第七話
今日、本当に人が死んだのだろうか。
地元の事件のニュースを調べる。が、何もなかった。
寮に戻った後、警察に通報するか迷っていた。
彼女が使用していた銃も何故だか僕以外の人間には見えてないようだったし、僕も男がどうなったかの決定的な場面を見ていない。
通橋の下の川を捜索しても男は見つからない気がしてならない。
通報しても僕が嘘をついていると思われるだけなんじゃないのか。
悶々と一人で考え込んでいるのとは対照的に耕助はテレビを見て爆笑していた。
呑気なものだ。彼の耳につく笑い声を聴いていると、白昼夢の気がしてくる。
どっちみちあの男が死んでたらすぐニュースになるさ。
あの時浮かんでこなかったし、どちらにせよ救えなかっただろう。
薄情な自分の思考に嫌悪する。
あの女子生徒はと言えば、学年も名前もわからない。後輩なのねというあのセリフ。
先輩…らしいとしか。
「なあ耕助、あのさ」
「くっくっくく……はあ、おかし。ん?何?ひーちゃん?」
耕助に彼女を知っているか聞こうとしたが、こちらが名乗らされただけで向こうから何も教えられてないのを思い出す。
ちっちゃい美人の先輩を知ってるかなんてアバウトな問を投げても意味はないだろう。
「ごめん、やっぱり何でもない。」
「んー?そっか」
その日は考えるのを終わりにして、耕助と一緒にテレビを見た後眠りについた。