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勝負!①…入部試験!?

「…嘘だろ、本当にあるのか…」


「まぁ、載ってたんだからあるでしょ、普通?」


あの後俺と風はさっき話してた「ショー部」にたどり着いた。ここは三階。教室は3年生で形成されていて、俺ら1年は中々来ない場所だ。今は放課後というだけあって人影はない


「ショー部かぁ…何するんだろうね?」


「知らねぇ。というより知りたくねぇ」


これは俺の本音だ。名前だけだと全く分からないし、知ったら後戻りできない空気がバンバン感じてる。つまりはすぐにでもまわれ右をしたいって事だ


「少し調べたんだけど、桜カオルさんって美人らしいよ?」


「…だからどうした」


「いや、あっつんならつられるかなぁと思って?」


「んなのでつられるか。俺をそこら辺の男と一緒にするな」


「でも美人さんだよ?早く会いたいなぁ」


そわそわする風。コイツ、もしかして目的はそっちか?


「あ、ついたよ♪」


俺らが立ち止まった教室の立て札には「ショー部」と書かれている。…うん、やっぱり部活名からして普通じゃねぇ…


「じゃ、入るよ?すいませーん!」


風がドアをノックする。それに呼応し、ドアを風が言ったような美女が開けた


「はぁい…あら、どちら様ぁ?」


首を傾げ、俺らを見る美女…多分この人がさっき風が行っていた美人だろう。だが…


「…??」


出るとこはしっかり主張し、他は控えめ。それに黒い長髪がまたこの人のランクをあげている。これが世の中で言う美少女なのか?


そんな事を考えていると、目の前の先輩は怪訝な顔で覗き込んできた。わぁ、近くでみても可愛いじゃん


「君?さっきから何で私をじぃっと見てるの?」


「…あ、すいません」


とっさに謝ってしまった


「まぁいいけどぉ…、あ、もしかして入部かなぁ?」


「あ、はい!私たち、この部に興味があって…」


…ん?


「おい待て風。俺は一言もそんな…」


「あちょっ」


「のあっ!?」


言葉を続けようとしたとき、風のチョップが俺の後頭部を捉え、俺はそのまま意識を失った…


「…あらぁ?その子、眠っちゃったのぉ?」


「えぇ、そうみたいなんですよ!…それで、とりあえず二名、入部したいんですけど」


「分かったよぉ。じゃ、中にはいってぇ?」


そんなこんなでそのまま部室に引きずり込まれる俺。…え?何この展開!?

「…う、う~ん…」


目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった。俺は少し身体を起こして周りを見ると、何故かソファの上に寝かされているのに気付いた。…何があったんだ?なんとなく後頭部が痛いんだが…


「あら~、やっと目を覚ましましたねぇ」


声をかけられた方に顔を向けるとそこにはさっき部室から出てきた美女先輩が居た。先輩は椅子に腰掛けコーヒーを飲んでいる


「んふ~、目を覚ましたなら、早く始めなきゃなぁ♪」


「…?」


そういうと、傍に来ていた風に目配せをする先輩。…いつの間に仲良くなったんだ?そして風が持ってきたのは…


「んふ~♪私と、勝負してもらうよ♪」


「…トランプ…すか?」風が先輩に渡したのはトランプだった。それをきり、二枚渡す


「まだ名前を教えてなかったねぇ?私の名前は桜カオル。ショー部部長だよぉ♪…じゃあ、そんな部長とショー部の勝負ぅ♪」


「…へ?はい?」


桜先輩が大きくガッツポーズをし、何やらよく分からない合言葉的なのを叫ぶ。…全くついていけないが、これはまさかトランプをするのか、この先輩と?


「…桜先輩、これはブラックジャックですか?」


「うん、そだよ♪ルールはショー部式BJルール※でぇ、簡単、21を目指せ~♪3回先勝で勝ちだよ!」


桜さんはほんわかする笑顔を振り撒きながら適当なルール説明をしている。どうやら普通のBJとは少し違うようだが出来ないことは無さそうだ。だが…正直、気乗りはしない。なんか入部とかなんとか言ってなかったか?…だが、とうの桜先輩は


「さーさ、はじめよーぜぃ♪」


…桜先輩のヤル気満々な笑み。…先輩がこんなにやる気なのに、やらないわけには行かない感じ、か


「…で、桜先輩。俺はこれに勝ったらなんかあるんすか?」


「勝ったら君はズバリ、胸を張って入部だよぉ!」


「でも俺、別に入りたいとは一言も…」


「勝負してくれないなら、一生追いかけ回して悪戯しちゃうよぉ?」


「…ガチでっすか」


「私はガチだよ~?」


「…さすがに一生付きまとわれるのは俺の学園生活に悪影響だよなぁ…」


「ちなみに君が負けちゃったらぁ…ふーちゃんも部には入れてあげられないなぁ?」


そういうと桜さんは顔を風に向ける。風は顔を真っ青にして俺の肩を揺さぶる


「絶対勝つんだよっ!!あっつん!!!」


「わ、わわ、分かったから肩を掴むな!…ふう、仕方ない、か。桜先輩。その勝負、受けましょう!」


「ほい来たぁ!潔い男子は好きだよぉ!」


そして風に解放された俺は目の前に置かれた二枚のカードを引く


「…ふむ…」


俺の手持ちはAと4。と言うことは今は合計15…これで戦うのは少しつらいな。…桜さんは…


「…むむむ…」


正直、顔にはあまり出ないタイプ…ではないだろうが、全体的に表情を読み取りにくい人だからな、辛い戦いになりそうだ


「私は引くよ!しょーぶぅ♪」


桜さんが一枚引く。…てことは、あまり大きくなかったのか。…捨てる様子も無いから、バーストもしてないようだが


「ささ、ひきたまえよぅ♪」


桜さんが催促してくる。どのみち今の手札じゃ勝負にならない。引くさ!俺は祈りを込めて、カードを引いた!


「…!!ま、負けました…」

俺が引いたのは7。合計22で、敗けだ。肝心の桜さんは…


「えへへ、危なかったぁ♪」


まさかの…三枚で合計14(4、5、5)だと!?…侮れない、この人はっ…!こんなハッタリで勝負してくるなんてっ…


「あっつん、顔が某ギャンブル漫画の主人公のような顔になってるよ?」


誰だよ。つか、著作やべぇって!


「んじゃ、二回戦行くよ?」


桜さんはまたカードをきり、二回戦が始まった。負けてたまるかぁ…!


そうこうして、俺2勝、桜さん2勝で最終試合になった。桜さんは笑顔がさらに明るくなっていく。…嬉しそうだなぁ…こっちは疲れたぜ


「よ~し、最終戦だよ♪」


「あっつん、負けたらダメだよ…!」


風の手に力がこもってる。…その手で殴るなよ?


「あぁ、負けねぇよ」


そして二枚を引く。俺の手札はAと9。…まずいなぁ、これは微妙だ。20ならまず簡単には負けないんだが…


「にゅふふっ♪私は引かないよぉ♪」


桜さんは初めに引いた二枚で勝負らしい。…だとすると弱くはない。…狙うか!


「じゃあ俺は行きます。…これで、俺の勝ちっす!」


そして俺はカードを引き、手札を公開する!


「ほぉ~ぅ…お見事だねぇ♪」


「す、すごい、あっつん!!」


俺の引いたのはA。…合計21で、ブラックジャックだ!


「たはーっ♪参った参ったぁ♪」


桜さんは20…勝った!


「よっしゃ!」


思わずガッツポーズをする俺。それに抱きついてくる風


「やったぁ♪これで二人、入部ですよね??」


「うん、正式に部員として歓迎するよ♪いらっしゃい、我が『ショー部』へ♪」


「…あ、俺も入部か」


…勢いで勝ってしまった。これから、俺の学園生活はどうなるんだろうな…


※ショー部式BJとは

通常のBJとは違い、初期手札二枚から単純に21に近づけ、数字が大きい方が勝ちというルール。ディーラーは存在しない。21以上になった場合はバースト扱いで強制敗北。Aは1と11扱いで21は最強のBJとなる。ジョーカーは使われない

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