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三題噺 お題「エジソン・海・本」

作者: 鳴森 舞

 ただエジソンが好きというだけで彼女に振られた僕は、海へ来ていた。

「バカヤロー!」

 海といったらこれだろう。一度やってみたかったんだ。

 目的の一つを果たし、少しだけスッキリした僕は砂浜を歩き始めた。

 波打ち際に残した足跡は時折来る強い波でだんだん薄れていくのかな。僕と彼女の関係のように。



 別れは唐突だった。

 休日、もう何回目か分からないデートをした。デートの行き先は毎回交互に決めていた。僕の番だったことを考えると、奇数回だったようだ。

 僕が選んだ先はエジソンの展覧会。

 小さい頃から親の影響で機会いじりや発明が好きだった僕が、エジソンを好きになるのは運命と言っていいだろう。

 僕は彼女を連れてエジソン展へ行った。

 彼女の前で格好良いところを見せたいと思うのは悪いことなのか?僕は彼女にも興味持って欲しくて、ない頭をフル稼働させて説明をした。

 展示をすべて見終わり、お土産コーナーに立ち寄った僕らはお互いにプレゼントを買った。これは僕らのデートでの恒例のことだった。

 僕の失敗はここだったのだと思う。僕が買ったのはエジソンの伝記。

 夕食を終え、駅で別れる直前。

 伝記をバッグから取り出し渡そうとする僕を遮り、彼女はビニール袋を僕に差し出した。

「今まではあなたのこと本当に好きだった。でも、今日のあなたはおかしかった。世に言うキモオタとは、こういう人のことを言うのだと学んだ。人にはそれぞれ夢中になるものがあって良いと思うけれど、ごめんなさい、正直、気持ち悪かったの。これは最後のプレゼント。私の代わりに可愛がってあげてね」

 そう言って、袋を僕に渡すと駅の階段を駆け上がっていった。



 あまりのショックに彼女とは反対のホームに着いた電車に飛び乗り、そして今に至る。

 結局渡すことができなかった伝記は電車のネットの上に置いてきてしまった。もういいや、という気持ちがあったのだろう。伝記は電車が彼女の記憶と一緒に、どこまでも運んでいってくれる。

 いや、おそらく車庫に着いて見つかり、数週間で処分されるだろうけれど。

 フラフラとこんなところまで来てしまったが、もう終電が行ってしまったあとだ。明日の朝まで時間を潰さなくてはならない。

 一人でいると、危ない人たちに声をかけられかねない。駅の前で待つよりは、24時間営業のファストフード店にでもいたほうがいいだろう。道沿いを駅に向かっていけば、某Mマークのバーガー店があったはずだ。

 海辺を歩いたおかげで、気が紛れてきた。

 来た方向へ引き返し、道へ上がった。



 Mのお店に入りコーヒーとパイを注文して、席に着いた。既に時計の短針は2を越えている。あと3時間ほどすれば、始発で帰ることができる。

 そういえば、と思いだし、元カノから貰ったビニール袋をカバンから取り出した。

 袋を開くとそこには、エジソンのマスコットが入っていた。



主人公が女の子だって気づきましたか?

女の子カップルの男役ちゃんです。

流石に分かりづらいですよね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 三題が違和感なく入って、きれいにまとまっていると思います。 [一言] 主人公が実は女、というのはそれを示す描写が一切ないのでわからない気が……それと、もう少し続きが読みたかったです。
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