希望高校学校祭③…爆弾、投下された様ですね
「うはーっ♪皆お疲れ~♪」
「…まだ胃もたれする…」
「大丈夫?あっつん…?」
学校祭1日目が終了し、テントの中の荷物を部室に運び出していた。希望高校は明日、後夜祭を控えているのだが、その日はPTAのバザーが夕食等を用意してあるので縁日をやる必要はないらしい
「…いやぁ、今日の戦いは実におもしろかったぜ、河内♪」
時雨先輩がたこ焼き機の掃除をしながら笑いかけてくる。…俺はあまりおもしろくないわ…
「…お腹にもたれてる…うぷ…」
「いやぁ~、あっちゅんの食べっぷりは格好よかったよぅ♪」
…桜先輩が誉めてくる。…さっきの桜先輩の一言が頭から離れなくて、顔があつくなる
「‐あっちゅんなら、付き合ってもいいかなぁ♪‐」
…忘れろ、俺!!こんな美人が俺を好きになんかならない!先輩後輩の関係なんだ…!
「…あっちゅん?」
「は!?はい!!」
「…んぅ??」
…煩悩が取れないっ…
「…むぅ…」
そこに風の冷たい視線が注がれてるのは、今の俺には気付くよしもなかった…
「…皆ぁ、大体片付けはいい感じかなぁ?」
「「お~」」
大体片付けが終わり、桜先輩に全員が呼び集められた。…なんだ…?
「明日は後夜祭だけどぉ…やることを発表するよぉ♪」
「…全員を呼び集めるってことは、アタシ達にも関係があるのか?」
「そうだねぇ♪…明日はぁ…ミスコンだよぉ♪」
…
「「はい!?」」
ミスコンだと!?…聞いてないぞ!
「部の代表二名を出してぇ…部対抗でコンテストだってぇ♪で、うちも出るから二名代表を決めるんだけどぉ…絶対男女ペアじゃないとダメらしいのぉ♪」
「…じゃ、俺は確定っすか!?」
さすがにビックリしてしまった。…俺、確定かよっ!?
「淳は確定として…もう一人はどうするんですの?」
憐香はその問題を口にする。確かに…どうするんだ?
「それはねぇ…これ~♪」
そこで桜先輩は部室のロッカーを片っ端から開ける。すると中には沢山の衣装が入っていた。…?
「これから私たちは着替えるねぇ?♪そしてぇ…着替えたあとの姿が一番可愛いと思った人をあっちゅんが選ぶのぉ♪」
「…俺、めちゃくちゃ責任重大じゃないっすか…」
顔から血の気が引く。…なんでこんなに責任背負わされるの!?やっぱりあの言葉は…!?
俺がこんな事を考えてる傍ら、他のメンバーは…
「んふふ~♪あっちゅんを悩殺してやるぅ~♪」
「…アタシはあまりこういうのは好かんが…部活だから仕方ないか…」
『私も…あまり人前に出るのは得意じゃないけど…頑張る!』
「あっつんにしばらく振りに私の可愛さを見せてあげなきゃ!!」
「…普段は草影に支度を任せてたから、何が似合うか分かりませんわ…」
何故か皆乗り気だ…
「じゃ~…」
「「着替えるから出てけっ!」」
そして部屋を追い出され、着替えが終わるまでまたされることになった。…なんでミスコン…実行委員め…!
「…ふう…」
部室を追い出されてからかれこれ30分…未だに部室から声がかからない。…着替えの時間にそんなにかかる服あったかぁ…?
「…あら、貴方は河内淳?」
そこに、学校祭の生徒会の仕事で残っていた三笠さんがやって来た
「貴方は何故部室の前に?」
「…明日ある後夜祭のミスコンの代表選びっすよ。それで女性陣は今部室で着替えっす」
「…随分な気合いの入りようだな…?」
「本当っすよ。…あ、そういえばこのミスコンに賞品あるんすか?」
「ある。…その団体に団体旅行チケットをプレゼントさ」
…は?
「み、三笠先輩?それ…ガチっすか?」
「生徒会長の私が、最終決定権を持つのだぞ?…ガチだ」
どうやら本当に団体旅行らしい。…ま、まて、前には合宿をやったんだ。…じょ、女性と泊まる事は大丈夫…なはず
「ふふ…君も男の子。狼にならないか心配かな?」
「な…んな訳ないじゃないすか!?皆は部の仲間っすよ!?」
思わず慌てる俺。…なんで慌ててるんだ、俺
「…部の仲間、か。じゃあ…あくまで仮定の話だけれど、もし部の皆さんに好きだと言われたらどうするのだ?」
「…!?」
三笠先輩がとんでもない事を言い出した。…そんなことを考えたこともなかったな…
「…まぁ、あくまで仮定の話だから、気にしないでくれ。…では、私はここで失礼する」
そして三笠会長は手を振りながら去っていった。…好きって言われたら、か…そんなことは無いよな…
「あっちゅん!いーよー!」
「あ、うっす。…入りますよー」
そして部室のドアを開けると…
「ふっふふ~♪どうだい~?可愛いかい~?♪」
桜先輩はピンク色のチャイナ服。スリットから覗く足が妖艶だ。それにボディラインがやっぱりやばい
「…やっぱり、こういう服は落ち着かないな…」
時雨先輩は制服…なんだけど、希望高校のブレザーでは無くセーラー服だ。…めちゃくちゃ短いスカートから引き締まった足が覗く。それに胸元に結ばれた大きいリボンがギャップ萌えを産み出してる
『…これ…暑い』
阿見津先輩はシスターだ。…なんかのライトノベルで見たことがある気がするな、このコスプレ
「…なんで私はこれなのかな…?」
風はメイド服。…少し童顔の顔立ちのせいで、とっても幼いメイドだ。でもこれはこれで…アリだな
「ちょ…これ、普段草影が来てる様な…?」
そして憐香は執事。憐香にお付きの草影さんが来てるスーツだ。…憐香は胸が小さいから、スーツがまた様になってるなぁ…
「…」
「じゃあ…あっちゅん♪選んでぇ?♪」
そこで桜先輩がいきなり聞いてくる
「当然私だよねぇ~?♪」
「…アタシを選ぶなよ?」
『…これで選ばれるのも…』
「…ご、ご主人様…風を…選ぶの?」
「ふん、好きにしたらいいですわ!」
それぞれが好きな事を言ってるが…期待の眼差しで見つめられる。…えー…
「い、いや~…、皆可愛いっすから、皆で話し合って…」
「「決めて!!」」
「…」
冷や汗が身体をつたう。…やばい…まじで決めなきゃダメなのか…?
「…えと…」
…どうしよう…
‐もし、好きって言われたらどうする?‐
…!?…なんでまたこのセリフが…
「…」
…なんかのギャルゲかよ!?こんな展開ありえるか!?くそ…やけくそだ!!
「風!!」
「ふぇっ!?…あたし…?」
風は顔を赤くしながら俺を見つめる。…他の人の視線が痛い…
「むぅ~…まぁ、あっちゅんが決めたから仕方ないねぇ♪…あっちゅん、ふーちゃん、当日は頑張ってねぇ♪」
「了解っす」
「わ、分かりましたぁ!!」
そして、明日のミスコンには俺と風が出ることになった…
「…皆さん、待たせたな。これより希望高校後夜祭メインイベント、部活対抗ミスコンテストを開催するぞ」
今日は学校祭二日目、後夜祭。三笠会長の落ち着いた声が響き、ミスコンの火蓋がきって落とされた。俺は今、ミスコンに出場する選手たちの控えテントに居る
「…あっつん?あっつ~ん?」
「…なんだよ風」
「むー、まだ怒ってるの?」
「…別に」
そう、実は俺は今、機嫌が悪い。…なんでかって?それはほんの少し前なんだが、俺と風がミスコンの手続きのため、本部テントに向かったんだが…
「あら、貴方が出るのか?…ショー部も人手不足なんだな」
と、三笠会長に真顔で言われたのだ。…確かにつりあわねぇけどさぁ…
「大丈夫だよ、あっつんは格好いいよ?」
「…いや、別にそこはどうでもいい」
「え?なら三笠さんに嫌われたのが嫌なの?」
「…そういう訳でもない」
周りを見渡すと、俺以外にはまともに男子の姿を見ないのだ。…どうやら俺はあの会長にはめられたらしい
「…でも桜先輩がこの情報を知らないわけがないんだよなぁ…」
「あっつん??」
「…気にすんな、一人言だ」
…はぁ…本当に見せしめじゃねぇかよ…
「え~、選手の皆さん。それでは…」
とうとう係員の生徒が俺たちを呼び集める。…切り替えるしかないか…
「…あっつん」
「ん?」
ミスコンは進行している。半分くらいの人はもう出たかなってくらいか。ちなみに俺らは一番最後だ。とりあえず椅子に腰掛け自分達の順番を待っていると、隣から風がやって来た。…白いドレス!?
「…!?」
「え、えへへ…可愛い、かな…?」
風は顔を赤らめながら俺に聞いてくる…答えにくい…!!
「…う、ぁ…」
俺は答えることが出来ず、うつむいてしまう。それが気に障ったのだろうか、風は頬を膨らましてしまった
「む~…やっぱり桜先輩の私物だから合わなかったのかなぁ…」
「…さ、桜先輩の私物!?」
「うん、そだよ?私がこんな高そうなドレス持ってるわけないじゃないか♪」
「…ま、まぁ確かにそうだが…」
だが、仮衣装にしてはサイズがぴったりな気がする。桜先輩の方が風より2センチは大きい筈だし、胸囲とかも…
「あっつん?また失礼なこと考えてない?」
「んあ!?ま、まさかぁ、ハハハ…」
とりあえず笑ってごまかそう
「…でさ、まぁ…可愛いんじゃ無いか?普段とギャップも出来て、良いと思うぞ?」
俺は取り合えず話を終わらせるため、一応本音を並べてみる。すると風は驚いた顔をして固まった。…なんで?
「ど、どした風?嘘はついてないんだが…」
「…ちょっと意外だった…かな?私てっきり…」
風はそれだけ言うと口をつぐみ、また笑顔に戻る
「さ、あっつん♪そうこうしてるうちに出番だよ♪」
「あ、あぁ…」
俺と風は取り合えずステージ袖に移動し、出番に備えることにした…
「…てっきり…あっつんはもう桜先輩が好きなんだと思ってた…」
風の呟きは、淳の耳には届いてなかった…
「え~、では、ミスコン最後の組になります。ショー部の河内淳君、それに朝野風さんです」
「「…」」
俺と風の名前が上がり、緊張しながら壇上に昇る。ステージはスポットで照らされ、沢山の生徒達の視線を感じる。…あ、そういや俺の格好、読者には分からないな、俺は普通に黒のスーツだ。なんだかんだこれが一番じゃないかと思って…え?おもしろくない?
「黒のスーツに白のドレスですか…中々いい感じですね♪まるで結婚式みたいです♪」
「…!?」
「ええええ!?」
俺と風が驚きを隠せないが、客席の反応は思ったより良かった。…風がいいのは理解できるわな
「では、以上です♪集計結果は閉会式に発表しますので、皆様お待ちくださいませ!」
そして学校祭の全イベントが終了し…
「…ふぅ…」
「お疲れですわね、淳、風?」
「…あれ?憐香ちゃんと弓佳さんだけ?」
『カオル先輩と瞳先輩は今クラスに戻ってるよ?』
ショー部のテントに戻って見ると、そこには憐香と阿見津先輩…
「私も居ますが」
「っ!?…奏夢さん?」
奏夢さんも居た。どうやら三人でここで見物してたらしい。…阿見津先輩は理由が気になるが、憐香は多分児島が居るからクラスに戻りたくなかったんだろう
「ねぇねぇ~♪」
その輪に風が入っていく。…とにかく、閉会式まではまったり出来そうだな…
「え~…こほんこほん。これより、希望高校閉会式を取り行う」
生徒会長である三笠さんの声が場の騒然を静める。学校祭が、とうとう終わろうとしていた
「まずは、校長先生より対してありがたくもない話を戴きます」
「ぶっ!?」
…今、飲み物ふいちまったじゃねぇか。堂々とありがたくないって言ったよな?な!?三笠さんってそんなキャラなの!?
「…会長さん、あれでも大分頑張ってるよ?♪ほら、顔真っ赤♪」
隣から風が声をかけてくる。確かに風が言う通り、顔が赤い。…三笠さんめ、柄にもないことを…
「でも、静かに進みそうだよね~♪」
「…あぁ、全くだ」
そして少し笑いながら登壇した校長はいつもの様なマシンガンありがたい話をせず、簡単に切り上げる(だからって『望高サイコー!!』で締めるのもどうよ?)。そして今度は企画物の表彰に入り出した
「…では、次は企画の中で一番目玉の、ミスコンテストの表彰に入るぞ」
「あ、あっつん!私たちが出たやつだよ!」
「…わぁってるよ」
正直、表彰なんかされたくない。されるなら風だけされたらいい。…まぁ、団体戦だから巻き沿い食う可能性はあるが…まぁ、俺が普通の格好だし、大丈夫だろう
「ではまず、準優勝は…『るーびっくきゅー部』の片瀬さん、葛森君です」
…部の名前なんとかしとけよ…ひたすらカチャカチャやってそうで怖いわ…
「あっつん、もしかしたら…♪」
風は目をキラキラさせてる。だが、そんなに人生は甘くない、簡単に選ばれるはずが…
「優勝は…『ショー部』の朝野さん、河内君です!」
「「うぉぉぉぉぉおっ!!」」
「…!?」
…優勝シチャイマシター
「やったぁっ!優勝だよっ、あっつん!♪」
風が喜んで俺に飛び付いてくる。…
「…風…」
「ん?」
よーし、状況を説明してやろう
「…生徒の視線、注がれてんぞ」
そうなのだ、風が騒ぎ出した間に生徒に取り囲まれ、あっつい視線を注がれているのだ
「あの河内があんな子をか!?さすがムッツリ…!」
「朝野ちゃん大胆~!!超イカす~!♪」
…やばい、誤解されかねん。こういう場の誤解は中々解けない。だとするとやべぇ!
「ふ、風!?早く壇上に行くぞ!」
「う、うん!?」
そして俺と風は三笠さんが待つステージ上に。役員がトロフィーなどの準備の間、三笠先輩は小声で俺に話しかけてくる
「ショー部が勝つとは正直思ってなかったぞ」
「…それは俺のセリフっす。どういう事っすか、これは」
「私が知ったことか。これは先生方の総意だからな」
「…はぁ」
「でも、まぁ…確かに朝野風は本当に可愛かったよ。君も…まぁよかったんじゃないか、お似合いだよ」
「三笠先輩、俺らはそんな関係じゃないっす」
とかなんとか言ってる間に準備は整い、トロフィーやら賞状やらが渡される。そして最後に…
「これが毎年、優勝者のしきたりだ。…この場でキスだ」
「…は?」
…なんの話だ!?
「「キース!!キース!!キース!!」」
生徒からはキスの大合唱。…うぅ…
「あ、あっつん…」
何やら風はもう目を閉じて、準備万端かよっ!!?
「…えぇいっ!!ままよっ!!」
そして俺は風の…唇に自分唇を重ねた…
「「うぉぉぉぉおぉっ!!」」
生徒の絶叫のような歓声、そして舞い上がる花火。…こうして希望高校の学校祭は幕を閉じた…
「…あっちゅんが…ふーちゃんに…」
「朝野…手が早いな」
『…妬いちゃうかな』
「…風、やってくれましたわね…」
このショー部の4人がこの時、何を思っていたのかは俺と風は知るよしも無かった…
「…とうとう…あっつんにしちゃった…私…」
「…こりゃあ…後で何言われるか…」




