表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

それ以上言えません。

作者: りょ

乱暴に扱うと、セーブデータ消えます。

とあるRPGの中で、「お城に行ったら王様が行方不明なので探して下さい」と言う鉄板のシチュエーションが私の担当する持場である。


昨日も今日も明日も明後日も、私の元に訪れる勇者達にミッション発令の言葉を伝えなければならない。




王妃「あぁ、どうか勇者様……王様を探し出してください」




そしてこの言葉が、私の今この状況で言える唯一の台詞なのです。



さぁ行け行きやがれ地獄の森へ!城を出てすぐ隣の森なんやから場所言わなくても行くでしょ!ただの迷子狸ジジィが待ってるわよ!!





……ん?





王妃「あぁ、どうか勇者様……王様を探し出してください」




この勇者、また話しかけてきたな…チッ


うん、まぁ…2、3回くらいは会話が変わるのかな?って思って話しかけてみる勇者も今まで居たから良いけども





王妃「あぁ、どうか勇者様……王様を探し出してください」





変わんねぇから!!!早よ!王を探しに行かんかいボケェェ!!




と、言いたいけど私の台詞コレしかないんだよね……はぁ、疲れるわぁ、





ザッザッザッ






あ!やった!アイツやっと階段降りてったわー!




ドット絵の表情は表面上微々たる変化も無いけど、だからこそ心の中では喜怒哀楽が激しくなってしまうのは仕方ないですよね。全てが独り事ですしお寿司。




ザッザッザッ




か!またさっきの勇者戻ってきた!アイツなんなん!?

って、なになにベットとか調べてんじゃねーよ!さすがにそこで王様見つけちゃうRPGないから!クソゲーでもさすがに無いから!!




一応悲しみに打ちひしがれて自室に篭っている設定なんで、タンスの中の薬草見つけて良いから早く出てってくれないかな。



……ちょ!ちょ!!なんか押してくる!?体当たりで一直線に壁ドン、角度を変えて今度は下から上のキーで一直線に……ベット前ってオイ。



ははぁーん。なるほど変態だなコイツ


でも残念でした!ドットの三頭身は押せば動くけどそれ以上は何も動きはござぁーませんのよ!!はい残念でした!消えろ変態!!




ベットと壁の角に移動させられた私をどうにか動かそうとウロウロした後、それ以上動かなくなった事で興味が無くなった様で、変態は階段を降りて行った




ザッザッザッ




はぁー今世紀最大に面倒くさい勇者だったな、



次の勇者が来る前に、立ち位置に戻ります





ザッザッザッ




くぁ!!また……また変態来やがったぁぁぁ!!




王妃「あぁ、どうか勇者様……王様を探し出してください」




もはや白目になりながら、いや、実際はドットなので黒目だけども


同んなじ相手に同んなじ台詞を言う。なんて辛い持場なんだろ




勇者「もう、君は自由なんだよ」




王妃「あぁ、どうか勇者様……王様を探し出してください」



今なんか聞こえたような気がする。そんなハズないのになぁ

独り事が多すぎて空耳まで聞こえてきちゃったハイスペック生まれちゃった




勇者「うん、だから王様とかもう居ないから探しに行かないで良いよね?廃盤になったからこのゲーム」




王妃「あぁ、どうか勇者様……王様ぅおッ!


勇者「しっ」



なんでなんでなんでなんで?



私の台詞が最後まで言えなかったなんて、そしてなぜ、私は背中からベットにダイブしたの?



ドットの私が?曲がるはずの無い三頭身が?



そんな、ば、ばかな




勇者「やっと捕まえた。俺だけのお姫様」




ぎゃぁぁぁぁぁあらあああなあはまたあか!



叫びたいけど叫べない



今まで何回も目にされたでしょ?あの台詞しか私は言葉を発せないの!!だってこれクソゲーのRPGだもーん!



勇者「俺が廃盤にしたから、もう大丈夫。これからはずっと一緒だよ?もうこの部屋には誰一人も訪れはしないんだ。嬉しい? 」




嬉しいって言ってよ、と耳元で暖かいなにかが触れた


え?暖かい?これはいわゆる吐息ってやつか?うぃきぺであで調べて良い?



頭の中がぐちゃぐちゃになってるのに、目の前の勇者は幸せそうにうっとりと笑っている。



違う。これは、何かの間違いです。


だって私の台詞はただひとつ



勇者「う、れ、し、い、は?」







王妃「あぁ、どうか勇者様……王様を探し出してください。……それ以上言えません!」




あ、




言ってもーた…
















初作品です!お目汚し失礼致しました!閲覧ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 予想外のキャラ設定にわらってしまいました。 まさかのドット絵キャラ! そして押しの強い(物理)勇者! 王妃様、これは逃げらんないんじゃ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ