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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
951/1279

朝ですよー!

「大きなフィロリアル? まだ何かいるのか?」


 フィーロたんの頭にチャームポイントの毛が無いので間違いないですぞ。

 お義父さん達はまだ出会っていませんな。


「はいですぞ。大きなフィロリアル様からフィーロたんやフィロリアル様が力を授かると特別なクラスアップをしてもらえて、能力の上がりがとても良くなるのですぞ」

「だが、明日からカルミラ島って所に行かなきゃいけないだろう。クラスアップしないでどうするんだよ」

「そこは武器の強化方法で色々とやるのですぞ。俺も明日から色々とあってカルミラ島に行くのが遅れますからな」

「また強化方法か……アレだけの種類があってまだあるのか……そうか、七星武器とやらにも強化があるのか」

「そうですぞ」


 さすがはお義父さん。

 ちょっとした言葉尻から情報を引き出して来ますな。

 俺はお義父さんに、今七星武器の強化方法を纏めたメモを渡しますぞ。


「これの鞭の七星武器の強化方法にLvを犠牲にした資質向上があるのですぞ。これを使用すればクラスアップを介さずにしばらくはLvアップが出来ますぞ。ついでに大きなフィロリアル様が移動中の船などで出会える事もありますから途中でカルミラ島から出てクラスアップをするのも手ですな」


 活性化期間は思いのほか長いのでそれを利用するのが良いと思いますぞ。


「……」


 お義父さんがメモを片手に操作をしているのがわかりますな。

 そこそこ熟考してから、深くため息を吐きましたぞ。


「確かに出来るな……こんなに強化方法があって、俺はどれだけ無駄に行動してきたんだ?」


 お義父さんが嘆いておりますな。


「ただ、龍刻の砂時計の砂は貰っておくと良いと思いますぞ。ポータルスキルはそれで手に入りますからな」

「はいはい。これが武器の強化方法ね……七星武器とか言いつつ八つあるのは何の冗談なんだろうな」

「八つ目は大きなフィロリアル様が持っている馬車ですぞ。人目に触れない所為で忘れられてしまったらしいですな」

「ああ……そう。わかった。それで元康、お前はループからの脱出を目指しているのか?」


 お義父さんに聞かれて考えますぞ。

 よく考えた事はありませんでしたな。


「一応の目的としてはそうですな。ですが俺は愛の為に行動しているのですぞ。問題があるのでしたらその限りではありませんな」

「ああ……そう」

「他のループでお義父さんが色々と調べたりしてくれたりしたのですが、生憎とまだ謎に関しては全く解けておりません」

「最初のループはフィーロに会ったら終わったんだったか……既にフィーロに出会っている今とは別か……そりゃあ大変だな」


 お義父さんが面倒そうにテーブルに肘を置いて頬杖をついております。


「つーか……いつ頃お前はループするんだ? 憑依とかある場合、元の元康に戻る可能性は?」

「少なくとも俺が覚えている限りだと……確かお義父さんの子供が生まれてそれなりに大きくなった位までの記憶はなんとなくですがありますな。樹とストーカー豚の子供なども覚えておりますぞ。正直、いつループするのかよくわかりませんぞ」

「そうか、そんな不確かな旅をお前はしてるのか……つーかお前は幾つなんだよ!」

「俺は愛の狩人! 永遠の21歳ですぞ!」


 脳内でいろんな世界の優しいお義父さんが苦笑いを浮かべている気がしますが、今の俺は21ですぞ!

 トゥエンティーワーン!


「はぁ……なんか別の意味で疲れる奴になりやがったな。じゃあ話を進めるぞ。カルミラ島で俺達はLvアップを図るとして……その後はどうするんだ?」

「この先で起こりうる問題は先に俺が片付ける予定ですな。錬も樹も最初の世界では霊亀の封印を解いてしまうのですが、そうならない様にブラックサンダーとフレオンちゃんにお願いしておきましょう。無くてもある程度はどうにか出来ますぞ」


 ちなみに霊亀素材に関してですが、無くてもスキルに関してはどうにかなりますから代用は可能ですぞ。


「霊亀……ね」

「その台詞は他のループでもお義父さんは言いましたな」

「あっそ」


 なんとも投げやりな返答が来ましたぞ。


「まあ、俺達の国内の評価に関しては低いので信用回復をして行く予定ではありますぞ」


 最初の世界での事が思い出されますな。

 ただ、霊亀の封印さえ解かなければ、まだどうにでもなりますぞ。


「霊亀を倒した後のお義父さんは、領地を貰ってお姉さんの村を復興させる事に尽力しておりました。村の者達の保護もしないといけませんな」

「ふむ……ラフタリアの故郷の村か……」


 お義父さんは俺の言葉にお姉さんに視線を向けますぞ。


「確かにそれは悪くない手だな。作り話だったとしてもラフタリアの帰る場所を作っておく必要はあるだろう」

「ナ、ナオフミ様……」


 お姉さんが緊張しているのか頬を赤くしておりますぞ。


「俺もいずれ元の世界に帰る予定だしな」

「……」


 お姉さんが切なそうな顔をしております。

 この元康、鈍感ではありませんぞ!

 中学時代の男友達の如く、お姉さんを安心させて上げましょう。


「そう言いつつ、大体が在留しますぞ」


 ループが再度始まった時のお義父さんもそんな感じでしたからな。


「お前の知る俺がそうだったとして、俺はそうだとは限らないだろ」


 お義父さんが若干不満そうにしておりますぞ。


「や、槍の勇者、あまりナオフミ様を刺激しないでください」


 お姉さんが言葉を選ぶように俺を注意してきますぞ。

 お義父さんは鈍感なのですな! だから分かりやすくしてあげましょう。

 この元康、お姉さんに媚を売っておかないと後が怖い気がするのでやりますぞ。


「では俺の中学時代の男友達の真似をして、お義父さんにそれぞれの友好度をハートで現してあげるとしましょう! 俺の分析ですぞ!」


 これで俺は誰が俺の事をどれくらい好きなのかを判断したのですからな。

 豚でしたが、非常に分かりやすかったですぞ。


 まずお姉さんは五段階制でハート五つでしょうな。

 もはや個人ルートは確定と言っても良いでしょう。

 婚約者は不服ですが四つくらいでしょうな。

 フィーロたんがいるのに失礼ですぞ。

 お姉さんのお姉さんは……どうなのでしょうな?

 お姉さんが生存している今、ルコルの実を食べれる所を見せるだけで五つになる気がしますぞ。

 フィーロたんはもちろん、お義父さんでは攻略不能にしましょう!

 ダメなのですぞ! 娘を攻略したらダメなのですぞ!


 おや? そう言えば虎娘がいましたな……確か優遇する約束をしたのでしたな。

 失礼ながら忘れていました。

 何を優遇するのでしたかな?


 ああ、王族の豊かな暮らしですな。

 まあ、クズに追い打ちを掛けるために虎娘達を後で連れて来てやりましょう。

 ただでさえ赤豚の犯行が日の目に出ている所でトドメの一撃ですぞ。 


「お前の中学時代の友人は何なんだ! そっちの方が気になるぞ!」

「おかしいですかな? 俺はお義父さんの恋愛を推し進めるのですぞ」

「うぜぇ……そんなくだらない事に興味は無い!」

「槍の勇者、ナオフミ様をからかわないでください。本当に困るんで!」


 お姉さんに頼まれてしまいました。

 しょうがないですな。


「そうだぞ! ラフタリアも波と戦う使命があるんだ。恋愛なんてする気は無い!」

「……はい」


 お姉さんの沈黙の後の同意の言葉が非常に哀愁を誘いますな。

 この元康、お姉さんがお義父さんを好きな事は譲歩してあげますぞ。

 フィーロたんはダメですが、親子愛からの恋人もまた美しいですからな。

 脳内のお姉さんが、下手に刺激しないでください! と言っている気がしますが、気のせいでしょう。


「とにかく、ラフタリアの故郷の復興が島の後にする事か……その後は?」

「波に挑んで行く事になるのではないですかな?」


 霊亀の封印解除さえしなければ鳳凰等の復活もありませんでしたぞ。

 シルドフリーデンに行ったお義父さんのループで如実でしたな。


「順調に波に挑んで行けばやがて波は終わりますぞ。問題は世界中の龍刻の砂時計にそれぞれ別の波の到来時間があるのですがな」

「なんか女王がそれっぽい事を言っていたな。ゼルトブルで影も言っていた。わかった。とりあえずやる事は決まったみたいだし、カルミラ島って場所に……ラフタリアの姉、サディナって奴も連れて行けばいいのか?」

「好みでどうぞですぞ」

「ラフタリアは会いたいよな?」

「会えるなら会いたいですが……」

「はぁ……しょうがない。元康、これから出られるか?」


 お?

 お義父さんが重い腰を上げて立ち上がりますぞ。


「出られますぞ」

「じゃあ俺とラフタリアをゼルトブルに連れてってくれ。サディナって奴を連れて来る」


 と言う訳で俺はお義父さんを連れてゼルトブルに行き、酒場を巡ってお姉さんのお姉さんを見つけて色々と話したのですぞ。

 お姉さんのお姉さんは、お姉さんの説得を受けてすぐに出発の準備をしてくださいました。

 こうしてメルロマルクに戻り、俺達は城でぐっすりと就寝する事にしたのですぞ。





 翌朝ですな。


「あーさー、朝ですよー!」


 フレオンちゃんが城の外を飛びながら朝を告げております。

 なんとも微笑ましい姿ですな。

 パタタっと城の尖塔に止まって鳴いております。


「良い目覚めですな!」

「その様ですね」


 おや?

 女王が石垣でフレオンちゃんを見ながら準備体操をしている俺に声を掛けてきました。


「絶滅したはずの空飛ぶフィロリアル……それをこの目で見れるとは……なんとも感動するものですね……」


 女王はフレオンちゃんに興味津々なのですな。

 伝承のフィロリアル様にメロメロとは、さすがは女王と言った所でしょう。


「空飛ぶフィロリアル、フレオンを所持していた老人から槍の勇者様が所有者であると話を聞きました……愚かな娘の所為で仲間がいなくなってしまった事もあって、槍の勇者様はあの子を戦力として扱うつもりなのでしょうか?」

「俺はフレオンちゃんが健やかな成長をしてくれる事を願っているだけですぞ」


 フレオンちゃんが戦いたくないと言うのでしたら止めませんぞ。

 平和主義のフィロリアル様もいらっしゃいます。

 元々悲しいのが苦手なのがフィロリアル様達ですからな。


「そうでしたか……おそらくフレオン様は無数の縁談を望まれるでしょう。世界中のフィロリアルブローカーにも狙われかねませんし……自衛は十分にすべきでしょう」


 フィロリアルブローカーですかな?

 ああ、フィロリアル様を商売に使おうとする方々ですぞ。


「大丈夫ですぞ。勇者が所有者でなければフィロリアル様はクイーンにもキングにもなってくださいません」


 タクトの様な偽物が育てるのが一番、俺にとっては辛いですぞ。

 ちなみにシルドフリーデンに行ったお義父さんが調査した所、転生者にフィロリアル様は懐かないんだそうですぞ。


「いえ、その事ではないのですが……勇者様方のお力に関してはまだまだ伸びるとの話を聞いております。どうかカルミラ島で十分に牙を研いで頂けたら幸いです」


 俺の強さに関して女王はまだ測りかねている段階なのですな。

 どちらにしてもフレオンちゃんに何かする輩が現れたら俺が成敗してやりますぞ!


「わかりました。では女王、またですな!」


 女王と話を終えて俺はお義父さんの部屋の方へと行きますぞ。


「ああ、元康か」


 お義父さんが起きていた様ですな。廊下でお姉さんと、お姉さんのお姉さんを連れていますぞ。


「ごしゅじんさま、あさー! メルちゃんがご飯食べようって言ってるよ」


 っと、フィーロたんがやってきましたぞ。


「あれ? その人だーれ?」

「あら、おはよう。お姉さんはねーラフタリアちゃんのお姉さんでサディナって言うのよー。よろしくー」


 お姉さんのお姉さんがフィーロたんに自己紹介をしますぞ。


「へー……お姉ちゃんのお姉ちゃん?」

「そうですよ、フィーロ」

「そうなんだ? いつの間にきたのー? フィーロ知らなかった」

「それは昨日、元康に連れられてコイツを迎えにな」


 お義父さんが説明するとフィーロたんが俺の方に顔を向けますぞ。

 ヒィイイ……フィーロたんが俺を見てますぞ。


「んー?」

「お、おはようですぞ。ご機嫌麗しゅう」

「うるわしゅー! ねえ、ごしゅじんさま、フィーロに内緒でどこかに行ったの?」

「そう言ったろ。お前もメルティの所で寝たんだから良いだろ」

「えー……あとね。メルちゃん、フレオンって子と、もっとお話してみたいって言ってたんだよ。ねえごしゅじんさま、フィーロどうやったら飛べるようになるのー?」

「アレは生まれつきらしいぞ。もしくはクラスアップとかで出来ないのか?」


 お義父さんが俺の方を見てきますぞ。


「も、もしかしたら出来るようになるかもしれませんな」

「そうなのー!? フィーロねーお空を飛べるようにもなりたい!」


 フレオンちゃんをフィーロたんが羨ましがっておりますぞ!

 しかも婚約者までフレオンちゃんに夢中の予感……危険ですぞ! このままではフィーロたんが!


「色々と調べますぞ。なのでもうしばらく辛抱して欲しいのですぞ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] オスガエリオンに対抗しなくても飛びたがるんだな [一言] なんだかんだフィーロかサクラが1番かわいい
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