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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
4章 黄燐ノ竜編

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54 竜人国家ガラクリオット

 腹ごしらえを済ませた俺たちは、またこの荒れた砂地を馬で走らせていた。サーティ地方に入ってから風景が今までとは別世界になっており、長い馬旅でも退屈することはなかった。

 周りを見れば砂から出てきたゲジゲジみたいな生物に大きなトカゲのような生物が食べられ、そのゲジゲジをサソリのような魔物が群れをなして襲う。まさに弱肉強食と言える世界だった。あんな奴らとまともに戦うと日が暮れてしまうので、野生生物を上手く避けながら道を進んでいく。

 しばらく進むと大きなアーチが見えてくる。そう、あれが竜人国家ガラクリオットの入り口だ。空はまだ昼が過ぎて夕焼け一歩手前と言った時間帯だろう。どうやら時間通りに着いたようだ。


「みんな! あそこがガラクリオットだよ! 今日はあそこで宿を取って街の様子を見てから行こうか!」


 俺は後ろを振り向く。


「うわ……もう尻が痛いよ。 もっと柔らかい鞍にした方良いぜ……」


 ユシリズが尻をさすりながら文句を言った。つまり、休ませろと言う合図だ。


「そうだな、これまでのマダンについての情報も聞きたい」


「それもかねてだよガクト、じゃ、行こっか」


 馬を軽快に走らせ、ガラクリオットの入り口まで近づいていく。近づくとモリカとは少し違い、都市を囲む防壁にはとげとげしい木材の針山が付けられ、防壁の上には大砲やバリスタなどの兵器も置いてある。

 かなり防衛力がありそうな見た目だ。これは、門の警備も厳しめなのでは……と思っていたのだが……


「あれ? 門番とかいないの?」


 俺は馬を門前に置き、馬から下りて門に向かうが特に門番やら警備兵がいる様子はなかった。門には大きな扉などはなく、侵入しようと思えば侵入できるのだが……入りづらい……


「え? 入って良いのかな?」


「いいだろ」


「行こうぜ行こうぜ」


「え!? ちょっとぉぉ!!」


 アマとユシリズがずかずかと入っていくのにためらいながらもさりげなくこの街に侵入することができた。

 住宅街はやはり砂漠地域でよく見る土固めの家が並んでおり、商店街は竜人達が商品を並べてバザールが開かれていたりとモリカによく似た印象だったがモリカよりもあまり活気がないように感じる。

 歩く竜人も目を背けるかのように歩き、中には疲れ切った顔をした金属鎧の重装備をしている竜人達もいる。


「なんか……みんな元気ないね……」


「そうだな、きっと竜騒動が原因なのか……でも……お一人様は超ご機嫌が良いようだけど」


 ガクトの視線が下に向いている。俺も目線をやるとアミュラが頭巾の下から目を輝かせてガラクリオットの街を眺めていた。


「おおぉ……す、すごい……私、初めて来た!」


 アミュラの尻尾がフリフリと犬のように激しく振れている。可愛い。

 近くに開いていたバザールにガクトの裾を引っ張って向かっていった。そこで売っていたのはアミュラが大好きな骨付き肉だった。

 目の前でその骨付き肉を焼いてくれるパフォーマンスをしてくれる店でアミュラはそれに夢中になってみている。ガクトも釣られて一緒に見ていると、肉を焼いていた竜人のおじさんがはにかんだ笑顔で肉を一本渡す。


「いや……俺は買うつもりは」


「妹さんにサービスだよ、俺の肉をこんなにもおいしそうに見つめられてちゃ、俺も何か良い気分になってきたからね」


「妹……」


 ガクトは目線を落とすとアミュラが店員のお肉を見て喜んでいた。


「え!? く、くれるの?」


「おおそうさ! 今君のに渡すからね」


「わぁ……ありがとうおじちゃん!!」


 俺はこいつの兄じゃないのに、と思ったガクトだったが嫌な感じはしなかった。ガクトは片手で肉を受け取るとアミュラに手渡す。


「熱いから、ちゃんとフーフー冷ましてから食べろよ」


「うん! いただきます!」


 アミュラは早速その肉をリスのように頬いっぱいにがっついておいしそうに食べていた。


「うんまぁ~~♪」


「いやぁ~~嬉しいなぁ、こんな笑顔見せられちゃ俺も頑張らねぇとって思っちまったよ」


「思ったんだが、何でこんなにこの街に活気がないんだ?」


「ん? あんたら、ここは初めてか?」


「さっきここに来たんだ。旅をしていてね。でも、歩いていると住人が疲れ切ったりしている」


「ああ……それは……」


 おじさんは周りをキョロキョロと見てから、手招きでガクトに顔を近づけさせるよう促す。ガクトが顔を近づけると耳打ちをされた。


「この国の()()()()だよ」


「神のせい?」


「馬鹿もの! 声が大きい!!」


 おじさんは手でガクトの口を咄嗟に塞ぐとまた周りをキョロキョロと見出し、確認が終えると手を離した。


「とにかく俺が言えるのはこれくらいだ。これ以上は済まないが……」


 さっきの焦りと行動からどうやら何かあるのだろうと察した。


「それは済まなかった、お肉どうも」


「おじちゃんばいばい!」


「またこいよ!」


 話を終わらせアミュラと戻ってくる。すると、システムが反応する。


<<新着メッセージ:ケルト様から1件>>


<<近くの宿屋に行ってみます。ガクトも来てね。>>


<<以上です>>


「アミュラ、行くぞ」


 ガクトはアミュラの手を引いて、ケルト達が向かった宿屋へと歩く。商店街には服屋や道具、そして酒場などが点々と並ぶ建物を歩き続けると宿屋のベッドのマークが付いた店を見つけた。店の中に入ると受付にはケルト達がいた。入店のベルの音でガクトが来たことも向こうは気づく。


「迷わずこれたんだね、取りあえず今日1泊分部屋は確保できたから安心してね」


 俺は親指を立てて笑ってみせる。


「アミュラとは部屋は別なんだろ?」


「当たり前じゃん」


「ほっ……」


「取りあえず、夕食は早目に取りましょう! どこに行く?」


 俺が聞くとアマが手を挙げる。


「近くに良い酒場があったからそこ行こう。酒場の人間なら気軽に話も気軽に聞けるじゃん。ケルトが」


「私かい!! でも、確かに情報収集の手口としてはまともね。よし! 酒場に行きましょ!」


 早速、宿屋を出て、酒場を求めて商店街を歩く。空を見ると少し、暗くなってきており、西日が空を赤く染めていた。暗くなるにつれて、どんどんと店が閉まっていく中で1軒、店の扉の前に松明の明かりと大きな酒樽が目立つ店を見つけた。

 どうやらここ近辺にある酒場のようだ。扉の前には竜が火を噴いているようなマークが付けられている。中々おしゃれじゃん。

 今日の晩酌と情報収集はここにする事を決め、厚めの木製扉を開き、店の中に入った。



お読み頂きありがとうございました!!


皆さんをもっと楽しませるような小説を作るために宜しければこの作品についての感想などを書いてくださると今後の励みになり、私はとても頑張れます!!


またブクマ・評価・レビューなど気に入って下されば是非ともお願いします!!


今後も皆さんを楽しませる事ができる作品を作るために応援を是非ともお願いします!!


次回の投稿は1月9日(木曜日)です。

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