七話~
俺はお前からのメールを受けて早退させてもらったんだ。
赤ちゃんが生まれたら一番に駆けつけるつもりだった。
ただ、あんなことになるなら焦らないでもっと地に足つけて歩けばよかった。
気づいたら視界は真っ暗。
俺は病院に辿り着いた、でもそれはお前がいる病院じゃなかった。
手術されてる自分を見ていた。
自分の身体が弄られてるのを見るのは不思議だった。魂が抜けてるからもう無理かな、なんて思ったりもしてた。
自分の手術を見ながらこんな姿じゃ赤ちゃん抱けないなぁなんて考えてた。
でも、やっぱり一番乗りで赤ちゃん達に会いたかったからお前達のいる病院にふわふわ浮きながら向かった。
幸い今度は何にもぶつかる事はないし空を飛ぶ事もできたからすぐに着く事ができた。
せっかく魂だけになってでも愛する夫が会いに来たってのにお前は幸せそうな寝顔で寝てやがった。
赤ちゃんは違う部屋で寝かされているらしかったから寝てるお前をおいて早速、見に行った。
赤ちゃんの寝顔は眺めてるとなんだかほっこりした。
俺たちの子供なんだよなぁ、なんてしみじみした。
赤ちゃんを撫でてみようと触ろうとしたけどやっぱりダメだった。
試した後は小さい子には幽霊が見える事があるらしいからトラウマにならないように見つからないうちにそそくさとお前の病室に帰ったよ。
「ただいまー」って入ってもお前は「おかえり」なんて言ってはくれなかった。
寝てるお前を起こさないように「頑張ったな」って頭を撫でてやった。
普段は撫でろって言われても照れてやらないけど特別にこの日はたくさん撫でてやった。
お前は気づいてくれなかったけどな。