02 商店街にて
俺はサッカー部に入部した。
新入部員は13人二年生は3人三年生は12人でサッカー部の活動が始まった。
今週末に春季大会があるので三年生は気合いが入っている。
春季大会は県大会予選のシードに関わるので落とせないのだ。
それにしても女子達がサッカー部をガン見しているのが気になる…
まぁ、どうせ見られてるのは、幸平、堂馬、矢沢さんのイケメントリオだろう…
「そろそろ時間だし、ランニングするぞぉ」
キャプテンの平田さんが声をかける
「えー、走るのめんどくせー」
「なんか言ったか?坂道ぃ?」
笑顔で平田さんが聞いてくる。なんか怖い、怖いです。
「いいえ…」
「遅かった10人でとんぼ(グラウンドの整備)だぞ」
「よーい!スタート!」
黙って見ていた道上コーチがいきなりスタートの合図をする
「え!ちょっとまって!」
俺は靴を履いていなかった…急いで履いて走る…とんぼかけるのははめんどくさい!
「坂道君がんばって!」
星野が応援してくれた。
やる気がでる、どうやらテニス部に入ったようだ…
「うおおおおおおおお‼」
俺はやっと追いついて三年生についていく。
ついていけてるのは、篤人と俺だけだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ふぅ、やっと終わったー10周ってきついわー」
と平気な顔で篤人が言っている。
俺はヘロヘロで声も出ない…この…くそ…やろう…
「気をつけ!礼!」
「「「ありがとうございました!」」」
コーチにお礼を言ってとんぼをかける人以外は帰っていく
「さて、帰るか」
篤人に今日は商店街に寄ると言ってバイバイと言う
お母さんに商店街でひき肉を買ってきてと頼まれているので商店街の方に歩く。
途中、不良のたまり場のような嫌な雰囲気が漂ったところがある
そこに龍太の姿が見えた…あいつこんなとこで何やってんだ…
「おーい!龍太ー!」
……聞こえてる?よな…
何も言わず龍太はどこかに行ってしまった…
なんだよ!あいつ!…とか思っていると後ろから声をかけられた。
「あ!坂道君だ!」
あ、星野だ。
「星野?なんでこんなところに?」
「おつかい頼まれちゃって」
「俺も〜俺のお母さん人使い荒いんだよなぁ」
「ねーねー星野じゃなくて明里って呼んでよ」
「え?いいけどなんで?」
「ナイショ☆」
「そ、そうか…そんで何買うの?」
なんかムッとしている…なんで…?
「私あっちの物買うもん!」
そう言って振り向いた瞬間
「痛っ、あ、ごめんなさい」
明里が高校生くらいの人にぶつかった
「痛ってなー……って結構可愛いじゃん、おい女、ぶつかったんだから責任とってもらうぜぇ、ちょっと来な!」
連れらしき二人もニヤついている
明里がこちらを見ている、助けてと言っているようだ…
「おい、おまえら明里をはなせ!」
「なんだこいつ…調子こいてんじゃねえぞ!」
高校生らしきひとが明里をはなした、そのすきに明里の手をつかむ
「明里!逃げよう!」
俺たちは逃げた。
「待てこらぁ!」
追いかけてくる、こっわー、捕まったら殺される
裏路地に入る、ここでよく遊んだからここは俺の庭みたいなものだ。
河川敷まできた、後ろを見る…ついて来ていない。
「ふぅ…危なかった〜」
「あはは、怖かった〜、助けてくれてありがとう一斗君。」
笑っているけど目には涙が浮かんでいる、相当怖かったんだろう…俺も怖かった…
って…一斗君…?まぁいっか
「あ、買い物どうしよ」
「ほんとだ…」
「あ!手!ごめん!勝手に掴んじゃって!」
急いで手をはなす
「いいよ、全然いいよ。一斗君なら…」
「え…?」
「ねぇ私、一斗君の事…」
「あー!買い物どうしよっかなー!このままじゃ怒られちまうよ!」
「え⁉ ばかぁ…」