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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
3章 酒場救済編

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40 大群

 俺たちは軽快に馬を走らせて目的地に向かっている最中だった。先頭はダンに走らせ、ダンの能力を使って索敵、後方はアマが見張り役として配置し進んでいた。


「ダンーー何もないかーー?」


「こっちは何もないでーーアマの方はーー?」


「異常なしーー」


「ういぃーー」


 アマとダンがお互いの死角の状況を確認し合いながら進み、俺とユシリズとガクトとダンはそれぞれ左右斜めに展開してラミーを囲むような形で馬を走らせていた。出発してから1時間ほど時間が経っているが敵と接触することはない。


「妙だな……」


「どうしたのガクト?」


 後ろを向くと後方にいたガクトが眉間にしわを寄せ、顎に手をついている様子が見えた。


「普通はどんなに敵意がない魔物でもそこら辺に歩いているもんじゃないのか?」


 ガクトの言葉を聞き、俺は辺りを見回すと確かに1時間前よりも動物や魔物の姿が減っているどころか一匹すら見当たらなくなっていた。


「確かに……生き物が一匹もいないなんて……偶然なの?」


「ケルト……辺りに注意を向けとけよ、何か嫌な予感がする」


「……わ、分かった」


 ガクトの嫌な予感は大体当たる。俺はみんなに注意するよう促し、目的地の森に向けて走り続けた。このまま魔物の気配がないまま更に1時間が経ち、俺たちは森の近くまでやってきた。


「なーんだ、何も出てこなかったじゃねぇか。つまんねぇ……腰痛ぇ」


 約2時間の移動に退屈し、疲れていたユシリズは馬の上で大きなあくびをしていた。


「お前、気を抜くなって言われただろ……ふわぁ~~……」


 ユウビスも大きなあくびをし、目には涙を浮かべている。


「お前もじゃねえか……」


「眠い……」


 そんな2人が話している間にも森の入り口へと近づいていた。しかし、森に入る前に、ダンが突然馬を止めだした。


「のわぁーー!! ストップストップ!!」


 突然の出来事にみんなの馬が一斉に急ブレーキをかける。俺は馬から放り出されそうになるのをこらえなんとか体勢を整える。俺たちとは違いスムーズに馬を止めたラミーは馬を下りてダンのそばに向かう。


「ダンくん、一体何事?」


「ちょっと待っててくれるか……」


 ダンはじっくりと森の中を眺める。ダンの額から大粒の汗が作られ流れていくのが見えたラミーは心配そうに様子を見ていた。

 ダンの目には物体を熱で感知するスキルによって生物は赤い物体として見えるのだが、森の中にはその赤い物体が遠くに見えていた。

 ずっと見つめているとその赤い物体はどんどん大きくなり、いくつにも分裂していく。この状況はダンしか分からない。もちろんダンは今何が起こっているのかを察した。


「ダンくん、森の中はだいじょ……」


 ラミーがダンに心配の声をかけかけたそのときだった。ダンが俺たちの方向を振り向き大声を挙げる。その顔は必死さと焦りの汗でぐしゃぐしゃだった。


「みんなぁぁ!!!! 戦闘態勢をとるんやぁぁ!!!!」


 皆はダンの声に驚くが即座に身を構えた。俺はすぐに馬を下りてラミーの前に出る。そして、俺も森の中を見た。すると、光で反射した瞳が森の奥からいくつも見えるのが見えた。

 それは5、6匹という話ではない。30、40、それ以上の数はいることを確信した。その大群の正体はすぐにでも分かった。

 俺たちが見ていた方向ではなく、森の横側から数体が飛び出してくる。四肢があり、緑色の肌、大きな頭に気味の悪い目つき、そして手には木の棒や盾を持った俺たちよりは少し小さい魔物だった。


<<生物を認識しました、以下の通りです>>

 Name:ゴブリン


 危険度:D


 攻撃力:C防御力:D 敏捷性:C 知性:B


 魔法攻撃力:E 魔法防御力:E 魔法回復力:E


 スキル:【仲間呼び】【噛み付く】【投擲】


 耐性:なし



「ゴブリンだって!? ゴブリンは洞窟や洞穴に生息してるはず、外には狩り以外滅多に出ないのにどうして!?」


 ラミーはゴブリンがいる状況にとても驚いている様子を見せていた。ラミーに向かって飛びかかってくるゴブリンに対して俺は、剣ではじき返していく。


「ラミーさん下がって!!」


 俺たちは全員一カ所に固まる。周りにはおびただしいゴブリンの群れに囲まれていた。


<<生物反応:推定50体>>


 50体だと? この森……ゴブリンの住処になってたっけ? それにしてもこの数は異常すぎる。


「こんな数……ゴブリンの巣で無い限り、普通ではあり得ない事なのに……ケルトちゃん気をつけて」


「分かりました……じゃあ、ユウビスお願いできる?」


「あれやればいいのね? 分かった」


 俺たちはしっかりと体勢を整えたところでゴブリンたちも痺れを切らしたのかワギャワギャとよく分からない声を上げながら手に持った棒を高らかに掲げる。


「ワギャーーーー!!!!」


 1匹のゴブリンリーダーが大きく声を出すと一斉に四方から飛び出して来た。


「ひゃあぁ!!!!」


 ラミーが顔を覆い隠してから、数秒が経つ。しかし、ふとゴブリン達の声が聞こえなくなった。

 不自然に思ったラミーが顔を向けるとそこには50体もの大群がいたはずのゴブリンが全てピクリとも動かなくなっていた。ある者は焼き焦げ、ある者は切り裂かれた後があり、ある者は地面に押しつぶされている。そして、その死体の前には6人の人間がただ立っている事だけがラミーが目にしていた光景だった。


「一体何が起こったの……?」


 俺は後ろを振り向き笑顔を見せる。


「さあ、先に進みましょ!」



お読み頂きありがとうございます。

前回からかなり期間が空いてしまいました。

待ってくださった方々には大変申し訳ないです。

なお、私はまだ失踪はしないので安心していてください(笑)。

これからもこの作品共々よろしくお願いします。

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