表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
1章 妖精ノ園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/130

15 早朝の襲撃

妖精の園(フェアリーガーデン)』に向かうためにモリカから出て、周辺の草原に野宿をして、明日の遠出に備えて寝ていた俺たちは当日の朝を迎えようとしていた。俺は皆が寝静まっている間、この先何が起きても良いように寝床から少し離れたところで実験をしていた。それは俺の能力『創造者クリエイター』を使いこなすためだ。まず、習得していたスキルを使用してみる。

 まず『風支配』だ。俺が精神を集中すると、俺の周辺に風が集まり、強風が吹き始めた。頭の中で渦を想像すると、目の前で竜巻が発生した。


<<『風支配』のスキルにより以下のスキルを獲得>>


 応用スキル:風刃竜巻


 威力:小~大


 効果:風圧で対象を切り裂く竜巻を発生させる。



 ここで気づいたことがある。『風支配』などのスキルは更にスキルを生み出すためのいわばスキルの基礎のような物であるから基本ベーシックスキル、『荒ぶる大気』のような基本スキルから生み出したスキルを応用スペリオルスキルと言うらしい。基本スキルはスペシャルスペックによってやっと持つことができるほど習得が非常に難しい。応用スキルは基本スキルに応じて習得する。いわば技みたいなものだ。これに関しては基本スキルがあれば、使用しながらアイディア次第で生み出すことができる。

 俺は少しの訓練でこれくらいの発見があった。だてに、漫画や小説を読みあさっている万年中二病のような考え方がここに来て役立っている。すんなり知識がつくんだもん。これはまあ良いとして問題は俺の能力だ。この『能力制作アビリティクリエイト』という能力はいまいち勝手が分からない。何回か発動を試みるがシステムがエラーを起こして発動ができないのだ。だが、一度や二度は発動しているのだから使えないはずではない。きっと発動条件らしき物があるのだろう。それさえ分かれば良いんだけど。俺はいろんなことを試した。

 大声で叫んでみたり、土下座でシステムに頼み込んだり、ゴロゴロと草原を転がりまくったりしたが目の前にはエラーしか出てこなかった。


「ここまでやっても出てこないのはもうしょうがない……」


 取りあえず、これは後回しにすることにした。

 空を見るとそろそろ明るくなってきている。みんなが起きる前にそろそろ戻ろう。俺がこの場所から立ち去ろうとしたそのときだった。草原の向こうから4,5人の人間がこちらに向かって走ってくるのが見えた。そこから何かが飛んできた。俺はそれを軽々と避けた。


「なんだこれ? 投げナイフ?」


 確認すると投擲用の小型ナイフだった。どうやらあの距離から投げてきたらしい。気がつくと俺は大柄の男達5人に囲まれていた。


「貴様が抹殺リストに載ってるやつか? ふむ、女か……」


「あんた達は誰だ?」


「俺たちはお前とその取り巻きを殺すようにただ金で雇われただけだ。まあ、悪いとは思うが仕事でな」


 男達はそれぞれ武器を構える。装備は……ぱっと見て安物のショートソードにあの機動力だとその服は防具と言える防御力は無いと見た。だが、あの距離から正確に投げナイフを投げることができると言うことはこいつらはやり手なのかも知れない。俺は腰に付けた小太刀を抜いて構えた。


「おら!いくぞ!」


 一人の男が俺に向かって仕掛けてくる。ショートソードとは言っても俺の武器は小太刀、リーチは相手の方が有利だ。俺は避けるだけでも精一杯だった。ここで能力を使っても良いのだが全員倒せないとこの能力を相手に知らせてしまうことにもつながってしまう。それにこいつらは人間だ。俺は人間を殺すことになる。そんなこと俺ができるのか?

 そんなことを考えている間に今度は3人の男達が戦闘に入ってくる。相手の攻撃回数が増えていると共に、俺の体力もかなり消耗している。殺す、殺さないを考えている暇じゃなかった。やらなきゃ俺がやられる。


「そこだぁ!!」


 一人の男が振り上げたショートソードが俺の頭上に見えた。俺はそれを間一髪小太刀で受けるも吹き飛ばされ、体勢を崩してしまった。

 まずい、スキルの訓練のみしかしていなかったから、武器の訓練の怠りがここに響いている。練習しとけば良かった。

 くそっ、かっこつけてスキルなんて使わないから足下すくわれて危ねえんだよな。スキルで勝てても技術では奴らの方が上だったか・・・俺にもその力があれば勝てたかも知れない。


「死ねぇ!!」


 男が俺の首を切りつけようとした瞬間だった。俺は心の奥で武器をもっとうまく使いたかったとでも思ったのだろうか。その途端システムが反応する。


<<希望を確認しました>>


 そして、俺はその男の剣を受け止め、流れるように男の首元を切りつけた。首からは血しぶきがあふれ出し、銀色の俺の髪にかかり、赤く染まる。男達は動揺していた。俺はその一瞬の隙をつき、残りの男達の首を疾風のごとく切りつけていった。それは自分でも驚くような早さで一瞬にして男達を葬ったのだ。まさに紫電一閃…

 訓練場だった場所は男達の血しぶきが広がっている。俺は初めて人を殺めてしまったが罪悪感は無かった。俺はそれを眺めながら息を整えると、システムから通知が来た。


<<能力制作(アビリティクリエイト)により以下のスキルを習得しました>>


 一般スキル:剣術・極


 効果: ほぼすべての剣に関する武器の扱いが得意になる。極は剣の道を究めた選ばれし者が習得できる神の諸行。


「スキルが発動した?」 


 俺はこのスキルがいつ発動したのか分からなかった。でも、殺されそうになったあのときふと、俺の中で何かがはじけた感じがしたのだ。きっとそのときなのだが……だめだ分からない。取りあえずみんなのところに戻ることにした。


 みんながいた寝床に戻ると案の定みんな起きていた。


「お~いみんな~」


 俺が近づいていくと、何かが積み上がっている影が見えた。


「ケルト!? 何でお前血まみれなんだ!?」


「ユシリズ、それにみんな聴いてくれ。さっきそこで見回りをしてたら多分ゼニ達が雇った殺し屋に襲われたんだ。全員殺したけど……」


「お……おお……いなかったのは見回りしてくれてたのね。そしてケルトちゃんもかいな。実はわしらもやねん」


 ダンの後ろには俺が戦った奴らと同じ服装の殺し屋達だった。


「まあ、俺たちはユウビスとアマの連携コンボで電流ビリビリの刑にしてやったで」


 そっちも襲われていたのか。能力を使って撃退したらしく、その死体からは焦げたような臭いと煙が立っていた。


「無事なら良かった。でも、あまりむやみに能力は使わない方が良いよ。俺たちの手の内がばれたらあっちも対策してきそうだからね」


 これ最強のスキルだからなんて言えないので言い回しを変えて仲間達に注意を促した。


「人数多かったからこっちの方が手っ取り早いし。俺は合理的で良いと思うけどね」


 確かにアマの言うとおりだが普通のスキルではないので少しは隠して欲しかったが……


「きっと俺たちに対する妨害工作なのか、実力を試しているのか分からないがこの先、気をつけた方が良い」


「その通りだなガクト。じゃあ、そろそろ行こうか」


 なんとか脅威は去ったがいつ何が起こるか分からない。スキルの研究も時々やっていかなくては。そして、早く自分の能力の使い方に気がつかないとな。

 俺は布で自分の返り血を拭くと、日差しの先にある目的地へと足を進めるのであった。







2020/2/12 ルビを追加

基本ベーシック応用スペリオル

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ほら、言わんこっちゃない 早速戻って、悪人達を虐殺しようぜ~
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ