第一話 鍛冶屋のお仕事
※12/3 訂正 鍛冶師ドワーフの名前を間違えていました。
正しくは
ゴボルド ⇒ ゴドルボ です
大変申し訳ありませんでした。
――レイバーク大陸 辺境の村ベルン――
此処はレイバーク大陸。
レイバーク大陸は人賊、妖精族、獣人族、巨人族が共存して暮らす大陸。
その辺境に位置する村ベルン。
鍛冶屋の納屋で少年が粗末な藁の寝床で寝ている。
木板の壁の隙間から漏れる朝陽の光が少年、イオリの瞼に当たり目を覚ます。
「ふわあ……もう朝かあ……」
イオリは今年で八歳。
捨て子だったイオリは太陽と光の神『ペルセオン』を信仰する教会前に捨てれ、孤児として育った。
イオリというこの地域では珍しい名前は一緒に捨てられていたペンダントに何かの紋章とイオリの名前が彫られていた。
そして、イオリが五歳の時、鍛冶師のドワーフであるゴドルボにある秘密の能力を見られてしまい、ゴドルボは教会の人間に金を握らせ無理矢理に鍛冶師の弟子としてイオリは契約させられてしまった。
以来、鍛冶師ゴドルボの弟子として虐待されながらも鍛冶師としての修行に励む。
「何時まで寝てやがる! さっさっと起きて飯の支度しろ!!」
ゴドルボがイオリを叱りつける。
「わっかりました。 師匠~」
イオリは寝ぼけ眼で服を着替えて師匠のゴボルドに言われた通り朝食を作る。
朝食を作り終え、食事の前に偉大なる創造神にして命の神『ローエルン』に祈りを捧げて食事を摂る。
食事が終わり食器を片付けている最中、唐突にゴボルドが。
「今日はジャイアント・ビーを十匹狩ってこい!」
と、イオリに言い放った。
ジャアイアント・ビーとは体長二十から三十cmの巨大な蜂で尻に毒針がある。
その毒針を利用して武具を作るのだ。
「ジャアイアント・ビーを狩る道具は……」
「何時もの様に其処らに彷徨いてる邪小人から奪えばいいだろが!」
邪小人は草原や森林に生息する最底辺の魔物で五歳児でも退治できる体長三十cm未満の小さい人型の魔物である。
「はあ……、またか……。 いい加減まともな武器をおいらにもおくれよ……」
「欲しけりゃ、自分で作りな! ただし、俺の工房は一切使わせないがな!!」
(仕方がない。 何時もの様に隠してある武具を使うか……)
使うのはボロボロのナイフ、ボロボロの木の盾、出来の悪いショートボウをゴドルボの作業を見よう見真似で覚えて修復、補修した武具と防具で狩る。
「ちゃあんと狩ってこないと晩飯抜きだからな!」
「へーい」
気のない返事を返し、食器を片付けたイオリは工房からジャイアント・ビーを入れる袋を持ちだして狩りの道具を取りに行く。
「まあ、ジャアイアント・ビーなら午前中で狩れるだろう」
ジャイアント・ビーの生息域である森に向かう。
本来、イオリのような十歳未満の子供を森になど遣る親は滅多に居ない。
何故なら、森林地帯には危険な獣や魔物が彷徨いているからだ。
「あの野郎、死んだら絶対化けて出てやる!」
イオリはいつも狩りの時に気合を入れる言葉を言って森に分け入る。
数分も立たない内にジャイアント・ビーを見つける。
ジャイアント・ビーは一匹の邪小人を三匹で襲っていた。
「ギ、ギイ! ギイー!!」
邪小人は懸命に応戦しているが多勢に無勢。
殺されるのも時間の問題だ。
イオリはジャイアント・ビーが獲物である邪小人に気を取られている内に出来の悪い弓を構える。
そして珠紋術、闇属性の武器を強化、命中補正を掛ける術、ダークウェポンを使う。
こうでもしないとこの弓ではジャイアント・ビーの硬い甲殻を貫けないのだ。
「先ずは一匹!」
イオリは見事ジャイアント・ビーの胴体に矢を打ち込み一匹仕留めた。
仲間が倒されたことに気づいたジャイアント・ビーは邪小人を襲うのを辞めて辺りを警戒する。
その間にもう一匹仕留めるイオリ。
最後の一匹がイオリに気づきイオリに向かって飛んで行く。
イオリは弓からボロボロの木の盾とボロボロのナイフに持ち替えナイフにダークウェポンの力を込める。
「これでラスト!」
イオリは襲い来るジャイアント・ビーを木の盾で避け、頭部と胴体にナイフを叩き込む。
切断こそ出来無かったが、ジャイアント・ビーの息の根を止めるには十分であった。
イオリはジャイアント・ビーの尻尾を胴体からボロボロのナイフで切断してズタ袋に入れる。
「後、七匹かあ……ん? アレは……」
邪小人が落としたボロボロのナイフを拾う。
「んー。 これで鉄の短剣くらい作れる量になったな。 後で秘密工房で作ってみようっと!」
などと独り言を喋りつつ、再びジャイアント・ビーの狩りを再会すのであった。