鬼姫物語
小さな、小さな村一つ
周りは化け物達の森
肩を寄せ合い、一つになって
いつも必死に暮らしてた
そこにポロリ
姫が生まれて
皆は大事に育んだ
姫が3つに育つ頃
5つの災い村に来て
村の命と村の民
残らず、全て連れてった
逃げおおせたのは姫と1つになる赤子
それを抱えて守る長
あとはみんな、無くなった
逃げて逃げて
2つ年が過ぎ
長は自分の命を知る
村を出ていた長の息子
頼って長は森をゆく
長が息子に、2人を託し
長い眠りに、
永久の眠りにつく
息子は怒り、嘆き、悲しみ
2人の子を掻き抱く
墓標に
『偉大なる我が父に誓う。我ハシュラの森の戦士也。2人の御子の安寧を。イスラの村の再興を。あなたの眠る、この地に、いつか戻って来ることを。』
と残し、無念と決意を秘めてゆく。
身一つの我が身でなにができるか
そう思った彼は古き友の元を頼る
友の出した条件は2つ
『赤子が15になった時、私の試練を受ける事』
『赤子が言葉を覚えるまで、貴男が世話をすること』
こうして2つの庇護者を得、御子はスクスク育ってゆく。
やがて15になった時。
世界は2つな御子をどう見るか。
世界を御子はどう見るか。
誰も知らない。
誰も、知らない。
~冒険者ティム・バートンより、詩人セラリス編、変戯曲『鬼姫』~