六話~
メールをしたらあなたはすぐメールを返してくれた。早速新たな鎖は効果を表してくれた。
この日、あなたはいつもならあり得ない時間に帰宅してくれた。上司に行ったら早く帰れと言われたそうね、いい上司で良かったわ。
子供が出来た事も嬉しかったけどあなたが早く帰って来てくれた事の方が嬉しかったかもしれないわ。
それからの日、あなたは毎日とても幸せそうだった。
いつも以上に私の事を常に気遣ってくれた。
段々と予定日が近づいてくると私は近くの病院に入院する事になった。
あなたは毎日会いに来てくれた。でも、どちらかというと赤ちゃんに会いに来ていたので若干嫉妬してしまったわ。
これが赤の他人に対してだったら嫉妬どころか相手を刺してあなたを監禁してるとこだったわ。
私はすぐあなたを監禁したくなっちゃうんだから気をつけてよね。
そしてついに出産の日がきた。
それは予定日の前日の朝だった。
「うっ……これが陣痛か、でもここ病院だし安心だな」なんて呑気に思ってたら段々痛くなる。
とりあえずナース呼んだら本当にキツいのはこれからなんでまた呼んで下さいなんて言われて放置プレイされた……
一旦、楽になったころあなたに陣痛が始まった事をメールして次の波に備えた。
備えても痛いものは痛かった。
今までで一番長く感じた一日だった。
夕方になりナースさんが次の陣痛で分娩室行きますよーって言いに来てやっと終わるのかって思った。
それからはなんだか緊張しちゃってむしろ陣痛を待っていた。
陣痛がくるギリギリになってあなたにメールしとこうと思って分娩室に入るよーってメールしたのよね。
分娩室に入ってからのほうが地獄だった。
あまりの痛みに貴方を愛してから初めて私の頭の中からあなたがいなくなったわ。
ひたすらラマーズ法をしろという助産師を睨みつけてやった。
それからどれぐらい経ったか……無事、赤ちゃんは生まれた。
私は赤ちゃんが生まれてすぐ安心と疲労で意識を睡魔の手に任せた。
私は夢を見た。
あなたがすぐに私の病室に入って来て私と赤ちゃんを涙を浮かべながら祝福してくれる夢
でも、その日あなたは私たちに会いに来る事は無かった。