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罪調べ  作者: 真小井宏
第1章 出会いは銃声から
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第二話

特待生は寮室もファーストクラス仕様なものが用意されているが、僕は個人的に希望で一般生と同じ相部屋にしてもらっていた。


特待生扱いの部屋は大仰な絵が飾ってあったり、椅子、机、窓等の全てが格調高く落ち着かないので勉強しにくい、と申し出て変更してもらった。

ただ、使用できる高給パソコンだけは貸してもらって今の部屋に移してもらった。


特待生部屋に入るのを拒否した本当の理由は一人部屋が嫌なことだった。

県外から越してきて、ごく普通に友達が欲しかったのだ。



だが、同居人はとんだ変態野郎だった。


「ひーらぎちゃーん」


机に着いてパソコンで、昨日のニュース一覧を眺めている僕の背中の後ろから暑苦しい声が聞こえてくる。

寝言。せっかくの日曜の朝を同居人、鶴見耕助は寝倒していた。

タンクトップから除く筋肉質な肉体を見るだけで暑苦しい。

ささやかな嫌がらせとして、エアコンの温度を一度下げておいてやった。


この男と生活して早三ヶ月。


最初はただ運動神経良さそうで活発そうなイメージだなと思った。

短髪で太い眉に濃い顔、男らしい男。薄顔の僕と違って。

しかし、斜め上の方向にそんな彼の印象はすっ飛んでいった。


その原因は、初対面で会ったその日に好きだと告白されたからだ。


何故、高校生活初日に男に愛を告白されなければならないのか。

本気で一人部屋を手放したことを後悔した。

あの時を思い出すとまだ鳥肌が立つ。


入学式後に寮生は生活の説明を受けたわけなのだが、その時の説明会で右斜め前のに僕を見て一目惚れし、しかも同部屋だったことに運命を感じたらしい。


部屋の鍵を渡され、同時入室した後の開口一言目が告白なんだからたまったもんじゃない。

抑えろよ理性。


その時は冗談がキツイ男なんだろうと頭で処理した。

こちらもあくまで冗談で友達から始めようねと精一杯の返答をした。

が、後悔している。彼のナンパは今もなお止まらない。ずっと拒んでいるし、慣れてからは改めてキツくフってやりまくったのに、だ。


同性愛者なのか?と聞けば違う、と答える。

たまたま好きになった人間が僕で、男だったらしい。

いや、そりゃまあ女顔だけども。男に惚れられたことはない。


隙あらば手を握るという蛮行を試みてくるので、殴リ蹴りで対応していたらもうそんな生活に慣れてしまった。


ドタバタしてて疲れるが、暗い生活にならなかったことには感謝はしている。

ほんとに、うるさいけど。


背を伸ばし、息をつきパソコンの電源を落とす。

椅子にかかった外出用のショルダーバッグを腕に通し上げ、エアコンの寒さに震えながらなお、寝る同居人を残し静かに部屋を出た。

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