修復がいつもより遅い。


「はぁはぁ……まずいな……」


 確かに今までにない力を持った強敵を前にガクトは焦っていた。自分の中で自身の能力があれば大丈夫だろうと慢心していた心が今、ガクトにとって大きな後悔となっている。

 この世界の狭い部分しかまだ見ていなかった。強力な力でねじ伏せることができた今までがあって自分はどこか調子に乗っていたのだろう。

 しかし、今目の前の状況が世界の広さと言う現実をガクト自身に突きつけさせる。そしてガクトはこう思った。


 俺は……まだ弱い……


 こんな犬っころにすらやられていては神などに敵うはずがない。ましてや、今後仲間さえも守ることができないかもしれない。

 そんな、ネガティブな感情が心を侵食してくる。

 しかし、その心に残る光があった。それは、仲間の顔、サラ、エルマ、マロンとこの世界の世話になった人達……そしてアミュラの笑顔がガクトの闘志を震え上がらせる。


「まだだ……まだ俺は、終われない!!」


 弱い。俺は弱い。そう分かったんだ。じゃあ、今度はその弱さを受け入れ強くならなくてはならない。

 弱いなら弱いなりに考えるんだ、自分の力を信じ、倒れてもまた立ち上がるんだ。こんな事、前の世界では絶対考えることなんてなかった。

 でも今は生きることが、強くなることがどれほど大切か分かった。


 だからこそ、やるんだ……


 考えろ……俺の能力【変異者】の身体変異は人体を自由に操れるんだ……人体を……そうか……一か八かやってみるか……


 ガクトはイメージした。自分が恒温動物なら変温動物になればよいと。

 その願いが届いたかはシステムの通知で悟った。


≪【身体変異:人】の能力により以下のスキルを取得しました≫

 スキル名:【環境適応】


 種別:応用スキル


 効果:自身の体内環境を変え、如何なる局地に対応することができる。水中、低酸素地帯、寒冷地などに適応可能。


「きた!!」


 スキル【環境適用】によって体から異常なまでの寒さが消え、体力の消耗をかなり減らすことができるようになった。

 これで、スキルも順応できるし、身体も頭もしっかり働くことができるだろう。


 あとは体を柔軟にすれば回避スキルも取れるかな……ってそうイメージしたらまた、システムから通知が来た。


≪【身体変異:人】の能力により以下のスキルを取得しました≫

 スキル名:【歪む肉体】


 種別:応用スキル


 効果:相手の攻撃に合わせて体の形状を変え、無理やり攻撃を避ける。



 回避スキルっぽいのも来たか。これで準備は整った。体の傷も丁度癒えたところだからここから巻き返すぞ。





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