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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
3章 酒場救済編

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46 仕事の報酬

 仕事の一切が終わり、宿屋に戻ってきた俺たちはエルマとサラに出迎えしてもらい、エルマの暖かい料理を頂いた。夕食のメニューはエルマ特製の野菜たっぷりポトフで体の芯まで温まることができる優しい味を楽しんだ。そういえばラミーさんのポトフも食べたけど……ラミーさんの料理もエルマさんに負けず、おいしかったなぁとぼんやり思いながら、2人の事も少し心配になる。

 あれからどうするんだろうか。まぁ、国の神様がなんとかしてくれるだろうから心配は無いだろうけど一体どんな頼みをお願いしたのかは気になった。でも、幸せになってくれるなら何でもいいやって思った。

 お腹もすいていた私達はパクパクとポトフを頬張っていると入り口のベルが鳴った。


「はぁい♪ 今行きます~~」


 エルマさんがパタパタと入り口の方へと向かっていく。誰が来たのだろか?(モグモグ)

 少し経って、俺たちのいるダイニングに笑顔で戻ってくる。


「みなさ~~ん、お客様ですよ!すぐに来てくださーーい」


「はーい!! いまいひまふ♪(今行きます♪)」


「ん? はれだはれだ?(誰だ誰だ?)」


 ユシリズとサラがポトフを口に含んだまま立ち上がる。


「こんな夜遅くに……旅人も大変なんだな」


 ガクトも握っていたパンを置いて入り口の方へと向かっていく。


 4人が出て行ってから3分も経たないうちにガクトとユシリズが戻ってくるとガクトが俺に肩を置く。


「お呼びだぞ。恩人さん」


「ふぇ?」


 お芋をすくっていたスプーンを置いて俺も入り口へと向かう。そこには見慣れた顔があった。


「ああ、ケルトちゃん。ごめんなさいね、夜に会いに来てしまって」


「こ……こんばんは」


 そう、そこにいたのはラミーとカナの姿だった。


「ラミーさんにカナ!! どうしてここへ?」


 俺は突然の事で驚いた。まさか、今日中にここまで出向いてくれるとは思わなかったからだ。


「この人達が噂の酒場の人たち?」


「ええ、初めまして。貴方がサラちゃんね? ケルトちゃんから話は伺ってるわ。ほんと、カナとあんまり変わらない年頃ね。ケルトちゃんの言葉通り、可愛らしい子だわ」


 そう言うと、ラミーはサラの頭を優しく撫でる。


「しょんにゃ~~、ケルトちゃんたら他の人に私の事可愛いだにゃんて~~、ふにゅう……」


 まるで猫のように喜んだ顔をして気持ちよさそうにしている。余程嬉しかったのだろう。


「ラミーさんとカナはどうしてここに?」


 俺がそう問うとラミーは真剣な顔になり、カナを連れてくる。そして体の向きを俺からエルマさんの方を向くと2人は頭を深く下げた。


「お願いします!! よろしければ私たち……いえ、カナだけでも構いません! ここで私たちを働かせてほしい!! 報酬なんていりません、ただここで働かせてください」


「……ええええええぇぇぇぇ!!!???」


「まぁ!? 私たちの宿屋にですか?」


 俺はもう目が飛び出てしまうのではないかと思うほどに驚いているのに対して、お願いされているエルマは意外そうなリアクションだった。


「本当はまた、あそこに家を建ててやり直そうって思ってたんだけど、私たちは思ったんです。やり直すなら、恩人の元でやり直そうって。そして、ケルトちゃんは自分たちの仕事の報酬を私たちのために使ってくれました。だから、私の思いを神様に伝えました」


「それでここまで?」


 ラミーさんは静かに頷く。仕事をして良いのかどうかという件は宿屋の持ち主であるエルマとサラに決定権がある。急に言われているのだからこれは悩むはずだ……僕たちもいるし。


「もちろん歓迎よ♪ 私も貴方のお酒飲んでみたかったのよ~~!! サラもカナと仲良くできそうだしね♪」


「即決!?」


「私もいっぱい人がいる方が楽しいし、カナちゃんともお話ししてみたい!! あ! でも、ケルトちゃんは渡さないからね!!」


 サラは俺の腕にキュッと組み付いてくる。


「ほ……本当ですか!? ありがとうございます!!」


 エルマの返答にまたラミーは深々と頭を下げた。


「ありがとうです……えっと」


「エルマでいいわ! カナちゃんだったわよね? 家のサラとも仲良くしてね」


 カナは少しもじもじとして何かを言いたそうにしている様子だった。それに気づいたラミーは声をかける。


「カナ? どうかした?」


「あの!! 私、魔族ですよ!! 名前も本当はベリュトゥナって……魔族である私なのにどうして受け入れてくれるのかなって……」


 エルマさんはニコニコとした笑顔でカナと目線を合わせると、優しく頭を撫でた。


「魔族で何がいけないのかしら? 私は魔族とか人族とかそんなの関係ないと思ってるの。それに貴方の近くにいる人たちは貴方を拒んだりしたかしら?」


 カナはその言葉を聞いて、ラミー、サラ、そして俺の方に瞳を向けてまたエルマの方を向く。


「ね? そういうこと種族とか関係ないのよ。貴方は貴方、名前が違くてもカナはカナなんだから」


「うん! ベリュトゥナでも魔族でもカナである事は変わらないよ!! だから、もう怖がらないで?」


「う……う……うああああぁぁぁん!!!!」


 エルマと俺の言葉が響いたのか、カナは静かに瞳から大粒の涙がこぼれ落ちてくる。

 そして、エルマに抱きつき声を出して泣いた。


「エルマ、それにケルトちゃん本当にありがとう。それと、あと1つだけ提案があるんです。エルマさん、この宿屋を大きくしてみませんか?」


「え? 家を?」


「はい、ケルトちゃん達もいて、私たちも入ってくるとさすがに人数が多いではないですか。そうだと思って増築とか考えたりしてみませんか?」


 エルマは顎に手を当てて、悩んだ仕草を見せている。


「確かに……アリね! でも……そんなお金は家には……」


「実は……これを……」


 ラミーが取り出したのは1枚の紙だった。そこにはこう書かれていた。


『宿屋バニランテ改装契約書』


「ええ!! 凄い!!」


「はい、実は神様にこれはサービスだと言われました。ケルト達が上手く仕事をやってくれた今回の報酬だと伝えられました。改装費は全額負担するそうです」


 (まじかよ……やるなぁリベアムール様)


「急な話になりますがいかがですか?」


「ええ是非!!」


「即答!?」


 とても乗り気なエルマさんは目に星が付いているように喜んでいた。そして、即決する彼女に俺は突っ込みを勢いでしてしまった。


「分かりましたそれでは手配しておきます、それでは皆さん今後ともよろしくお願いします」


「お願いします!! ……グスン」


 こうして、新しく2人の従業員が加わった。それにこの宿屋も大きくグレードアップもできるみたいで楽しみだ。

 それでも、何よりもこの2人が来てくれたことが1番の報酬だった。さあ、今後の生活も楽しくなりそうです。




これにて第3章が終わりです!!

次回から第4章開始です!!

次回もよろしくお願いします。



2020年1月11日スキル表記を一部変更

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