表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
5章 同盟交渉編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/130

101 謎解き迷路

 蜘蛛の罠を掻い潜っても、まだこの迷路は続いていた。

 俺たちはさっきの教訓を生かして、蜘蛛除けのために糸を手繰り寄せて松明を作り、火の光を照らしながら出口を探す。


 何となく北へと目指しているが、今進んでいる道が本当に北に向かっているのかさえ分からない。それでも黙々と進み、蜘蛛を時々見かけるがあれ以来襲ってくることもなく快適に進んでいた。そして、曲がり角を曲がった先にまた少し開けた空間へと到達した。


 そこには新たな石碑と大きな燭台を模した火のついていない篝火があり、一方の壁に大きな魔法陣が描かれていた。


「ここは……何や他とはちょっとちゃうところやな」


「また石碑があるわね。調べてみよう」


 俺はその石碑に近づき、文字が書いてある事を確認するとその内容を読んでみる。


 "太陽は偽言。故に真道見つけたくば我が真言に従え。我は月、対極なる存在"


 "4つの篝火に月の火を添えよ"


 石碑にはそう書いてあった。


「太陽は偽言……対極なる存在……月……」


「今度は謎解きか? うーーん、よう分からん。でも、下に篝火に火を添えよって書いてあるんやから篝火に火をつければええんちゃうん?」


 そんな単純な筈はないと思うが、物は試しなので、魔法を使って4つの篝火に火をつけてみる。やはり、篝火の炎はただ揺らめくだけでこの空間に変化はない。


「やっぱりだめやったかーー」


 落ち着いて考えてみよう。この石碑をもう一度読もう。1つずつ訳していくんだ。太陽は偽言……太陽は嘘つき、故に真道見つけたくば我が真言に従え……つまり月の言葉に従えと言う事。対極なる存在……ここだ、多分ここに何か謎がある。

 そういえば太陽の石碑に掛かれていたことが妙に引っかかる。ダンも言っていたように何か俺たちを煽っているかのようだった。もしかすると、これも対極にすればいいと言う事か?


 ”臆病者、汝の悪知恵を行使し迷宮ラビリンスを抜けよ。真実へと続く道は太陽の導きに従え。我はこの空を統べる太陽である”


 これを正反対の意味にすればいいから……


 ”勇敢なる者、汝の知恵を行使し一本道を抜けよ。真実へと続く道は月の導きに従え。我はこの空を統べる月である”


 こうすればいいのか!! 中々頭がさえてるんじゃないかと自分で自画自賛しつつ、もう一つの謎"4つの篝火に月の火を添えよ"についてだけど……


 これも対極にすればいいから、太陽の色が赤だとすると月の色は青だ。つまり、青い炎を灯せってこと? どうやってそんなものが作れる? いや、ちょっと待てよ。

 もしかしたら、火と言うのも正反対にすればいいのか! となると、火の反対は水なので凍らせてみるか!


 そういう事で俺は青い魔方陣を生み出し、火が灯った4つの篝火へと向けて凍らせる。


「どうした? 篝火は火を灯すものだろ?」


「これで良いの。だって火を灯してるんだから」


「は?」


 この後、アマの疑問の答えはすぐに解決する。


 篝火に向けて凍らせたとき、氷の中で火が消えず、揺らめいているのが見えた。そう、これが月の色の火である。

 その時、壁に書かれた魔法陣が活性化し、光りだすと魔方陣から一筋の光が放たれるとこの迷宮全体を一刀両断するように貫通し、激しい爆風が起きる。

 そして、気が付くと迷路の壁が破壊され、一つの道ができていた。その道の中心には1階層で見た


 これが”一本道”の意味だったんだ。すごい……ダイナミック……


「えぇ―ー!! そう言う感じなん!?」


「これにはびっくり」


 2人が驚くのも当然だ。まさかこんな仕掛けがあったなんて。

 とにかく、謎は解明できた。これで次の階に進めることができる。俺たちはすぐにその転送盤の上に乗ると、さっきできた一本道が修復されて行くと元の迷路に戻る。そしてそのまま俺たちは転送盤の光に飲み込まれ、その場から消えた。




 一方その頃、啓蒙ノ塔最上階にてーー


「やっと、着いたわ」


 転送盤から転移してきたライザは部屋の中心に転送された。目の前には本棚が入り組んだように設置されており、まるで巨大な図書館のような場所が広がっている。


「ここが……幾万の知識が眠る場所。ここに妹が」


 ライザはゆっくりと歩みを進める。見渡す限り広がる本棚の量、顔を上げるとその本棚は壁の天井まで立ち並び、すべてが本で覆われている。

 ここまで来るのにも一苦労であるライザだが、疲れなど見せるそぶりなど無い。もっと歩くと、本棚だけではなく虹色に光る石が積み上げられた場所がある。あの石こそが【魔導石】である。その近くには魔導器が並んでおり、人型や鳥型などの様々な形をした魔導器が立ち並ぶ。

 ここまで来るともはや博物館である。


 こんなに広い場所で物探しなど絶望的に思われるかもしれないがライザには決意の心を持っていた。その思いは自分で自覚するほど強いものである。


「ここまで来て諦めるものか。待っていろ、エルザ……私が必ずお前を生き返らせてみせる」


 ライザのその瞳の奥には彼女にしか分からない深い憂いに濁らされていた。

2020/10/9 一部変更 マイラ→エルザ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ