上映会
さて、タクトとの戦いは終わりました。
次はお義父さん達とのやり取りですな。
時間は経ってお義父さん達がカルミラ島から帰還して一度城に戻った所ですな。
錬も樹も国の指示を受けて近隣国の波への参加をしておりますぞ。
その後一度戻って失われた信用を取り戻す仕事……世間的には悪の三勇教信仰を破壊するために信用を落とす事をしたと女王主導で風聞する動きだそうですな。
最初の世界でもこの辺りの計画があったのですがそれよりも早く俺や錬、樹が霊亀の封印を解いてしまった所為で大幅に信用回復が遅れてしまったのですぞ。
まあ、錬も樹もフレオンちゃん達の助言もあり霊亀や鳳凰の封印を解くと言う行動には出ない様にして貰いましたな。
「お義父さん達ですぞ!」
「ああ元康か……お前、自分のフィロリアルに後を任せて一番に島を出て行ったらしいが何やってたんだよ」
という所で空から影がバサバサと舞い降りて来ました。
「ガエリオン登場なのー!」
子竜形態のライバルが翼だけ大きくして着地しましたな。
ちなみに既にライバルはタクトのドラゴンの体を破棄してますぞ。
「何だそいつ?」
お義父さんがライバルを指差していますぞ。
「む……」
「元康様ー!」
フィーロたんがライバルを睨み、ユキちゃんが俺に飛びついて来ました。
「お気を付けてください! ドラゴンですわ!」
「そうですな。コイツは危険なドラゴンですぞ! 出来れば即座に仕留めたいのは事実ですな」
ですがコイツには不服ですが色々と恩がありますぞ。
無数のフィロリアル様の卵を結果的に救い、優しいお義父さんの命令で俺の仕出かした失敗のしりぬぐいをしたのですぞ。
ですので今回の功績も兼ねてポータルで連れて来てやったのですな。
「まずは自己紹介をするなの。ガエリオンは槍の勇者の槍の中に記憶を入れてループに便乗する竜帝なの。以後お見知りおきをなのー」
「……お前も元康みたいに頭が変な奴の一味か」
「心外なの。ガエリオンは別世界のなおふみに頼まれて付き合っているに過ぎない存在なの」
「ああそう……」
「具体的には説明不足の槍の勇者より未来の事を色々と答えられるなの」
「本当なら助かるな。コイツが何を仕出かすかわかったもんじゃない。つーか元康はドラゴンと一緒にループしてるのか」
「忌々しい寄生虫なのですぞ」
「なんとでも言えなのーガエリオンの仕事なのー」
く……色々と問題を解決したからと言って調子に乗るんじゃないですぞ。
いつか目にモノを言わせて優位を取れない様にしてやりますぞ!
「まずは手始めの提案って訳じゃないなのだけど……」
パタタとライバルはお義父さんの前に立って手をかざしますぞ。
するとお義父さんの鎧に付いていた宝石の色が変わりましたな。
「……何をした?」
「憤怒の制御をよりしやすいようにしたなの。ついでに核石に宿るガエリオンの親の意識をこちらに移したなの」
「ほう……確かに加護が掛ってるな」
「まずは信用を得るための手土産なの。多少は話を聞いても良いはずなの」
「……わかった。事実かどうかは後で確認するとして……って核石に宿る親?」
「そうなの。ガエリオンはなおふみ達が倒したドラゴンゾンビの生前の子供……とはいっても槍の勇者の知る最初の世界でもガエリオンは死んでいる存在なの。ループした可能性の世界でガエリオンが生き残ったに過ぎないなの」
お義父さんが難しそうな顔をしながらライバルを見ますぞ。
「元康がループした世界で生き残った奴が槍の中に意識を込めて便乗したって事で良いのか?」
「そうなの。ガエリオンの知る最初のなおふみは槍の勇者に冤罪から救われたなおふみなの」
お義父さんがライバルの返事に面倒そうにため息をしましたな。
「そのドラゴンが今更なんなんだ?」
「ガエリオンは別のループのなおふみに頼まれて槍の勇者を補佐しているなの」
「元康は嫌がっているみたいだが?」
「完全に拒否は出来ない実績を築いているから大丈夫なの」
「お義父さん! 気を付けるのですぞ! コイツはお義父さんの童貞を狙うドラゴンなのですぞ!」
ここで俺は予防線を張りますぞ。
お姉さんやお姉さんのお姉さんに早くお義父さんの童貞と処女を得て貰わねばいけませんな!
「もう狙ってないなの」
ライバルは余裕だとばかりに手を振ってますぞ。
しかもお姉さんのお姉さんにも朗らかに手を振っております。
「あらー?」
「まあ、なおふみが興味があったらラフーの次辺りなら相手してもらうなの。ガエリオン我慢が出来る雌になったなの」
「……」
お姉さんも渋い顔をしていますな。
このままみんなに嫌われろですぞ。
「なんでそうなるんだよ」
そうですぞ!
確かにあのお義父さんの俺を想った献身でライバルに敗北する事になりましたがお前に入る余地は微塵も無いのですぞ!
「そもそもラフタリアはそう言う事をする気は無いだろ。波を終わらせるって目的があるんだ。下らない事に現をぬかしてどうする」
「……」
お義父さんの返答にお姉さんが切なそうにしておりますぞ。
確かにこの頃のお義父さんはお姉さんを誤解しておりますからな。
「ラフー? あのドラゴン何言ってるかコウわかんない」
「わからなくて良いですよ、コウさん……出来れば触れないで上げてくださいね」
「あらーお姉さんも応援してるわよ! ラフタリアちゃん!」
「サディナ姉さんも便乗しないでください!」
「残念ねーお姉さん、ナオフミちゃんは素敵だと思ってるわよ?」
既にお義父さんとお姉さんのお姉さんは飲み比べをしているのでしょうな。
生憎と酔い潰れる訳にはいかないので酒場でのやり取りは辞退したのですぞ。
「あーらら、なの。ラフー応援してるなのー」
「本気でそう言うのやめてください……」
お姉さんが煤けた様な空気を纏って仰いますぞ。
そうですな。ライバルの応援など逆効果なのは理解できますぞ。
「ともかくうるさそうなのが増えたな……元康の面倒はお前が見るのか?」
「それが頼まれている事だからなおふみの負担を軽減出来るように努めるなの」
「そうか。それは助かる。出来る限りコイツが妙な事をしない様にさせろ」
「努力はするけど限度はあるから最終的には任せる事もあるはずなの」
「ライバル! お前なんかの言う事をもう聞くと思うなですぞ」
「そんな事言って良いなの?」
ライバルがそう言いながら威嚇とばかりに睨んでいるフィーロたんへと俺の視線を誘導させますぞ。
く……何を言いたいのか分かっていますぞ。
俺が逆らえないのを分かって挑発しているのですな!
「元康がフィーロに怯える事に関係して従っているって感じか」
「ま、そうなの。知りたいなの?」
「概要だけ聞いてもわからん所があるからな……」
おのれライバル!
あの記憶をぬけぬけとお義父さんに話すつもりですかな!
「簡潔に言うと槍の勇者は病んだ女が苦手なの」
「アイツらは豚ですぞ!」
俺の記憶の中に居るアイツらは皆、豚ですな。
身勝手に俺を思い通りに操ろうとした奴らばかりですからな!
気に食わない事があるとすぐにへそを曲げて機嫌を損ねてグチグチと言って来た挙句、命まで狙って来るのですぞ。
むしろ意のままに操ろうとする豚なのは赤豚と全く変わらない連中ですぞ!
「察しの良いなおふみならそろそろわかるはずなの」
「お前ら本当に俺を知っているみたいな言い方をしやがるな……そういや元康は二股して女に刺されて死んでこの世界に来たとか言ってたな」
お義父さんは考え込みながら言いますぞ。
それからフィーロたんを見ましたな。
「ふむ……ありそうなのはフィーロがどこかの周回でそのヤンデレ化でもしたのか」
ヒィイイイイ! あの記憶がー!
お義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんフィーロたんフィーロたんフィーロたんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さんお義父さん!
「大正解なの! タイミングが最悪だったなの」
「んー? フィーロがどうしたのー?」
「タイミング次第じゃお前はヤンデレになるんだと」
「ヤンデレってなーに?」
フィーロたんはピンと来ないとばかりに小首を傾げてますぞ。
「フィーロはループ次第だとおっとりのサクラって名前のフィロリアルにもなるなの。最初の世界のなおふみ曰く上位互換なの」
「哀れだな、フィーロ……」
「ぶー!」
「お義父さん! フィーロたんとサクラちゃんは比べるものではないのですぞ! サクラちゃんは確かにおっとりさんですが、俺はフィーロたんが好きですぞ」
サクラちゃんを否定するわけではありません。
ただ、フィーロたんを俺が愛しているに過ぎませんからそれはしょうがない事なのですぞ。
「んー?」
「ま……槍の勇者の知る最初のなおふみを知る連中は槍の勇者が助けたなおふみも上位互換って言ってたなの」
「お前な……」
お義父さんが青筋を浮かべて怒りを露わにしますぞ。
ですが同時にフィーロたんの頭を撫でております。
おそらくフィーロたんの気持ちを理解して下さっているのでしょう。
「お義父さんはお義父さんですぞ。比べるなど不要ですな……ただ、俺の為にライバルにその身を捧げてしまったお義父さんには申し訳ないのですぞ」
「なのーん!」
だから照れるなですぞ!
「あらー」
俺の知る限り最初にお義父さんの童貞をゲットしたお姉さんのお姉さんも照れておりますな!
「なんだそれは! 俺がコイツと何か関係持ったとでも言う気か!?」
「今のなおふみとは関係ない話だから気にしなくて良いなの。ループの中である可能性ってだけなの」
「絶対に無いから諦めろ!」
お義父さんは激しく嫌そうな顔になりましたぞ。
「ま、あの一件はなおふみにも問題があったのは否定しないなの。なおふみ、あんまり金儲け重視で動いちゃダメなの。そこは間違えちゃダメなのー」
「うるさい。俺は必要な物を得るために金を稼いでいるだけだ……って……何をしたか大体察したぞ」
「ちなみにタイミングは……あのループは少し変わっていたからあったか分からないけど波を経験してフィーロがまだ人の言葉をしゃべる前に槍の勇者と出会った頃なの」
「そのタイミングか……確かにありえないと言えないのが嫌らしいな……」
お義父さんが事情を完全に把握した様に頷きました。
「まあ良い。でお前が自己紹介して役目がそうなのはわかった。元康と同じく今後の方針でも言いに来たのか?」
「槍の勇者から話をどこまで聞いているかは把握しきれてないけど、全面的な手伝いはするなの。でもその前に槍の勇者とガエリオンがやった作戦をなおふみ達に見てもらおうと思っているなのー」
ライバルはキラッと映像水晶を何個も浮かべて 見せますぞ。
「お城で上映会なの!」
「一体何が始まるのよ」
「知るか……」
城での上映会と称した映像水晶を使った放送をライバルはする様ですぞ。
そこで婚約者も呼ばれておりますな。
女王と仙人は私用で欠席との事ですぞ。
お姉さん達もお義父さんと一緒に椅子に腰かけて見ておりますぞ。
フィーロたんは何があるのかわからないけれどライバルに対して眉を寄せて腰かけておりますな。
「ポップコーンですぞ」
「くれるの? わーい」
こう言う時はポップコーンに限りますからな。
ちなみに俺の準備したポップコーンはただのポップコーンではありません。
キャラメル味ですぞ!
俺は槍で調理したポップコーンをフィーロたんに渡しておきました。
で、ユキちゃんが隣に座りたいと仰ったので合わせて座りますぞ。
「ユキちゃんもどうぞですぞ」
「ありがとうございますわ!」
コウはお姉さんの隣でお行儀よく腰かけております。
「まあ、見てのお楽しみなの」
ジー……と言う音と共に室内の明かりが消されて壁に映像が映し出され始めましたぞ。
ガオーンとライバルがライオンの様に穴から顔を出して鳴いております。
「なのプロジェクト! なの!」
と言う声が収録されておりました。
音声込みの映像とは無駄に凝ってますな。
「……」
お義父さんが呆れた様な表情で映像を見始めますぞ。
それはタクト達がセブン島への船に乗って島を見ているシーンから始まりました。
「ここに来るとホッとするなー!」
などと豚共を囲いながら島を見ている感じですぞ。
「ブブヒー!」
「ブヒー」
何を言ってるか全くわかりませんな。
どうせ醜い事を言っているのでしょう。




