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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
5章 同盟交渉編

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99.5 暗躍する影

 エスデス城にて数日前ーー


 エスデス城内の謁見の間にて薄紫色のカーテンの後ろで鎮座しているエスデスは影から察するに紅茶を飲んでいるように見えた。カーテン越しではあるが目の前のエスデスに向けて跪いている魔族が1人いる。背中には大きなコウモリを模した羽が生えており、神は腰まで長い白紫髪の女グレモリアだった。


「エスデス様……ご報告です。我らが7柱の1人であるファフネリオンが例の一行に殺されました」


 エスデスはそれに対して何も返答などはせずに紅茶を啜る。


「くひっひっひ……一柱であるバズールに加え、二柱であるファフネリオンもやられてしまうとはなーーんともなさけないですねぇ。くっひっひっひ」


 部屋の端あらの影から長身でかなり細々とし、眼鏡をかけた黒髪で直毛長髪で紳士服を着た男が突然現れる。


「アンドルフ……あなた、エスデス様に頭が高いわよ」


「おぉーーこれはこれは……ミスグレモリア、相も変わらずエスデス様にべっ……たりと……くひっひっひ……主人に忠実な犬……いや、こうもりですなぁ!!!! くひっひっひ……ひいっ!?」


 アンドルフの顔紙一重に赤い刃が掠り、壁にそれが突き刺さるとドロドロに赤く液体化する。


「次は……無いと思いなさい」


「ふ……ふひっひ……まっ全く、物騒な女だ」


 アンドルフの額は汗で濡れ、服の内ポケットから白いハンカチを取り出すと丁寧に汗を拭う。


「2人とも……喧嘩をするでない。見苦しい」


 エスデスがカーテンの向こう側で紅茶を置いて、膝附にもたれかかる。


「……失礼いたしました」


「くひっひっひ……失礼……」


「アンドルフ、お前が来たと言う事は申すことがあるのだろう?」


 エスデスの言葉にアンドルフは嬉しそうにニタニタと笑うとグレモリアの一歩後ろで跪く。


「くひっひっひ、よーーくぞ聞いてくださいましたエスデス様。現在、エスデス様の御長寿の為に【不死の酒】を求めている計画は勿論進行しております。しかし、わたくしアンドルフ・オルフィレは新たな名案を思いついたのでーーす!!」


「……申せ」


「ありがたき幸せ……セカン地方に啓蒙ノ塔と呼ばれる神々の知識が眠っていると言われる塔があります。そこには生命を司る魔法、いわゆる禁術の魔術書が保管されていると聞きました。わたくし、アンドルフ・オルフィレその塔へと向かい、その魔術書をここに持ち帰って見せましょう。すればどうでしょう……魔術書を読んだ物は誰でもその禁術が簡単に手に入ってしまう。例えそれが下級の魔物であっても……しかし、言語が読めないと意味ないんですがねぇ!! どうでしょう、我らが魔族軍の戦力増強を別のアプローチから謀るのです!!」


 そう言って、興奮したアンドルフは唾をまき散らしながらエスデスに向かって熱弁する。


「だが、軍全体を賄える魔力などどこにもないでしょう」


「くひっひっひ……甘いですよミスグレモリア。わたくしはそれも見越してお話をしているのです」


 アンドルフはニヒルに笑いながら手のひらで眼鏡のズレを直す。


「エスデス様【無限ノ歯車(ディープルギア)】というのはご存じでしょうか? 【無限ノ歯車】とは啓蒙ノ塔に眠る魔導器、その歯車が回るとき、永久に無限の魔力を供給出来るとされているまさに魔力の泉……くひっひっひ……つまり、その神器も一緒に持ち帰ってくることによって我が軍の魔力はもはや無限!! 永久的に枯れることはないのです!!!! いかがでしょう!? ミスエスデス!?」


 アンドルフは興奮のあまり息切れを起こしながら汗をボタボタと垂らす。長い鼻から鼻水が垂れて、その様子がどれほど必死な提案かを思わせることが出来る。

 それを聞いたエスデスは少し間を置いてから口を開く。


「行け……ただし、お前1人で命を果たすのだ。可能だな?」


 カーテンの隙間から眩しいほどに赤いエスデスの目が見えたときアンドルフは恐怖のあまり身体が強ばり、また汗が滝のように噴いてくる。震える手を内ポケットへ伸ばし、顔の汗を拭う。


「く……くひっひっひ……も、もちろんでございます。このアンドルフにお任せを……我が魔法は誰にも屈せぬのですから……それでは失礼を、くーーひっひっひ!!!!」


 そう言って、アンドルフは影の中へと溶けるように消えていった。


「グレモリア……」


「はっ……」


「引き続き、奴らの監視、不死の酒の進行を進めてくれ」


「仰せのままに……」


 グレモリアは影だけの主人へ深々と頭を下げる。

 エスデスはまた残りの紅茶を啜り始めるのであった。




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