第四話
日曜日というものの、今日はそれほど客入りが多くなかった。
一番忙しいお昼時を過ぎてみれば客足も徐々に減って、忙しさは無かった。
お客さんもいないので大将と夏にどう過ごすかとか、シフト調整の話をしていた。
大将がウチの娘に勉強教えてくれと頼んできたのを笑いながら聞いていたところ、その当人がガラガラと引き戸を開け帰ってきた。
「もう、お父さん!沢田さんは天陽の特Aクラスの勉強で忙しいの!私ぐらい自分で勉強できるわ」
ポニーテールを揺らしながらプリプリと憤慨する。どうやら表に話し声が聞こえてたらしい。
「全く勉強してないくせよく言うよ」
大将は小馬鹿にしながら腕を組んで笑う。
「七海ちゃん。僕ら夏は暇だから大丈夫だよ」
僕はといえば、大将の肩を持つことにした。
「えっ、いやでも・・・」
恥ずかしそうに七海ちゃんは汗を頬に伝わせながらパタパタと手を振る。
「それに教えるのも勉強になるしね。今度宿題見せてよ」
七海ちゃんの学力に興味があるのは内緒だ。
「ほら七海、教えてもらえ。大先生がいるんだから手伝ってもらう他ねえだろ」
「・・・はい」
七海ちゃんは俯いているが普段はもっと大将に逆らう。
本当に勉強が全く手付かずなのを無理して断ってたのをなんとなく察した。
逃げるように店奥の階段から上がって引っ込んでしまった。
なんだか悪い子としちゃった気分になる。
そんな約束をしたりして仕事を終え、仕事を終えた。
飲み物でも買って帰ろうかなあ。寮の自販機だと高くつくし。
寮に帰る道のりから少しだけ外れる。
一本ずれた少し幅の広い橋の先に大型スーパーがあるし、そこで買って帰ろう。
橋にさしかかると、向かいから歩いてくる女子高生と、橋の歩道の真ん中で川を眺めたばこを咥えている男が見えた。