【参の巻の登場人物一覧】
・猫風蒼雲:十五歳。化け猫を使役して悪鬼悪霊と戦う「猫使い」の一族、猫風家の次期当主。灰色の長毛猫・風霧と、白黒の長毛猫・雲風の2匹の化け猫を使い魔として使役している。この国の霊的守護の要、天御柱の術者で、戦闘系呪術師で組織される兵部に所属している。現在は、天御柱の下部組織である霊泉学院(高校に相当)に通っている。幼い頃から化け猫との生活を強いられてきたので、一般常識に疎く、ストイックな性格。
・御鏡裕樹:十六歳。植物の精霊を使役して悪鬼悪霊と戦う「木霊使い」。天御柱の術者。御鏡家は剣術を得意とし、裕樹も、妖樟鬼切丸という宝刀を使う。猫風家とは、ペアを組んで戦うことが多く、蒼雲とペアを組んでいる。霊泉学院(高校に相当)に通っており、猫風家の東京の屋敷に下宿中。十歳まで自分の家の秘密を知らされず呪術とは無縁の生活をしてきたため、一般市民の感覚に一番近い常識人。
・那由他:裕樹が使役を始めた猫風家の庭の藤の古木の精霊。見た目よりも若々しい姿。
薄色の表に萌黄を合わせた藤のかさねの着物を纏う。蒼雲が子供の頃から、彼のことを知っている。
・猫森梓乃:十五歳。森の一族の「猫使い」猫森家の長女。同じく霊泉学院に通っている。三毛長毛猫の七枝を使役している。弓術を得意とする呪術者の卵。猫森家の猫使いは、幻術を得意とするが、梓乃も、七枝とのコンビで強力な幻術を使いこなす。言動はおしとやかなお嬢様。蒼雲とは家同士が決めた許嫁同士で、「蒼雲の人となりを知るために」という名目で、猫風家に下宿している。すでに猫使いとして活躍している兄と、幼い双子の妹がいる。
・遠山雅哉:十五歳。役小角末裔と言われる遠山衆の跡取り息子。遠山衆は、山岳修験の流れをくむ呪術集団で、仏教系の呪符を用いた退魔術を扱う。徒手空拳の使い手。一族の期待を一身に受けているため、人生に悲観的。
・猫風蒼龍:風の一族の猫使い猫風家の当主であり、蒼雲の父。「猫使い」各家の頂点に立ち、天御柱の最高責任者でもある。多くの化け猫を使役するが、普段は、虎風、龍風という2匹を連れている。厳格な性格で、息子の蒼雲には、幼い頃から非常に厳しい修行を課している。霊泉学院では、蒼雲や裕樹たちのクラス担任を務める。
・御鏡俊樹:裕樹の父。御鏡家の現当主。裕樹が子供の頃は、表向きは樹木医としての仕事をしているように見せていたが(実際に樹木医の仕事もしているが)、実際は呪術師。蒼龍とペアを組む木霊使いであり、天御柱一の使い手と評される剣の使い手。裕樹や蒼雲たちのクラスの副担任。蒼龍と対照的な穏やかな性格だが、息子たちの修行には妥協しない。妻の律子は一般人だが、御鏡家の仕事については理解している。
・風守宗徳:蒼雲の専属従者として仕える初老の男性。風守家は、代々、猫風家に仕える風の一族の一員。宗徳の息子・宗鷹も蒼雲の専属従者を務めている。猫風家には、東京の屋敷だけでも三十人ほどの使用人が仕える。ちなみに、「宗」が付く名前は従者としての役職名のようなもの。
・舘野:猫風家お抱えの専属医の一人。呪術を治療に利用できる天御柱所属の術師。東京の屋敷内にも専用の治療院がある。シルバーグレーの髪を七三分けにしている。娘の桜も医師であり呪術師をしている。蒼雲のことは「坊っちゃま」と呼ぶ。
・賀茂弥生:警察庁刑事局超常現象捜査班(通称K-SICS)の統括班長。左右非対称のショートボブに、ボディコンシャスなミニスカスーツがトレードマークで、年齢よりも若々しく見える。精神感応系の呪法に精通し、精神への干渉、感情や記憶の強制的な読み出しなどを得意とする。遠山雅哉の母親。遠山富嶽とは夫婦。雅哉には、心理カウンセラーをしていると長年信じ込ませていた。
・遠山富嶽:超常現象捜査班の防衛省側組織(通称J-SICS)の隊長。普段は市ヶ谷の統合幕僚監部に勤めている。役小角の血を引く修験道系の呪術集団・遠山衆を束ねる頭領。ガタイが良く、圧倒的なパワーで戦う徒衆空拳の使い手で退魔法に優れた術者。存在だけで魔を圧倒する迫力を持ったような人物。遠山雅哉の父親。
・梨木賢太郎:SICS所属の術師。弥生の側近。
・猫森柾一郎:猫森家の長男。次期当主。二十二歳。警察庁警備局に勤務。弓術のほか、猫森家の長子にのみ伝えられている近接格闘術「森の牙」の使い手。使い魔は、長毛黒キジトラ猫の森景。
・猫森椛:六歳。猫森家の次女。梓乃の双子の妹。髪はおかっぱくらいの長さで、可愛い服装を好む。控えめだけど芯の強い慎重な性格。猫使いの修行を始めたばかり。
・猫森楓:六歳。猫森家の三女。梓乃の双子の妹。髪型はショートボブ。少しボーイッシュ。せっかちで少しおおざっぱな性格。猫使いの修行を始めたばかり。
・猫森樟也:猫森家当主。梓乃の父。学院では、弓術の上級クラスの指導を担当。
・吉兆瀬麻衣:霊泉学院の同級生。非戦闘系の呪術師の卵で、2組1班(2−1クラス)所属。占術と、神降ろしを得意とする。蒼雲たちとは弓術の授業を一緒に受けている。
・神楽坂祥子:霊泉学院の同級生。非戦闘系の呪術師の卵で、2−1クラス所属。神楽坂家は、代々、巫女舞を用いた鎮魂術を生業とする。蒼雲たちとは弓術の授業を一緒に受けている。神楽坂家の地下に封印されている呪物が狙われる事件があり、祥子の両親や使用人などが殺されている。
・田原つゆ子:秩父を拠点に活動していた七十代の呪術師。神降ろしや人霊の降霊を得意とし、信奉者も多かった。口寄せの巫女と呼ばれていた。除霊にかけて超一流ともいえる術者だったが、SICSから依頼されたある事件に失敗し行方不明になっている。
・橘:SICS所属の呪術師。聞き込み等を行う捜査班に所属しており、脇坂の先輩。蒼雲と雅哉を火災現場に案内するのに同行した。
・脇坂:橘とコンビを組むSICS所属の呪術師。橘の後輩。特に相手の潜在意識に働きかけ証言を引き出す特殊な能力を持つ。蒼雲と雅哉を火災現場に案内するのに同行した。
・森川:佐々木とは同級生コンビ。聞き込み等を行う捜査班に所属しており、相手の意識を阻害する呪法に優れ、記憶の一部を消すことができる。学院時代、俊樹に剣術を教わっていた。蒼雲たちを田原つゆ子の家がある秩父の現場に案内するのに同行した。
・佐々木:森川とは同級生コンビ。蒼雲たちを田原つゆ子の家がある秩父の現場に案内するのに同行した。佐々木と森川は、遠山雅哉の姉、賀茂光李の学院時代の同級生(佐々木はクラスも同じ)。
・土御門典膳:高天原の支配に反抗し国家転覆を企てている、土蜘蛛衆を束ねる術者であり、天赦鬼道宗の教祖。かつて一度調伏されたはずだが、再び暗躍し始めたようである。さまざまな悪鬼悪霊が関わった事件の黒幕であると目されている。わずか1歳で、鬼を操り、両親を呪詛したという噂があり、その呪術の才能をかわれ、土御門家の分家の一派に養子として迎えられた経緯がある。
・黄泉津醜女:黄泉の国の鬼を、土御門典膳が死者の肉体に憑依させて蘇らせて操っている傀儡。




