第一話
天陽学園高校。
西日本の某県にある男女共学の私立高校。
生徒の総数は2000を越えるマンモス校である。
街から少し離れた山腹にその白い校舎が立っており、そしてそこからは海、街を一望出来る。。
設備として学生寮が有るのが特徴で、生徒の殆どがここに住んでいる。
莫大な数の生徒なので寮は男女に分けられた上にさらに二分される。
四つもの寮が学園のある山の下に建ち並んでいる。
何故ここまで寮が充実しているかというのも、ここに通う生徒の殆どが県外から入学した生徒ばかりだからだ。
これだけの生徒が居るのだから本校のあるT町は潤い、天陽様々なのだ。
ちょっと通うには経済的に苦しくもあるが、評判がよいこの学校を信じて親は子を送り出す。
しかし、中にはタダ同然で暮らし、通学する生徒もいる。
設立者の理念が、能力のある人間は然るべき待遇を受けるべきというもので、優秀者は入学費、学費、寮費、が全て免除な上に生活費さえ支給される。
余裕のない者にとって、これほどありがたい待遇はないだろう。最も頭に余裕がなければいけないが。
この超特待生の三分の一程はいわゆる富裕でない家庭の人間だ。
特待生は他の生徒から憧れの存在であると共に、立場の維持をするための英才教育を施される。
一般生とは違う授業、そして受講科目数が多いのは勿論、土曜も休みではないし、その他にも教養という名目の科目でエリートになるための授業も受ける。
三年に及ぶこの特別教育には‘脱落者’も当然いるため、三年目になると半数ほどしか残らない。
僕、沢田柊はこの超特待生として三ヶ月前に入学したのだった。